1日6杯以上のコーヒーが認知症や脳卒中などの脳疾患リスクを上げるという研究結果が示される
コーヒーは世界中で人気を集める飲み物ですが、健康への影響については賛否両論があります。過去にはコーヒーを飲むことが認知症の予防に役立つという研究結果が発表されましたが、新たな研究では「コーヒーを1日6杯以上飲むと、認知症や脳卒中などの脳疾患のリスクが高くなる可能性がある」という内容が発表されました。
Drinking 6 Cups of Coffee a Day? Your Brain May Pay For It Later, Says a Large Study
Excess coffee: a bitter brew for brain health - News and events - University of South Australia
https://www.unisa.edu.au/media-centre/Releases/2021/excess-coffee-a-bitter-brew-for-brain-health/
この研究はイギリスの50万人から収集した遺伝的データ・健康データをまとめた英国バイオバンクを元に調査したもの。南オーストラリア大学の研究チームは英国バイオバンクに参加した37〜73歳の1万7702人を対象に調査を実施しました。この結果、コーヒーを1日6杯以上飲む人は認知症リスクが53%も高まることが判明したとのこと。
研究を率いたKitty Pham氏は「コーヒーは世界で最も人気のある飲み物の1つで、その消費量は年間90億kg以上になります。このため、コーヒーと健康との関係を理解することが重要です」「今回の研究はコーヒーと脳容積測定、認知症リスク、脳卒中リスクなどを広範に調べたものであり、脳容積測定データとさまざまな交絡因子について検討した最大級の研究でもあります」と述べています。
Pham氏によると、考え得る全ての要素を考慮しても、コーヒーを大量に飲むことは脳容積の縮小と関連付いていたとのこと。基本的に、コーヒーを1日6杯以上飲む人は認知症や脳卒中といった脳疾患のリスクが高かったそうです。なお、認知症は記憶・思考・行動・日常タスクに影響が及ぶ脳の変性のことをいい、世界中で5000万人が患っているといわれる疾患です。他方、脳卒中は脳への血流が阻害され、酸素が足りなくなった結果、脳が損傷を受けたり機能が失われたりする状態のことで、世界規模でみると25歳以上の4人に1人が生涯の中で1度は脳卒中を起こすといわれています。世界脳卒中機構によると脳卒中を起こす人は年間1370万人存在し、その結果、550万人が死に至っているとのこと。
南オーストラリア大学のElina Hyppönen博士は「この研究はコーヒーの大量消費と脳の健康についての重要な知見を示しています。人生の多くのものと同様に、重要なのは『適度な量』です」と述べました。
なぜ大量のコーヒー消費が脳に悪影響を及ぼすのかというメカニズムは記事作成時点で不明ですが、研究チームは「コーヒーと一緒に水を飲むこと」を推奨しています。また毎日の標準的なコーヒー消費量はカップ1〜2杯程度であり、6杯以上のコーヒーを日常的に飲んでいる場合は、飲み物の選択肢について再考すべきだと述べました。