「笑気ガス」がうつ病治療に役立つ可能性があるとの研究結果
うつ病患者の中には抗うつ剤の効果が出ない人がいます。しかし、こうした人に対して低濃度の亜酸化窒素ガス(笑気ガス)を用いることでわずかな副作用で症状を緩和させられるという研究結果が発表されています。
A phase 2 trial of inhaled nitrous oxide for treatment-resistant major depression | Science Translational Medicine
Low doses of 'laughing gas' could be fast, effective treatment for severe depression
https://medicalxpress.com/news/2021-06-doses-gas-fast-effective-treatment.html
Laughing gas may treat depression, small study suggests | Live Science
https://www.livescience.com/laughing-gas-treats-depression.html
研究はシカゴ大学医学部やワシントン大学によるもので、ScienceTranslational Medicine誌に掲載されました。
シカゴ大学のピーター・ナゲール氏らは、2015年に「亜酸化窒素ガスによって抑うつ症状が改善される」という先行研究を発表しています。この内容は、「50%の亜酸化窒素ガスを1時間吸入すると、少なくとも24時間続いた抑うつ症状が急速に改善された。ただし、吐き気・嘔吐(おうと)・頭痛などの副作用が見られる人もいた」というものでした。
Nitrous Oxide for Treatment-Resistant Major Depression: A Proof-of-Concept Trial - PubMed
https://doi.org/10.1016/j.biopsych.2014.11.016
ナゲール氏は、先行研究時に負の副作用が大きかったのは用いられたガスの濃度が濃すぎたせいではないかと考え、副作用を低減すべく、25%へ濃度を落とした亜酸化窒素ガスを用いての追加調査を行いました。
その結果、負の副作用が4分の1にまで抑えられた一方で、50%のガスを用いたときと変わらない効果が得られることを確認しました。
ガス投与の効果は丸2週間続いたとのこと。ナゲール氏は、これほどまでの効果が示されたことは過去になく「非常にクールな発見です」と語っています。