恩赦を与えられた台湾原住民ブヌン族の男性(手前)

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(台北中央社)蔡英文(さいえいぶん)総統は20日、狩猟で起訴され、実刑判決を受けた台湾原住民(先住民)の男性に恩赦を与えた。総統府は同日の報道資料で、台湾原住民の伝統を尊重し、先住民の主流化を推し進めるためだとした。

男性は2013年、銃砲や弾薬、刀剣類を取り締まる槍砲弾薬刀械管制条例と野生動物保育法に違反した罪で起訴された。実刑判決を受けたが、15年に当時の検事総長が、審判が法令に違反したとして最高裁に申し立てる非常上告を提起。最高裁で審議が続けられていた。

蔡総統は2期目から満1年となるこの日、初となる恩赦を与えた。総統府のKolas Yotaka (グラス・ユタカ)報道官は、男性が病気の家族に食料を与えるために狩りをした事情が考慮されたと説明。狩猟が台湾原住民にとって伝統文化であることにも言及した。

ただ先住民団体からは、現行の法律と伝統文化は相容れない部分があるとの声が上がっている。法律を改正しなければ、今回男性に恩赦が与えられても他に狩猟による逮捕者が出るとの懸念を示した。先住民を支援する弁護士の謝孟羽さんは、この恩赦を機に対話や法整備につながり、台湾原住民と主流社会がより分かり合えるようになればと期待を寄せた。

(温貴香、盧太城、張雄風/編集:楊千慧)