心療内科はいきなり行かない方がいい…専門家が伝えたい病院の選び方
精神的な不調で、病院を受診することが一般的になってきました。とはいえ、病院選びのハードルはまだまだ高いものがあります。
うつ専門メンタルコーチ・公認心理師で、ご自身もうつ病に悩まされた経験をもつ川本義巳さんに、病院選びのコツを伺いました。
病院の選び方とは
よくいただく質問に「病院に行こうと思うが、どうやって選べばいいですか?」というものがあります。うつ病の治療において「どのドクターに出会うか」というのは、重要なことです。
まずは、クリニック選びがうまくいかなかった例をご紹介しましょう。
Kさん(20代男性)は、職場にうまくなじめず体調不良に陥りました。ある朝、とうとう起き上がれなくなり「これはまずい」と感じます。同僚に同じような症状で休職をしている人がおり、その人が「うつ病」と診断されていたので自分もうつ病を疑い、近所の心療内科を受診しようとしました。
ところが「予約でいっぱいです」と断られます。それでも粘ってみたところ3日後に「ちょうどキャンセルが出たので今なら」ということで受診しました。
主治医の先生は年配の優しそうな方でした。丁寧に話を聞いてもらい「うつ病」と診断されます。ここから投薬治療が始まりました。最初は5種類の薬からスタートしました。受診できたことでKさんもほっとし「これでもう大丈夫。よくなる」と期待していたそうです。
ところが、Kさんの状態はよくなるどころか前にもまして倦怠感が増え、不安や落ち込みも大きくなり、さらに重症化していきます。通院は2週間に1回ペース。そのたびに薬が増え、当初の目的だった3か月後には起きていることもままならなくなり、薬の量は10種類以上になっていました。
家族や知人のアドバイスを受け、整体やサプリメントも試しました。そして最後に私のところにたどり着きました。
実際お会いしたKさんは、目もうつろで感情の起伏がまったくない状態でした。「これは難しいかなあ」と思いましたが、本人の希望でコーチングを受けてもらいました。でもなかなか感情が元に戻ってきません。
もしかしたら薬の影響もあるのかと、「薬が多いと思うけど、先生はどう言っていますか?」と尋ねると、「『必要だから』としか言いません」とのこと。
そこで彼にセカンドオピニオンを勧めたところ、同じことを考えていたようで別の病院を受診しました。すると初診のときに「この薬なんで出てるのかなあ?」と不思議がられたそうです。結果、薬の種類がこの日から4種類になりました。
その後Kさんはどんどん回復して、今はバリバリ働いています。
これはあくまで一例ですが、ほかにも似たようなケースを何度か目にしています。
主治医に言われた一言で傷ついたという人もいますし、「いつも2〜3分で診察が終わるし、先生はパソコンの画面を見て話している」という人もいます。
とはいえ、私たちが最適な病院を見つけるのはなかなか難しいものです。
そこで、私が知る限りでの方法をご紹介します。
(1) いきなり精神科・心療内科に行かない
精神科・心療内科は基本予約制のところが多く、2〜3か月待ちという所もあります。
また紹介状がないと診察を受けられないケースも多いので、いきなり行かない方がよいでしょう。私は最初にかかりつけのお医者さんに行くことをオススメしています。
まず内科的なチェックをしてもらい、その上で先生と相談して、先生がすすめる病院の紹介状を書いてもらってから受診しましょう。体調的に限界にきている場合は、まずかかりつけ医で診断書を書いてもらい、休職申請する方法もあります。
(2) 病院の情報をゲットする
自分が通える範囲内の病院の評判が集められるといいです。ちなみにネットの情報は信ぴょう性が低いのでやめた方がいいです。
もっとも確実なのは、医療従事者の方の情報です。とくにその地域の中核病院(大学病院とか)に勤めている人から情報を得るのがよいと思います。あるいは、知り合い等で実際に通院したことがある人の話を聞くのもよいでしょう。
病院の情報はなかなか集めにくいですが、できる範囲でやってみる価値はあります。
また最近では病院のホームページに先生のプロフィールが掲載されています。見るとその先生の専門領域がわかるので、自分の症状と当てはめて、マッチするかどうかを検討するのもありです。
実際、統合失調症を専門にされているドクターの診察を受けて、「統合失調症の疑い」と診断されたけど、別の病院で「うつ病」になり無事回復した人もいらっしゃいます。
このほかにも、受診する側として、今自分に起こっていることや思っていることを遠慮せずに正直に話すようにしましょう。また、治療中に体調の変化があったときは、投薬の変更や原薬の相談をしてください。それを拒否する先生は私的にはオススメできません。
冒頭にも書きましたが今はセカンドオピニオンが当たり前になってきています。ちょっと疑問に思うことがあれば、ほかのドクターの意見を聞いてみることも検討してみてください。
●教えてくれた人
うつ専門メンタルコーチ、公認心理師。高校卒業後、SEとして20年以上メーカーに勤務。大手IT企業への転職を機にうつ病を発症、寝たきり状態になり、1年2か月の休職を余儀なくされる。職場復帰後も6年間うつ病に悩まされ、さまざまな方法を試すが失敗。2007年コーチングに出合い、うつ病を完全克服。その体験をきっかけに現職に。著書に『1日3分でうつをやめる。
』(扶桑社刊)がある
うつ専門メンタルコーチ・公認心理師で、ご自身もうつ病に悩まされた経験をもつ川本義巳さんに、病院選びのコツを伺いました。
病院の選び方とは
メンタルが不調…病院やドクターはどうやって選べばいい?
よくいただく質問に「病院に行こうと思うが、どうやって選べばいいですか?」というものがあります。うつ病の治療において「どのドクターに出会うか」というのは、重要なことです。
●クリニック選びがうまくいかなかった例
まずは、クリニック選びがうまくいかなかった例をご紹介しましょう。
Kさん(20代男性)は、職場にうまくなじめず体調不良に陥りました。ある朝、とうとう起き上がれなくなり「これはまずい」と感じます。同僚に同じような症状で休職をしている人がおり、その人が「うつ病」と診断されていたので自分もうつ病を疑い、近所の心療内科を受診しようとしました。
ところが「予約でいっぱいです」と断られます。それでも粘ってみたところ3日後に「ちょうどキャンセルが出たので今なら」ということで受診しました。
主治医の先生は年配の優しそうな方でした。丁寧に話を聞いてもらい「うつ病」と診断されます。ここから投薬治療が始まりました。最初は5種類の薬からスタートしました。受診できたことでKさんもほっとし「これでもう大丈夫。よくなる」と期待していたそうです。
ところが、Kさんの状態はよくなるどころか前にもまして倦怠感が増え、不安や落ち込みも大きくなり、さらに重症化していきます。通院は2週間に1回ペース。そのたびに薬が増え、当初の目的だった3か月後には起きていることもままならなくなり、薬の量は10種類以上になっていました。
家族や知人のアドバイスを受け、整体やサプリメントも試しました。そして最後に私のところにたどり着きました。
実際お会いしたKさんは、目もうつろで感情の起伏がまったくない状態でした。「これは難しいかなあ」と思いましたが、本人の希望でコーチングを受けてもらいました。でもなかなか感情が元に戻ってきません。
もしかしたら薬の影響もあるのかと、「薬が多いと思うけど、先生はどう言っていますか?」と尋ねると、「『必要だから』としか言いません」とのこと。
そこで彼にセカンドオピニオンを勧めたところ、同じことを考えていたようで別の病院を受診しました。すると初診のときに「この薬なんで出てるのかなあ?」と不思議がられたそうです。結果、薬の種類がこの日から4種類になりました。
その後Kさんはどんどん回復して、今はバリバリ働いています。
これはあくまで一例ですが、ほかにも似たようなケースを何度か目にしています。
主治医に言われた一言で傷ついたという人もいますし、「いつも2〜3分で診察が終わるし、先生はパソコンの画面を見て話している」という人もいます。
とはいえ、私たちが最適な病院を見つけるのはなかなか難しいものです。
そこで、私が知る限りでの方法をご紹介します。
●最適な病院を見つけるためにできること
(1) いきなり精神科・心療内科に行かない
精神科・心療内科は基本予約制のところが多く、2〜3か月待ちという所もあります。
また紹介状がないと診察を受けられないケースも多いので、いきなり行かない方がよいでしょう。私は最初にかかりつけのお医者さんに行くことをオススメしています。
まず内科的なチェックをしてもらい、その上で先生と相談して、先生がすすめる病院の紹介状を書いてもらってから受診しましょう。体調的に限界にきている場合は、まずかかりつけ医で診断書を書いてもらい、休職申請する方法もあります。
(2) 病院の情報をゲットする
自分が通える範囲内の病院の評判が集められるといいです。ちなみにネットの情報は信ぴょう性が低いのでやめた方がいいです。
もっとも確実なのは、医療従事者の方の情報です。とくにその地域の中核病院(大学病院とか)に勤めている人から情報を得るのがよいと思います。あるいは、知り合い等で実際に通院したことがある人の話を聞くのもよいでしょう。
病院の情報はなかなか集めにくいですが、できる範囲でやってみる価値はあります。
また最近では病院のホームページに先生のプロフィールが掲載されています。見るとその先生の専門領域がわかるので、自分の症状と当てはめて、マッチするかどうかを検討するのもありです。
実際、統合失調症を専門にされているドクターの診察を受けて、「統合失調症の疑い」と診断されたけど、別の病院で「うつ病」になり無事回復した人もいらっしゃいます。
このほかにも、受診する側として、今自分に起こっていることや思っていることを遠慮せずに正直に話すようにしましょう。また、治療中に体調の変化があったときは、投薬の変更や原薬の相談をしてください。それを拒否する先生は私的にはオススメできません。
冒頭にも書きましたが今はセカンドオピニオンが当たり前になってきています。ちょっと疑問に思うことがあれば、ほかのドクターの意見を聞いてみることも検討してみてください。
●教えてくれた人
【川本義巳さん】
うつ専門メンタルコーチ、公認心理師。高校卒業後、SEとして20年以上メーカーに勤務。大手IT企業への転職を機にうつ病を発症、寝たきり状態になり、1年2か月の休職を余儀なくされる。職場復帰後も6年間うつ病に悩まされ、さまざまな方法を試すが失敗。2007年コーチングに出合い、うつ病を完全克服。その体験をきっかけに現職に。著書に『1日3分でうつをやめる。
』(扶桑社刊)がある