「体を洗ってから湯船に浸かる」という入浴方法が間違いである理由
■いくつになってもモテる人には理由がある
突然ですが、あなたの「モテ期」は、いつだったでしょうか。
多いのは、10代、20代の学生時代や、30代前半くらいの若い時期ではないでしょうか。私の周りでも、「歳と共にモテなくなった」と嘆く中高年男性の声をよく聞きます。
しかし一方で、40代、50代を過ぎても周りにたくさんの人が集まり、男女問わず好かれるようなモテる人もいます。その違いはどこにあるのでしょうか。
モテる条件には、もちろん顔立ちや性格、肩書や年収などさまざまな要素がありますが、まず第一に必要なのは、見た目の清潔感です。
若い頃は、肌や髪にもハリツヤがあり、素材そのままでも清潔感をキープできたかもしれませんが、年齢とともに若さは失われ、老化・劣化が目立つようになってきます。
加齢に伴う変化は誰もが避けては通れませんが、そのまま何もせずにいると、肌にはどんどんシミやシワが増え、髪は脂っぽく、体からは加齢臭が漂うようになり、いつの間にか清潔感はマイナスになってしまいます。
そうならないためには、衰えた部分をカバーし、キープするためのケアが重要になってくるわけです。40代、50代を過ぎても好感度・清潔感があってモテる人は、生活習慣を含め、ケアすべきポイントをしっかり押さえているのです。
ここでは、拙著『男は見た目が9割 嫌われない男の美容大全』(アスコム)より、もっとも年齢の表れる部位である、肌の若さをキープするために重要な紫外線ケア、そして多くの人が悩むポイントである、加齢臭を防ぐための入浴法をご紹介します。
■紫外線は4月から激増……早めのケアスタートが10年後の肌を決める
肌の老化原因の8割は太陽光線、つまり紫外線です。太陽光線を無防備に浴び続けると、皮膚にシミ、シワ、たるみといった老化現象が現れるようになります。これを「光老化」ともいいます。
紫外線や日焼けというと夏のイメージがあるかもしれませんが、実は紫外線の照射量は4月頃から急激に増加します。日焼け止めは夏だけ塗ればいいやと考えている方もいるかもしれませんが、それでは日焼け対策としては手遅れなのです。気が付かない間のうっかり日焼けで肌の奥に蓄積されたダメージは、5年後、10年後のシミやシワの原因になるので、そうならないよう、春先の今の時期からのケアが重要になります。
日焼け止めは、その効果が「SPF」と「PA」で表記されています。紫外線には、肌の奥まで届いてDNAまで破壊するUV-A(紫外線A波)と、肌の表面に届いていわゆる日焼け現象を起こすUV-B(紫外線B波)があります。
SPFは、UV-Bをどれだけ防御できるかを表した指数で、数値が高いほど防御性能が高くなります。PAは、UV-Aに対する防御指数で、「+」「++」「+++」「++++」の4段階で表記され、+が多いほど防御性能が高くなります。日焼け止めを購入するときは、この表記をチェックして選ぶようにしましょう。
また、紫外線は曇りや雨の日でも降り注いでおり、晴れた日を100%とすると、曇りで約65%、雨でも約20%あるといわれます。4月から8月の特に紫外線の強い時期は、天候に関わらず日焼け止めを持ち歩き、こまめに塗ることが大切です。
塗るときに気を付けたいのは、塗る場所と頻度。顔だけでなく、首、肩、腕など露出している部分すべてにムラなく塗りましょう。
■目の日焼けは肌の日焼けを招く
あまり意識したことはないかもしれませんが、実は目も日焼けします。目が日焼けすると、痛み、充血、さらに視力低下につながる白内障を引き起こす危険性もあるので注意しましょう。
目の日焼けが肌の日焼けにつながることもあります。目に紫外線があたると目の細胞にダメージが生じます。そうすると、ダメージに反応した脳が防御機能として「メラニンをつくれ」と指令を出し、肌に紫外線が当たらなくても肌の日焼けの原因となることがあるのです。
目の日焼け対策として効果的なのは、サングラスをかけること。UVカット機能が付いているものがおすすめです。通常のサングラスでも目を守れますが、注意したいのは色の濃さ。UVカット機能が付いていない場合、濃い色のサングラスをかけると瞳孔が開いて、紫外線を浴びる面積が広がってしまうので、サングラスをかけるときは、UVカット機能が付いているものか、付いていない場合は、なるべく薄い色のサングラスを選びましょう。
また、日焼けは体の中からも防ぐことができます。詳しくは拙著『男は見た目が9割 嫌われない男のための美容大全』で解説していますが、たとえばトマトなどに含まれるリコピンには、紫外線によって発生する活性酸素を除去する抗酸化成分がたっぷり含まれています。
このほかにも紫外線によるダメージを予防したり、日焼け後の肌の回復に効果を発揮する食材はたくさんありますので、日焼け止めで外からケアしつつ、食生活で体の内側からも日焼けを防ぐことが大切です。
■オジサン臭い体にならないアンチエイジング入浴法
肌のハリの有無と共に、周りから加齢のサインとして認定されやすいのが、ニオイです。
ニオイには、影響する物質によっていくつか種類があります。いわゆる「加齢臭」は、40代以降に増えてくるノネナールという物質、30代後半〜40代後半に多く発生する「ミドル脂臭」は、ジアセチルという物質が原因です。また、年齢に関係なく発生する「疲労臭」は、疲れた時に蓄積しやすいアンモニアが原因で発生します。
気になるニオイを発生させないために、まず大切なのは正しい入浴法。人間の清潔な肌には、1000種類以上の細菌(常在菌)が生息し、肌を保湿したり雑菌から守ってくれています。
しかし、常在菌に正しく働いてもらうためには、汗、皮脂、剥がれ落ちた古い皮膚、空気中にあるチリやほこりなど体に付着した汚れを毎日きれいに落とす必要があります。
汗や皮脂そのものは、分泌されたときはほぼニオイはありませんが、時間の経過とともに汗や皮脂に含まれる成分が常在菌によって分解・酸化されることで嫌なニオイが発生する原因となるのです。
そうならないために、体に付着した汚れをしっかり落とす必要があるわけです。
■汚れがよく落ちそうな「ナイロンタオル」はデメリットばかり
体を洗ってから湯船に浸かるという人は多いかもしれませんが、実は逆です。湯船に浸かってから体を洗う方が、効果的に汚れを落とすことができます。まずは全身をざっとシャワーで流し、体が温まるまで湯船に浸かって毛穴を開きます。それから頭、体、顔の順番で洗うと、全身の汚れをきれいに落とすことができます。
加齢臭やミドル脂臭は、後頭部、首や耳の後ろ、胸や背中などの体幹部から発生しやすいので、そのあたりの部位は特に丁寧に洗うとよいでしょう。
また、体を洗うときは手で洗うのがベストです。汗やほこりなどの汚れは、お湯をかけたりシャワーで洗い流すだけでも落ちます。それだけでは落ちない皮脂汚れも、ボディーソープやせっけんをよく泡立てて体につけ、手でなでるように洗えば落とすことができます。
洗顔と同じく、体も力任せに洗うのは厳禁です。汚れがよく落ちそうなナイロンタオルも肌にはデメリットばかり。皮脂を取りすぎることで乾燥したり、摩擦による刺激でメラニンが過剰に生成され、色素沈着を起こす可能性もあります。
乾燥は体のシワやたるみの原因にもなるので、やさしく洗うようにしましょう。
不快なニオイがせず、シワやたるみ、くすみのない体をキープしたければ、正しい入浴法、正しい体の洗い方を毎日の習慣にしていくことをおすすめします。
■好感度と清潔感はケアで劇的に上げられる
ここでは、春からスタートしたい紫外線ケアや、ニオイ対策についてお話しましたが、拙著では、ムダ毛ケアや口臭対策など、男性の見た目全般について、ケア方法を詳しく解説しています。
肌にハリがなくなったり、ニオイが発生したりするのは、加齢に伴う自然現象なのでやむを得ないことですが、しょうがないからと何もケアをせずにいると、知らないうちに周りに迷惑をかけたり、あなた自身の評価を落としてしまうこともあります。
いくつになっても人から好かれる人、モテる人は、自分を客観的に見つめて、年齢にあったケアができている人です。その結果、見た目年齢を若く保つこともできます。
清潔感のある見た目は、信頼や好感度につながり、自分に自信が持てるようにもなるので、ぜひ今日から始めてみていただきたいと思います。
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堀江 義明(ほりえ・よしあき)
美容皮膚科医、産業医
1987年、千葉県生まれ。医療法人天翔会理事長。東海大学医学部卒業。大手美容クリニック皮膚科責任者を経て、2014年、恵比寿美容クリニックを開院。2015年、男性美容クリニックを全国6院に展開した後に事業譲渡。2018年、医療法人天翔会を設立、理事長就任。2020年、新たにMET BEAUTY CLINICを表参道で開院。国際医学会での講演や国際医学論文の執筆を行う傍ら、自身が代表幹事を務める日本未来医業研究会で後進の指導も行う。また、産業医として産業保健の理念や心身の健康増進を目指した活動に取り組む。メディア出演実績も多数。著書に『男は見た目が9割 美容皮膚科医が教える嫌われない男の美容大全』(アスコム)がある。
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(美容皮膚科医、産業医 堀江 義明)