小林誠司は正捕手に返り咲けるか(写真:アフロ)

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プロ野球の巨人の正捕手争いが激しさを増している。

昨シーズン最多スタメンの大城卓三(28)、ベテラン炭谷銀仁朗(33)、巻き返しを図る小林誠司(31)、そして成長株の岸田行倫(24)。春季キャンプからオープン戦にかけてそれぞれのアピールの場となるが、2021年シーズンの巨人の正捕手争いはどのような展開を見せるのか。J-CASTニュース編集部は、巨人で戦略コーチを務めた橋上秀樹氏(55)に話を聞いた。

Bクラスに沈んでいれば小林待望論も...

昨シーズン、開幕スタメンマスクをかぶったのが小林だ。原辰徳監督(62)の期待も大きく、レギュラー取りへ幸先の良いスタートを切ったが、開幕3戦目に左手首に死球を受け左尺骨骨折。この骨折の影響で長期離脱を余儀なくされ、出場はわずか10試合にとどまり18打数1安打に終わった。

小林が離脱している期間、チームを支えたのが大城と炭谷だ。大城は71試合でスタメンマスクをかぶり存在感を見せ、一方の炭谷は35試合にスタメン出場。シーズン終盤に入ってからは若手の岸田が台頭してきた。

「昨年の実績を踏まえ、首脳陣が優先順位を付けるとしたら大城選手、炭谷選手、岸田選手の順になると思います。小林選手は昨年ケガをして10試合しか出場していませんので評価しづらいですが、打撃の面で昨年と明らかに違うという評価を得られないと厳しいでしょう。昨年、チームがBクラスに沈んでいれば小林待望論が出てくるかもしれませんが、チームはリーグ優勝していますから」(橋上氏)

「原監督は打てる選手を求める」

セ・パ両リーグでコーチの経験を持つ橋上氏は、セ・リーグにおける捕手の攻撃力の重要性を指摘。そのなかで原監督の「性格」を分析しつつ正捕手争いに関して次のように言及した。

「DH制のないセ・リーグで攻撃力の差が付くのが捕手です。捕手のほとんどは8番を任されますが、攻撃力のない捕手の場合、打線が7人攻撃になり圧倒的に攻撃力が落ちる。捕手に対する要求は監督によって異なりますが、原監督は打てる捕手を求めるでしょう。守りに関しては炭谷選手がまとまっていますが、攻撃力でいえば間違いなく大城選手になる。ここ最近の大城選手は試合中の何気ない声掛けなどがみられ、周りからも信頼を得ている感じがします」(橋上氏)

激しい正捕手争いが展開されるなか、昨年不本意なシーズンに終わった小林の巻き返しはなるのか。春季キャンプでは、原監督から「熱血指導」を受け、改めて捕手としての資質の高さを認められた。

「小林選手はレギュラーというよりまずは1軍枠に」

「小林選手が入団した当初は、阿部慎之助という大きな目標を超えようとがむしゃらにやっていた。今はかつてのギラギラ感がなくなっているように見えます。変に落ち着いてしまっている感じがします。小林選手は菅野投手とバッテリーを組むことが多いですが、菅野投手以外の投手からもある程度の信頼を勝ち取り、引っ張っていく姿勢を見せてほしい。そういう姿勢を見せることも大切だと思います」(橋上氏)

原監督は捕手の起用パターンとして2人制を敷く可能性も示唆しており、春季キャンプでは危機管理の一環として石川慎吾外野手(27)に捕手の練習をさせた。第3捕手を置かずに捕手2人制となれば、今後、捕手争いはさらに激化していくとみられる。

「大城選手が100試合くらいマスクをかぶれるようになれば2人制でも良くなる。報道では石川選手に捕手の練習をさせているというので、捕手専用の3人は置かないかもしれない。セ・リーグの場合、捕手は2人制にしたいはず。捕手の3人目はほとんど使わないので、他の控えを厚くしたい。捕手の2人制は十分に考えられる。その分、競争は激しくなる。小林選手はレギュラーというよりまずは1軍枠に入ることだと思います」(橋上氏)