TikTokで真似するユーザーが続出した“顔面ワックス”(画像は『UNILAD 2021年2月16日付「Experts Warn Against ‘Full-Face Hot-Wax’ TikTok Videos」(kapsalonfreedom//TikTok)』のスクリーンショット)

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昨年、オランダの理髪店が美容法として「TikTok」に投稿した“顔面ワックス”の動画がバズり、今も真似をするユーザーがあとを絶たないようだ。しかし複数の専門家は「窒息や皮膚障害のリスクがある」として警鐘を鳴らしている。『BBC News』『UNILAD』などが伝えた。

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昨今は自宅でできるセルフ美容法が人気だが、ヘアスプレーの代わりに接着剤入りスプレーを代用して外科手術が必要になった女性やセルフタンニング剤の時間を置きすぎて緑色になってしまった女性など、とんだ目にあった人がSNSで話題を呼んだ。そんな中で“顔面ワックス”脱毛法も「TikTok」でバズっている。

日本でも人気の高い“ワックス脱毛”は温めた蜜蝋やパラフィン、柔らかい樹脂などを脱毛部分に塗布し、冷え固まってはがすとムダ毛も同時に抜けるという仕組みだ。レーザー脱毛に比べると即効性や手軽さで優る一方、物理的に毛を引き抜くため顔などの皮膚がデリケートな部位では赤みや痛み、肌荒れを起こす危険性がある。

昨年11月、オランダの理髪店「Kapsalon Freedom」がこのワックス脱毛を顔全体に施す様子をTikTokに投稿したところ、「この緑の液体は何なんだ?」「痛そうで見ていられない」「包み紙をはがされていくキャンディーみたい」といった声があがり、約8400万回の動画再生回数を記録した。

その動画では、顧客の顔だけではなく鼻や耳の穴の中にまで緑色のワックスをかなり厚く塗りこんでいるのが分かる。鼻や耳には綿棒を指して空気穴を作っているようだ。ワックスがしっかりと冷え固まり、施術者が端からゆっくりはがしていくとつるつるの素肌を手に入れた男性が笑顔を見せた。

注目度とフォロワー数の上昇を受けて、この理髪店の顔面ワックスの塗布範囲はどんどん広がり、最新の動画では首の下や胸部にまでワックスが塗られていた。

施術者のリナズ・イスマイルさん(Renaz Ismael)は『BBC News』のインタビューに応じ、以下のように語っている。

「僕の生まれた中東では、顔面ワックスはよく知られた施術だ。それを、ぼくは更に進化させたのさ。」
「顔全体にワックスを施したのは世界でも僕が初めてなんじゃないかな?」
「皮膚へのダメージなどもないし、とても有益な施術だよ。」

しかしながら英国皮膚科医協会(BAD)をはじめ、複数の専門家たちは「これは非常に危険な施術だ」とそのリスクをこのように指摘した。

「ワックスを耳の穴や鼻の中に入れるのは推奨できません。」
「ワックスは冷え固まるというのがこの施術のポイントですが、それが鼻の穴に入りこみ固まると、取り出すのは非常に困難です。」
「硬いワックスを外耳道や鼻孔から取り出そうとすると、デリケートな皮膚内膜にダメージを与え、感染症や炎症を引き起こすかもしれません。」
「さらに顔の皮膚、特に目の周りは非常にデリケートなので皮膚の痛みを伴う炎症を起こす可能性もあります。」
「なによりワックスが流れ込んで気道を塞いだり、窒息死に至ることが懸念されます。」

英国皮膚財団はこの動画に対して「(TikTok)は視聴者に向けた警告を行い、他にも数多くアップロードされているセルフ美容関連の動画に対して、ソーシャルメディアは規制を強めるべきだ」と主張している。

英国にて理髪店を営むアダム・グルーミング・アトリエさん(Adam Grooming Atelier)もこの意見に賛同し「TikTokなどのソーシャルメディアでは、多くの誤情報や有害な美容法を紹介しています」「(顔面ワックス動画に対しても)警告を出すのが賢明ではないでしょうか」と素人のセルフ美容法をSNSが後押ししている現状に警鐘を鳴らした。

画像は『UNILAD 2021年2月16日付「Experts Warn Against ‘Full-Face Hot-Wax’ TikTok Videos」(kapsalonfreedom//TikTok)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 YUKKE)