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いわゆる「キラキラネーム」を付けられた子どもたち。名付けた親としては、その名前に様々な願いや愛情を託したのかもしれません。しかし、当の子どもは、成長にともなって複雑な思いを抱くことも多いようです。

弁護士ドットコムにも「キラキラネームで悩んでいます。どうすれば改名できますか」という高校生からの相談が寄せられています。

相談者は「珍奇な名前のせいで、小さな頃からいじめられ、精神的に病んでしまいました。人前で、自分の名前を言うこともできません」と追い詰められているようです。高校では通称名で呼んでもらっており、できることならば改名したいと考えています。

意を決して、改名について親に相談してみたところ「親の気持ちも考えろ」と怒られたそうです。相談者は「いじめられて散々傷ついたこちらの気持ちも考えてほしい」と親に対する怒りを綴っています。

キラキラネームを付けられた子どもは、親の同意がなくても、名前を変えることはできるのでしょうか。長瀬佑志弁護士の解説をお届けします。

● 親の同意がなくても、「15歳以上」なら手続きが可能

ーー改名するためには、親の同意は必要なのでしょうか。

名前(この場合は姓名の「名」、いわゆる「下の名前」を指します)を変更するためには、家庭裁判所の許可を得て、市区町村役場に届け出る必要があります。

家庭裁判所の許可を得るためには、「正当な事由」が必要とされています(戸籍法107条の2)。

どのような場合に「正当な事由」があるとして、名の変更が許可されるかということですが、「奇妙な名」、「むずかしくて正確に読まれない」場合などが挙げられます。

この点では、出生届の不受理が問題となった事案で、「難解、卑猥(ひわい)使用の著しい不便、特定(識別)の困難などの名は命名することができない」と判示された裁判例も参考となります(名古屋高等裁判所昭和38年11月9日決定)。

今回のお悩みについては、奇妙な名前であるとか、難読な名前であると認められれば、家庭裁判所の許可を得て改名することが可能となります。

ただし、自分自身で名前の変更許可の申し立てをするためには、15歳以上でなければなりません。

15歳未満(14歳以下)の場合には、法定代理人(親権者等)が代理をしなければなりません。ご両親が反対している場合、15歳以上であればご自分で名前を変更する手続きを進めることができますが、14歳以下であれば手続きを進めることができません。

(弁護士ドットコムライフ)

【取材協力弁護士】
長瀬 佑志(ながせ・ゆうし)弁護士
弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。多数の企業の顧問に就任し、会社法関係、法人設立、労働問題、債権回収等、企業法務案件を担当するほか、交通事故、離婚問題等の個人法務を扱っている。著書『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践している ビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)、『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)ほか
事務所名:弁護士法人長瀬総合法律事務所
事務所URL:https://nagasesogo.com