ソフトバンクのヘッドコーチに就任した小久保裕紀氏【写真:荒川祐史】

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松田の復活にも期待「彼にはもうひと踏ん張りしてほしい」

 ソフトバンクは3日、球団OBの小久保裕紀氏が新たに1軍ヘッドコーチに就任すると発表した。同日、小久保氏はPayPayドーム内で記者会見を行った。会見終了後には、会見だけでは語り切れなかった熱い思いを語った。

 小久保ヘッドコーチは、会見で「一緒にやった選手もいるのでやりやすい」と語っていたが、背番号「9」を継承した柳田悠岐外野手もその1人。2011年に入団した柳田とは2年間チームメートで「僕のレベルよりもはるか上に行ってしまいました。本当にあそこまでなるとは思ってなかったんですけど、球界にとってなくてはならない選手になったと思います」と感心した。

 さらに小久保氏は柳田との珍エピソードも惜しみなく披露。2015年から小久保氏の跡を継ぎ背番号9を背負っているが、小久保氏によれば「『背番号をくれ』と言ったのは、俺との会食の約束を忘れた日でした。2時間遅れで来て『背番号ください』って」と明かし、笑いを誘った。

 会見で“ビッグスター”と称した松田宣浩も、現役時代にともにプレーした選手。「彼にはもうひと踏ん張りしてほしいというのは当然ありますが、そこだけに頼ってはいけない。彼のことはよくわかっているので、今年苦しんだ分、違った形でアドバイスできればと思います」と助言は惜しまない。その上で「球団の将来を考えればそういうこと(ポスト松田の育成)は必要」と、ポスト松田の育成の必要性を繰り返した。

“ポスト松田”の候補にはリチャードの名前を挙げる。「ゆっくりと話をしたことがないけど」と前置きし「ウエスタン(リーグ)とはいえ、タイトルをとったことは自信になっているでしょうから、そこをどう引き上げていくかも役割だと思います」と語る。

 選手にとって兄貴分的な存在となることは確かだが、同時にあえて嫌われ者になることも厭わない。「会見でも言いましたが、これからベテランになっていく選手が“腫れ物”になってはいけない。そういう選手を絶対に作らないことが役割だと思います。来年からは家族といるよりも長い時間を過ごすことになるので、ダメなものはダメと言える人間でありたい。成績を残しているから、主力だからいいだろうでは許されないことは当然あると思います」と引き締める。

 背番号は「90」に決まり「侍ジャパンの監督時代にもつけていたので、そこは球団が配慮してくれたんだと思います」と小久保ヘッドコーチ。確かに侍ジャパンの流れがあるとはいえ、先日引退を表明した水島新司氏が手放しで喜びそうな“あぶさん”ナンバーを背負って、ミスターホークスの新しい挑戦が始まろうとしている。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)