恐ろしい…「駅から徒歩3分アパート」のとんでもない末路

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なぜ不動産投資が失敗し、トラブル化するケースが少なくないのか。それは一言でいえば「不動産投資の目的」を履き違えていることにつきる。…本記事は書籍『中古一棟収益物件 攻略完全バイブル』(幻冬舎MC)より一部を抜粋、再編集したものです。

大学がある駅に収益物件がリスクだらけなワケ

不動産投資で気をつけなければいけないことは、投資対象である物件の収益性と資産性の両方を見極めることです。物件の収益性と資産性の両方を見て、投下した資本が減らないような物件を購入しなければ意味がないのです。それが理解できれば、不動産会社に騙されて純資産を減らすということもありません。

さらに、純資産を増やす上で重要なことが、お金の時間価値です。お金の時間価値とは、すなわち、明日もらうお金よりも、今日もらうお金の方が価値が高いということです。つまり、利益はなるべく短期間で確定すること。不動産業者の口車に乗って、銀行融資の最大期間である30年や40年といった長期的な期間で投資をすべきではないということでした。

(※写真はイメージです/PIXTA)

こうしたことを踏まえて、具体的にどのような物件を購入すればいいのか詳しく見ていきたいと思います。

最も大きなポイントは「“売る時”に物件価格が下がらないものを適切な価格で、適切なローンで買う」ということです。

結論からいうと、「東京経済圏にある、都内へ電車で60分ほどでアクセスできる築20年以上のアパートを購入する」ということです。

なぜ、そのような物件は価格が下がらないのでしょうか? 具体的に説明していきましょう。

価格が下がらない物件とはどのような物件なのか。投資対象である収益物件は、2つの要素で価格が動きます。一つは物件の「収益性(実質利回り=収益率)」です。もう一つは、物件そのものの「資産性」です。この2つの要素によって物件が下がる理由は、大きく分けて次の5つの理由があります。

(1)家賃収入が低下する 

収益物件の場合、家賃収入が低下すれば、収益物件の評価額にも影響があります。収益物件相場は収益率で成り立っているので、収益率のもとになっている家賃収入が下落すれば、物件の価格も下がることになります。

例えば、次のようなケースです。

年間賃料が500万円で相場利回りが10%の場合、

年間賃料500万円÷相場利回り10%=物件価格5000万円

となります。

ところが、家賃収入が減り、年間の賃料が400万円で100万円減ってしまったとしましょう。相場利回りがそのまま10%で変わらない場合は次のようになります。

年間賃料400万円÷相場利回り10%=物件価格4000万円

家賃が年間で100万円減っただけでも、相場利回りが変わらなければ、物件の価格は1000万円も減ることになります。

家賃収入が低下するケースで全般的に多いのは、大学がある駅に収益物件を持つケースです。入居需要がほとんど学生に依存しているため、大学の事情で入居状態が大きく変化します。物件が駅から遠いとか近いとかは関係ありません。

万が一キャンパスが移転してしまったら、駅から近くても賃貸需要が見込めない物件になります。また、最近では大学自身で寮などを建築してしまう事例もあります。大学そのものが移転するわけではありませんが、大学寮などの住居施設ができると、学生は経済的な理由などで大学寮を選ぶ確率が高くなります。そうすると入居需要が減り、その結果、空室が続いて家賃収入が減り、収益率にも大きく影響していくというわけです。

恐ろしい…「駅から3分」で物件を選んだ末路

物件の立地条件として、駅から近いというのは確かに理想的です。しかし、駅からの距離というのは物件を選ぶ時の一つの要素に過ぎず、駅から近いからといって収益性が高いわけでもなければ資産性があるわけでもありません。そのことをよく注意すべきです。

サラリーマンで不動産投資をスタートする人が、物件選定で間違ってしまいがちな基準が3つあります。

一つは、「金利が低いから購入する」、2つ目は「建物が新しいから購入する」3つ目は「駅から近いから購入する」という3つです。これまで紹介したように、金利がいくら低くても、収益性や資産性が低い物件に投資することになれば、純資産は増えません。建物が新しくても家賃と建物評価が同時に下がるので、売却時期を見極めないと純資産が増えません。それと同じように、駅から3分の物件でも投資に値しない物件は山ほどあります。

例えば、こんな話があります。

ある私鉄の特急の停車駅から徒歩3分のアパートを購入した、サラリーマン投資家がいました。内見した時には全10室のうち2室が空室になっていたそうです。立地の強みもあったので、空室になってもすぐに埋まるだろうという考えで、購入を決定しました。

ところが、中々空室は埋まらず、それどころか逆に大口の法人の契約も切れて、空室が一気に5室になってしまいました。広告料を半年分出すことにしましたが、それでも埋まらない状況が続きました。 

広告料を上乗せしても空室が埋まらない理由は、物件のあるエリアの家賃が毎月のようにどんどん下がり続けていたからです。結局、家賃を購入当初の半額まで落として、やっと3室を埋めたそうです。

なぜいつまでたっても空室が埋まらなかったのか? それはそのエリアの入居者にとって駅近にメリットが全くなかったからです。実はその停車駅には大学が3つありました。その大学が学校で寮を運営することになり、入居需要がそちらに流れてしまったそうなのです。また、学生以外に工場で働く人の入居需要もありましたが、なんと工場が閉鎖され、工場で働いていた人の賃貸需要がゼロになってしまったそうです。

駅から3分でも、そもそも入居需要がなければ駅近のメリットは活かせません。むしろ、駅から徒歩15分でもそれ以外の要因が優れていれば、そちらに投資をした方がいいでしょう。「駅近」と「金利」と「新築」の魔力に惑わされてはいけません。駅近は不動産投資をする上で有利なことは確かです。しかし、駅から3分でも賃貸需要がないところもあります。

それは、そもそも駅の乗降客数が少ないという問題です。乗降客数は投資に値するギリギリで1日2万人ぐらいです。それ以下の乗降客数だと賃貸需要が特定の要因に依存することになります。投資環境が大きく変わりやすく、その結果、物件の収益性、資産性が大きく低下するので初心者には不向きな物件です。

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(2)投資家(購入側)の要求利回りの上昇がある

収益物件は物件価格に「相場」があるわけではありません。利回りに「相場」があるのです。そして、利回りは主に次の3つで決定されています。 

.┘螢◆兵鹽垠、地方、都市部、郊外など)⇔地(駅距離、環境、地形など)、J件(種別、構造、築年数など)です。その他の要因もありますが、主にこれらの要因で相場ができてきます。

中には全くエリア無視で投資を進める人もいます。しかし、多くの投資家は、自分自身で物件を把握することができて、物件管理でも容易な場所で購入検討をすると考えられます。そのエリアの利回り相場が「新築物件なら7%」「築浅中古なら9%」「築古中古なら10%」などというように、物件ごとに利回りが変わっていることに気がつくでしょう。

収益物件の相場において個人投資家の利回りの要求が現状よりも高くなった場合、物件価格は相対的に下がるということになります。

例えば、年間賃料で500万円ある収益物件があるとします。相場利回りが8%の場合は、物件価格は次のようになります。

年間賃料500万円÷相場利回り8%=物件価格6250万円

ところが、年間賃料が変わらないのに相場利回りが2%上昇し、10%になった場合には、物件価格は次のようになります。

年間賃料500万円÷相場利回り10%=物件価格5000万円 

相場利回りが2%上がっただけでも、物件価格はそれに連動して1250万円も下がるのです。

エリアや立地条件を除いて、物件利回りが変わる要因には、建物構造や築年数で変化します。非常に大雑把ですが、次のようになります。

物件の利回りは、建築構造では、‥感撻灰鵐リート造、⊇杜姪換造、7變姪換造、ぬ畋い僚腓罵回りが高くなります。築年数では、/恵曄↓中古(築20年まで)、C羝邸蔽20年以降)の順で利回りが高くなります。 

このように利回りの相場が決まっているので、木造の収益物件は鉄筋コンクリートの収益物件より利回りが高くないと売却が難しいといえます。また、中古物件は新築物件より利回りが高くないと売れないということになります。

このため、築年数には気をつけなければいけません。特に新築物件は中古に比べ投資リスクが低いため一般的には利回りが低くなります。そして売る時は保有期間にかかわらず、必ず「中古物件」になり新築よりも高い利回り相場での売却となるのです。中古物件に関しても傾向としては20年を境に築浅物件から築古物件になり利回りが変わってきます。

そのため、比較的築の浅い物件を取得した時は、築20年を超える前に売却するほうが売却時の利回り上昇によるキャピタルロスが出にくいです。築20年を超える物件の場合は、新耐震基準前の物件であるなら極端に古くならない限りあまり利回り上昇の影響はありません。

新築物件は、いずれ賃料が下がるだけでなく、売却時は中古扱いになって要求利回りが変わるため、賃料低下と利回り上昇がダブルで発生します。

新築の物件を購入する場合は、この性質を事前に理解して物件取得することが重要です。中古物件は、「築10年で購入するから出口は築18年で、8年間の運用」というように期間を見込んで利益が出るかシミュレートすることが必要です。

賃料低下と利回り上昇によるキャピタルロスの影響を一番受けにくい(価格が下がりにくい物件)のは、これらの要因を総合的に考えると築古中古物件です。築古中古物件は賃料低下や売却時利回り上昇が起こりにくいですが、建物コンディションを保つことをポイントに運用期間を考える必要があります。

22年目の「木造建物」の恐ろしさ…

(3)経年による建物評価の減少

これまでは収益性という視点から物件価格が下がる原因を見てきましたが、資産性という視点でも物件価格が下がる原因がいくつか存在します。

収益物件は建物と土地の2つの資産で構成されています。このうち建物は年月が経てば劣化していきます。劣化といっても資産評価上の問題です。建物自体は、構造さえしっかりしていれば50年、100年保っている建物はたくさんあります。

しかし、建物の資産としての評価は経年で減価します。例えば、木造の建物の場合は、耐用年数22年で減価償却するということが法律上決められています。減価償却とは、資産を耐用年数の間で費用化するということです。つまり、22年で木造の建物は全て費用化され、資産評価はゼロになるということです。資産評価がゼロになれば、売却の時にも建物はゼロに近い評価として取引が行われます。

(4)土地相場の下落

また、土地相場が下落すれば物件の評価が下がります。土地の価格は極端に下がることはありませんが、人口減少や商業が活発になって土地の需要が上がるなどの経済的な影響によって多少の変動があります。

(5)融資状況が悪い

次の投資家が購入する際に融資が付きにくいというのも、物件価格を下げる大きな要因となります。不動産投資の一つの特徴としては物件購入時に「融資」を受けて取得する人がほとんどであるということです。中には物件の大小にかかわらず現金購入する人もいなくはないのですが少数です。そのため、売却を考えた場合ターゲットは多い方が売却価格が安定するのは当然のことといえます。

銀行が収益物件に融資をする際には、投資家と同じように、その物件の収益性と資産性を見て判断しています。収益性が悪かったり、資産性が悪かったりすれば、融資が下りないという可能性もあります。当然のことながら、融資が下りない物件は投資家が買おうとしないので、必然的に物件価格も下がっていくというわけです。だからこそ、購入を検討している物件に融資が付くかどうかはとても重要なのです。