「菅義偉首相」なら13年ぶりの「70代就任」 激務こなす秘訣は腹筋、ウォーキングとスイーツ?
安倍晋三首相の後任を決める自民党総裁選に、菅義偉・官房長官が2020年9月2日、正式に出馬表明した。新聞社やテレビ局はこぞって菅氏が「優勢」であることを報じている。71歳の菅氏が首相となれば、13年ぶりの就任時に70代の首相誕生となる。「人生100年時代」とはいえ、過去30年に新たに首相に就任した15人のうち、70代は3人だけだ。
首相官邸のウェブサイトによると、2020年までの30年間に初めて首相となった15人のうち、50代で就任したのが、安倍晋三氏(2006年に52歳で就任)ら7人で最多だった。60代で就任したのは麻生太郎氏(2008年に68歳で就任)ら5人。70代は故・宮澤喜一氏(1991年に72歳で就任)、村山富市氏(1994年に70歳で就任)、福田康夫氏(2007年に71歳で就任)の3人だ。
過去30年で70代就任は15人中3人、50代は7人
1948年生まれの菅義偉氏。2012年12月に64歳で第2次安倍政権の官房長官に就き、以来7年8カ月にわたり、1日24時間、365日の激務を休みなくこなしてきた。官房長官は「政権の顔」として矢面に立つポジション。内外から注目され、体力的にも精神的にも負担は重い。
安倍首相が辞任を表明した20年8月28日の記者会見に出席したジャーナリストの江川紹子さんは、菅氏の体調を案ずるツイートをしている。
「今日の記者会見、菅官房長官の顔色がどうなのかなって思ったら、他の人も『そう思う』と。熱でも出したのでなければいいけど」
全国紙で菅氏の「番記者」を務める男性も言う。
「確かに、番記者仲間でも『安倍首相より菅さんのほうが体調は悪そうに見えた』という声はありました。いつもの首相会見時は安倍首相が会見場に入って目配せするまで、菅長官や官房副長官らは立って待つのが『慣習』なのですが、(28日は)菅さんが目配せの前につらそうな表情を浮かべながら早々に着席したので、『あれ』と思いました」
腹筋は朝晩計200回、ウォーキングは毎日40分
激務をこなすため、菅氏は体調管理には人一倍気をつかっているという。全国紙の番記者によると、菅氏は毎日午前5時に起床。主要紙すべてに目を通した後、腹筋を100回した後の6時台には40分間のウォーキングを日課にしている。東京・赤坂の議員宿舎の周辺を、雨の日も欠かさず歩くという。
腹筋は、自民党が野党時代に70キロ台後半まで太ってしまったことからダイエットとして始めたという。朝だけでなく、帰宅後も毎日100回こなす習慣を続けているという。
朝夕は政財界など幅広い関係者との会合を連日こなすが、ダイエットの意味もあり、炭水化物は極力控えているという。ただ、パンケーキなど甘いものが好物なのはよく知られており、時折スイーツなどの画像を自身のツイッターやインスタグラムに投稿している。ちなみに酒は、体質に合わないとのことで、嗜まない。
前出の番記者とは別の、全国紙の元番記者はこう話す。
「菅さんは官房長官就任以来、横浜市の自宅に1度も泊まったことがありません。何かあったら速やかに執務に入れるよう、常に緊張を解いていないのです。スイーツはほんの一時の『安らぎ』みたいなものじゃないですか」
首相となれば、激務は当然として、かかるプレッシャーは官房長官以上だろう。元番記者は言う。
「(同じく71歳で首相になった)福田(康夫)さんや(68歳で首相になった)麻生(太郎)さんも取材してきましたが、彼らと比べると菅さんは少なくとも今の段階では最も体力的にも精神的にも充実しているように見えます。ただ、新型コロナの問題も進行中ですし、中国・北朝鮮などとの外交も予断を許さない。諸々の懸案を支える、有能な閣僚や党役員を任命できるか、人事が大きな鍵を握ると思います」
近年の首相と初就任時の年齢は
近年の首相と初就任時の年齢は1989年 海部俊樹 58歳
1991年 宮澤喜一 72歳
1993年 細川護煕 55歳
1994年 羽田孜 58歳
1994年 村山富市 70歳
1996年 橋本龍太郎 58歳
1998年 小渕恵三 61歳
2000年 森喜朗 62歳
2001年 小泉純一郎 59歳
2006年 安倍晋三 52歳
2007年 福田康夫 71歳
2008年 麻生太郎 68歳
2009年 鳩山由紀夫 62歳
2010年 菅直人 63歳
2011年 野田佳彦 54歳