車体色によっては納車が2021年4月以降になる可能性も

 日産は6月24日に、国内市場では10年ぶりの新型車としてキックスを発表した。世界的にクロスオーバーSUVの人気が高まるなかで、“ガラパゴス市場”と呼ばれる日本市場でも、各メーカーがクロスオーバーSUVのラインアップを強化している。キックスはそのなかでも、競争の激しいコンパクトクロスオーバーSUVとなる。そして国内市場ではシリーズハイブリッドのe-POWERのみとするなど、話題性も高まっている。

 そのキックスの様子を見に、某日産系ディーラーを訪れた。実車を見るのは初めてだったが、全幅が1750mmをオーバーしていることもあり、コマーシャルなどで見るよりも随分大きいことに驚いた。

 応対してくれたセールスマン氏によると、ライバルはトヨタC-HRになるとのこと。C-HRはラゲッジスペースやリヤシートまわりが狭い、デザイン重視のクーペSUVスタイルとなるので、オーソドックスなSUVスタイルとなるキックスと真っ向勝負できるかどうかは少々疑問が残るところ。ボディサイズがトヨタ・ライズのような5ナンバーサイズとまでは言わないが、もうひとまわり小さくして、全幅が1750mmを下まわるサイズのほうが日本市場ではより適しているように思える。ボディサイズは少々中途半端である。

 車両本体価格275万9000円となるXに、カーナビ、ドラレコ、ETCを装着し、フロアマットなど最低限のアクセサリーを装着させたら、支払総額が350万円を超えてしまい驚いてしまった。しかし、さらに筆者を驚かせることをセールスマンは教えてくれた。筆者がリクエストしたボディカラーだと、すぐ契約が成立しても納車は来年2月以降になるとのこと。まごまごしていれば、2020年度ではなく2021年度(2021年4月以降)になってしまう可能性もあるという。

タイからの輸入に新型コロナウイルスの影響もある?

 ディーラーが売れ筋のボディカラーなどで、“先行見込み発注”した車両のなかにお気に入りがあって契約したとしても、年内納車が間に合うかどうかはわからないとのこと。

 じつはキックスは日本国内ではなく、タイの工場で生産され、完成車を日本に輸入して販売される。つまり、輸入車なのである。輸入車として考えれば、見込み発注車両以外になると、納車まで長期間待つのは当たり前だが、はたしてキックスレベルのモデルで、半年以上も納車を待てるものなのだろうか。

 セールスマン氏は「いまどきはどのメーカーでも納期遅延が当たり前です」とケロっとしていたが、ライバルとしているC-HRの納期目処は1〜2カ月となっているので、明らかに販売上は不利のようにも見える。ちなみに納期目処が一時4カ月まで伸びたライズでも、いまは2.5カ月となっている。このような納期の混乱は、「初期受注が殺到したため」としているが、新型コロナウイルスが世界的に感染拡大しているなかで、海外から完成車を輸入することでのトラブルでも発生しているのではないかと疑いたくなってしまう。

 納車が来年の2月以降ということは、車格はやや異なるかもしれないが、トヨタ・ヤリス クロスは8月末にはデビュー予定との情報もあるし、早計に契約せずに様子を見た方がいいかもしれない。