英当局、標準検索エンジンの座めぐるアップルとGoogleの取引を調査。「市場参入の大きな障壁」

英国の規制当局が、アップルとGoogleとの間の長期にわたる取り決めについて調査をしています。

英国政府が市場競争に関してまとめた報告書によると、Googleは様々なブラウザーにおける標準の検索エンジンの座を得るため、2019年には12億ポンド(約15億ドル、約1610億円)を使いましたが、その大半がアップルのSafariブラウザーにたいする対するデフォルト検索エンジンのための費用だったとのこと。

またGoogleは検索広告収入の一部をこのような契約における見返りとして相手に支払っているとされます。

英当局は、この契約が検索エンジン市場における「参入および拡大への大きな障壁」になっていると述べています。

macOSのSafariブラウザーや、iPhoneに搭載されるMobile Safariのデフォルトの検索エンジンは長年Googleが標準となっています。これによってGoogleはAndroidだけでなくiPhoneなどでも広告ビジネスの収益を最大化でき、競争の面でも大きな優位性を獲得しています。

しかしこの契約が、Googleのライバルとなる検索エンジン各社にとって「参入と拡大に対する大きな壁」となっており、デフォルト検索エンジン登録から収益を得るアップルのやり方を規制するか、セットアップ時にユーザーに使用する検索エンジンを選択させるといった方法を義務づけるなどの必要性があると述べられています。

この取引は2014年には年間10億ドルだったと当時のニュースで伝えられていたことを考えると、アップルの標準検索エンジンとしての価格は数年間で1.5倍に膨らんだと言えます。また今年初めに資産運用会社のアライアンス・バーンスタインが報告したところでは、アップルはこのようなライセンス取引から年間90億ドルを生み出しており、その利益率は90%以上だと推定されていました。

アップルのティム・クックCEOは2018年、ユーザーのプライバシー保護を主張するアップルがなぜデフォルトの検索エンジンにGoogleを選んでいるのかとの質問に対し、その理由として、支払われる金額ではなくユーザーにとって最も素晴らしいものだからだと回答しています。またGoogleによる検索からの情報取得については、Safariブラウザーが備えるトラッカー防止機能などが役立つとアピールしていました。

EUは過去10年の間にGoogleの市場独占などに対して数十億ドルもの罰金を課してきました。英国は今年初めにEUから離脱しましたが、今回の調査の結果どのような措置が講じられるのかは気になるところです。

source:Reuters, gov.uk
via:The Verge
coverage:Gizmodo

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