あいのり「初代ラブワゴン」、解体されてスクラップになる
恋愛バラエティー番組「あいのり」(フジテレビ系)で、1999年10月の放送開始時から約8か月にわたって使われていた「初代ラブワゴン」。
Jタウンネットは2019年9月19日付の記事で、これがボロボロの姿で箱根に放置されていることを紹介した。
ワゴンのペイントの色ははげ、黒ずんだ錆のようなものが車体を覆い、車検も切れている。番組で活躍していたころからは想像もつかない姿に、読者からは悲しみの声が上がっていた。
そして半年後――箱根でひっそりと余生を過ごしていたラブワゴンが解体される日が来てしまった。
さよなら初代ラブワゴン(画像はトヨタ自動車公式チャンネルの動画より)
いとも簡単にプレスされるラブワゴン。これは、トヨタ自動車(愛知県豊田市)が20年2月26日にYouTubeで公開した動画の一幕だ。
動画のタイトルは「ラブワゴンと、99%の愛。 〜TOYOTAのリサイクル〜」。トヨタ車を元にした初代ラブワゴンを一度スクラップにして、その99%をリサイクルするという内容だ。説明欄には、ワゴンはバッテリーの故障や、ディーゼル車規制で走ることができなくなっていたと記載されている。
コメント欄には、
「かなり悲壮感漂ってたあの車が、映像の力によって最後の花を咲かせたというところかな」
「放置されて朽ちるくらいならこっちの方がいいね」
「いい事言ってるけど、やっぱこういうの見ると寂しくなるよね、、」
「車好きには辛い動画だな...見てると悲しくなる...」
など様々な声が寄せられている。
「ラブワゴンは記憶に残る『愛車』」
いったいなぜ、初代ラブワゴンを解体したのだろうか。Jタウンネットは11日、トヨタ自動車の広報担当を取材した。
担当者によれば、放置されていたラブワゴンの持ち主は処分を検討するうえで、いくつかの業者に声を掛けていた。その中でトヨタ自動車が担当することになった経緯について、担当者は、
「ラブワゴンは、『あいのり』を通じて多くの皆様に愛していただき、今なお記憶に残る『愛車』であると考えております。またラブワゴンはトヨタ車をご使用いただいているご縁もあり、フジテレビ様のご協力も得てリサイクルを実施いたしました」
と話している。ワゴンの持ち主はフジテレビではないという。
リサイクルの様子を動画に(画像はトヨタ自動車公式チャンネルの動画より)
リサイクルが実施されたのは2月7日。エンジン、トランスミッション、タイヤなど部品で利用できるものは再利用し、鉄やプラスチックなどは資源としてリサイクルする。
トヨタでは今回に限らず、廃車された車両の99%以上を再資源化・リサイクルすることに取り組んでいる。動画にして公開したのは、環境保護に向けたこの取り組みを多くの人に知ってもらいたいという狙いがあったからだという。
「ラブワゴンは番組を通じて日本中の皆様へ愛を届けてくれました。トヨタとしては、今回の動画を通じ1人でも多くの皆様と、環境やリサイクルについて考えるきっかけになればと考えております」(担当者)
新しい車の一部となって生まれ変わるまで、しばしお別れだ。