鮮やかな黄色と緑で塗り分けられた矢羽形の「初心者マーク」。

運転手が車の免許を取りたてであることを示すこの標識を5枚集めると、超かっこよく変身するらしい。


かっこいい・・・!(安居さんのツイートより)

こちらは、フィギュアやプロレスマスク等を制作する造形師の安居智博(やすい・ともひろ)さんの作品。100円ショップで購入した5枚の初心者マークで作られている。

マークと同じように右半身と左半身でカラーリングがきっぱりと分かれたボディ。頭部には黒いふちがうまく活用され、マスクをかぶっているようだ。背中にはマークの上の部分を背負っているが、これが羽にも、風にたなびくスカーフにも見える。

こういう特撮ヒーローがいるんだよ!と言われれば、信じてしまう人も少なくないだろう。

作品を見た人からは、

「初心者マークのクオリティじゃない...」
「どう見ても上級者だろ」
「これはカッコ良すぎる 初心者運転のヒーロー誕生!」

など、驚きの声が寄せられている。左右で色がきっぱり分かれていることから「仮面ライダーW」(テレビ朝日系列、09〜10年放映)のようだと感嘆するユーザーも複数見られた。

名前は「ワカバー」

安居さんは「カミロボ」という紙製の人形を、小学生の頃から35年にわたって作り続けている。小学3年生の時に考案した「ヤスイ締め」という針金の留め方で素材を接合することで、首・肩・腕・脚などを人間の関節と同じように動かせるロボットファイターだ。

「『ヤスイ締め』が使える素材ならば、だいたいどんな素材でも可動式のロボットが作れます」

と安居さん。紙以外でも「カミロボ」が作れると思い立ってからは、様々な素材で「異素材カミロボ」を作るようになった。初心者マークでできた人形もこのうちのひとつ。

「カミロボ異素材軍団の一員、初心者マークカミロボ『ワカバー』です。
制作した2017年に名付けました。
日用品を使って様々なロボットを作っている過程で、たまたま100円ショップで初心者マークを見たのがきっかけです」(安居さん)

使用した初心者マークは裏がマグネットになっているタイプ。カットしたマークを、緑と黄色のカラーワイヤーを使ってつなぎ合わせている。


制作過程(安居さんのツイートより)

初心者マークはきれいに切れて素直に丸まってくれるため、扱いやすい素材だったそうだが、「デザインのまとめ方」には苦労があったという。

こだわったのは、「初心者マークのデザインの印象を残す事」。

「具体的には、人体に落とし込んでも黄色と黄緑の左右の関係をキープすることや、あまり細かくカットせずに大きな面積で使える部分はなるべく大きく使う、など、自分なりのデザインルールを作って構築していきました」

「初心者マークのデザインのシンプルな密度感を残しつつ、いかにも初心者マークらしいポイントを各部に配置しながらデザインを構築していくのが難しかったです」


関節も動くワカバー(安居さんのツイートより)

初心者マークには初々しい印象を持っていたが、こんなにかっこいい「ワカバー」を見た後では、マークが貼られた車が今までよりもちょっと頼もしく見えてくるかもしれない。