16日、保有するライブドア株をUSEN宇野社長に譲渡することを発表し、報道陣の質問に答えるフジテレビの日枝会長(撮影:吉川忠行)

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フジテレビジョンは16日、保有するライブドア株(発行済み株式の12.74%)すべてを、USENの宇野康秀社長個人に、1株71円、総額約95億円で売却することで譲渡契約を結んだことを発表した。

 ニッポン放送株をめぐる攻防戦の末、2005年4月に和解したフジテレビ、ライブドア両社の提携関係は事実上解消。同日、東京都千代田区のキャピトル東急ホテルで行われた記者会見で、フジテレビの日枝久会長は、この売却で発生した約345億円の損失について、全額ライブドアに損害賠償請求を求める考えを表明した。

 会見での日枝氏と報道陣との質疑は次の通り。

── いろいろな選択肢の中でなぜUSENを選んだのか

 USENとは『GyaO(ギャオ)』を通じて共同事業をやってきたし、映画もお互い出資して作ったことがあり、昨年来、現場でもいろんな交流がある。ライブドア株を購入して再生に助力したいという提案をしてきた宇野氏に、すごい熱意を感じた。ほかにも申し出があったが、一番大事なのはライブドアを再生させる事業会社であることがベストであると判断し、USENと話を詰めていった。

── 合意に至るまでの経緯は。

 今週(13日〜)に入ってから、かなり具体的な価格、方法について話し合いが始まった。最終的に決まったのは昨日(15日)の夕方。

── 宇野氏からの提案は「全株譲渡」というものだったのか。

 全株という前提。

── 売却価格である1株71円の根拠は。

 フィナンシャルアドバイザーや弁護士に相談した結果、適当な価格としてあがったもの。直近1週間の加重平均をもとに算出した数字を専門家にチェックをしてもらった。

── 複数社からオファーがあったというが、株の購入価格は吟味したのか。

 オファーしてきた固有名詞については明らかにできないが、宇野さんの提示した価格との差が歴然とあった。全然われわれが対応できない数字だった。

── ライブドアとの関係について思うことは。

 解消したとは思わない。ただ、強制捜査が入ったことは、私どもと昨年からやってきたのは何だったのか、大変遺憾であった。是々非々でこれからもネットでビジネスをするかもしれない。

── 宇野氏がライブドア側に関わることで、損害賠償請求の矛先が鈍るのでは。

 全く関係がないことで、証券取引法第18条に基づいて厳正にやっていく。

── ライブドア株の売却損が345億円になるが、経営責任は。

 和解に至るまでには、ライブドアからいろいろな条件も出されたが、私どもにとって将来的な拘束になるような条件は拒否してきた。1カ月にわたってデューデリジェンス(資産査定)を行い、機関決定をし、瑕疵(かし)のないような手続きで、第3者割当増資を引き受けた。従って、ベストな和解という経営判断をした。経営責任はない。【了】

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