イラスト:上田 耀子

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結婚すると、お互いの実家ともお付き合いが始まります。

【実録】「離婚は簡単」間違った認識で実の父母まで苦しめた妻の過ちとは

生まれる家を選べないのは誰もが同じですが、自分よりパートナーの実家のほうが裕福など、“格差”を感じてモヤモヤしても結婚生活を続けなければいけません。

ですが、男性のなかにはその鬱屈を解消できず、浮気や不倫でごまかそうとすることもあります。

「実家の格差」に苦しむ男性のリアルについて、ご紹介します。

自分ではどうにもならない「実家の力」

1.披露宴から干渉され、それを拒めない現実

34歳の男性は、職場で知り合った同い年の女性を好きになり、二年の交際を経て入籍しました。

お付き合いしているときに何度か彼女の実家を訪れ、

「父親は銀行勤務で母親は学校の先生、お金の苦労には無縁だなといつも高級なお菓子を出されながら思っていた」

のだそうです。

対して男性のほうは「ごく普通の中小企業に勤める父親とスーパーでパート勤務の母親」という家庭で、彼女の実家を羨ましく思うこともありました。

お付き合いしているときはそれが特に問題になることはなかったのですが、つまずいたのは披露宴について話し合ったとき。

「俺も妻もお互いの家族の希望を大事にしようって話していたのだけど、彼女のほうは偉い肩書の人を大勢呼んだ豪勢な式にしたがって、俺の親はそれより身内だけでアットホームな時間を過ごしたいって言っていて。

彼女の父親が、

『ひとり娘を嫁に出すのだから、恥ずかしくない披露宴にしたい』

っていう気持ちはわかるのでそれを受け入れることにしたけれど、席次表を作ったら人数にすごい差が出るし、それだけお金もかかる。

俺のほうはそこまで貯金もなかったので難しいなと思っていたら、彼女の実家が8割出すから、と言い出して強引に進められました。

妻は俺に『言い出したら止まらない親でごめんなさい』って謝ってくれたけど、披露宴の内容もすべて向こうの親の希望ばかりで、俺の家族は本当に肩身の狭い思いをしたと思う。

あのときのモヤモヤが新婚生活が始まってからもなかなか消えません」

と、「披露宴に呼ぶ人間の地味な実家」「干渉を止められない自分」に対する引け目を今も引きずっています。

多くの人に見られる披露宴では、両家の格差はどうしても伝わるもの。それがわかるだけに、屈辱のような苦しい気持ちを抱えてしまうのですね。

妻の女性とは幸せな結婚生活を続けていますが、「これから妻の出産とかあるだろうし、また向こうの親が口を出してくるんだろうなと思うといっそ県外に転勤したい」と男性はため息をついていました。

家族のイベントがあるたびに、実家の格差を思い知らされるのは男性にとって気が滅入ること。

これをどう乗り越えていくか、男性は「妻に相談することはプライドがあって難しい」と苦しい口調で話していました。

2.「同居が前提」で多額の頭金を持ってこられる

38歳の男性は、婚活パーティーで知り合った女性とお付き合いすることになり、間もなく彼女の妊娠がわかり結婚を決めました。

当時、男性が住んでいたのは実家が残してくれた古い一戸建て。老朽化が進んでいるうえに間取りも狭く、家族で暮らすには不向きだったといいます。

「それで、思い切って賃貸のアパートに住もうと妻に言ったんですね。

家はお金が貯まったら取り壊して新築を建てればいいし、俺の仕事はまだ昇給が期待できるから妻がしばらく働けなくても大丈夫と話しました」

それを聞いた妻は、

「私のほうはあまり貯金がないし、家を建て直すといってもまだまだ時間がかかるよね?

それまでの家賃が無駄になるし、どうせなら今すぐ新築にしてゆっくり子育てがしたい」

と返してきたそうです。

いわゆる高齢出産になる妻の、育児や新生活に対する不安は男性にも理解できました。ですが、今すぐ建て直したくてもお金がないのが現実で、

「ローンを組むにしても、妻が復職するまでの生活費を考えたら貯金がどんどん減っていくのが恐ろしい」

と男性は電卓を手に頭を悩ませていたそうです。

ところが、ある日妻の両親が訪ねてきて

「娘から話は聞いた。

せっかく土地があるのなら、すぐ取り壊して新しく家を建てるのが正解だと思う。

もちろん私たちも援助するから」

と申し出てくれます。

男性はびっくりしたもののお礼を言いますが、問題はその後に続いた

「私たちと同居するのなら、○百万円の頭金を出せる」

という言葉でした。

「要は、お金を出すから同居させろってことですよね。

確かにあちらのご両親も高齢だし、いずれはそんな話も出るだろうけど、今はまだ俺たちもふたりで過ごした時間って短いんですよ。

できれば彼女と子どもと水入らずで過ごしたいのが本音でした」

男性はそう言いますが、この気持ちを妻に打ち明けると

「私も同じだけど、両親がいてくれればこれから助かることも多いだろうし、できれば受け取ってほしい」

の一点張り。

対して、男性の実家のほうはそれだけの金額は出せず、この話をすると

「新婚からあちらの親御さんと同居じゃ、俺たちは行きづらくなる。

でも、出せないなら仕方ない」

と「早々に諦めムード」だったそうです。

すでに彼女のお腹には新しい命が宿っていて、これから自分も生活は一変する。

せめて新婚くらいは家族だけで過ごしたいけど、彼女自身が親との同居を望むのなら、それに反対するのは夫婦仲にも影響するかもしれない。

男性は悩んだ末に彼女の両親の提案を受け入れます。

ですが、いざ新しい家が建って子どもも無事に産まれ、彼女の両親との同居生活が始まると、

「間取りは好きなように決めさせてくれたので住居スペースは分けたけど、やっぱり“妻の両親”って気を使うことが多くて。

うちの親は遠慮して孫に会いに来ることもないし、なんだか孤立無援な気持ちです」

と理想からは遠い新婚生活に早くも疲れを感じたそう。

そんなとき、会社の取引先の女性に家庭の状況を愚痴ったことで距離が縮まり、家に帰りたくない気持ちから妻に嘘をついてこの女性と過ごす時間が増えました。

「産まれた子どももかわいいし、妻のことも愛しています。

でも、家に帰ると彼女の両親が子守をして妻はゲームで遊んでいることもあって、文句が出かけるけど言えないんですよね。

結局、俺はこの人たちのおかげでこの家に住めているんだって引け目があって」

と、男性は暗い声で話していました。

妻に隠れて会っている女性とは、今のところ“友人”としてプラトニックな関係が続いています。

ですが、このバランスもいつ壊れるか、家庭へのモヤモヤから不倫に走りそうになる自分に苦しむ男性は、今も

「やっぱり無理を言って賃貸にすれば良かった」

と肩を落とします。

「実家の格差」は、結婚生活の深いところまで影響することがあり、それに抗えない男性は鬱屈した心を抱えて過ごすことになります。

妻に打ち明けたくても、プレッシャーやプライドが邪魔をして素直になれず、ストレスが溜まればおかしな方向で発散したくなることも・

自分ではどうしようもないことだからこそ、モヤモヤの残る現実はより苦しさを覚えるもの。

ですが、道を踏み外す前に家庭のことは妻としっかり向き合うのが誠意だと、筆者は強く思います。