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2020年東京五輪・パラリンピックの最新の予算が12月20日、公開された。大会組織委員会と東京都の発表によると、予算は1兆3500億円で、1年前に発表された予算と同額に据え置かれた。

スポンサーやチケット収入が好調だったこともあり、最終版では収入が6300億円、支出が6030億円で、差額270億円は台風被害など不測の事態に備えた「予備費」として計上された。

札幌に開催地が移転した競歩の経費30億円は、東京都から大会組織委員会に組みかえられている。新たに発生するマラソン・競歩の経費がどの程度かかるかは不明で、今後精査の上、大会組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)で分担について協議するとした。

●「チケットの売上、スポンサー収入が好調」

最新の予算では、1年前の予算に比べ、収入が300億円増えている。これは、チケット売上が好調で80億円増の900億円、国内スポンサー収入も280億円増の3480億円となったことが大きかった。

一方で増えた支出は、輸送が60億円増の410億円などとなったほか、競歩の協議会場が東京から札幌に移転したことから、東京都の支出30億円を減らし、大会組織委員会が負担を増やした。暑さ対策もさらに30億円が計上されている。

これまでの予算の変遷は以下の通り。今回の予算が最終版となる。

2013年1月:8299億円(立候補ファイル) 2016年12月:1兆5000億円(第1次予算) 2017年12月:1兆3500億円(第2次予算) 2018年12月:1兆3500億円(第3次予算)

●「本番では各会場の予算管理を徹底」

この日、東京都と大会組織委員会が開いた会見で、担当者からは「節約」「抑制」といった発言が多く聞かれた。

「予算で絶えず留意しているのは収支均衡。大会全体経費をいかに膨張させないか、今回の予算作成でも非常に重視してきました。収入が堅調に進んだことで、一定の財政基盤の安定は得られた」

そう話すのは、大会組織委員会企画財政局の伊藤学司局長。「しかし、収入が増えたからといって、全て使っていいというわけでなく、抑制的にのぞまなくてはいけない。五輪が華美にならないように、というのはIOCの方針でもあります」と説明した。

2020年は五輪の本番を迎えるにあたり、各会場での予算管理を徹底するスキームを作るという。

●東京都は負担6000億円「これ以上増やさない」

東京都オリンピック・パラリンピック準備局の岩瀬和春局次長も、「可能な限り節約していきたい」とした。

東京都の負担金は6000億円で、前回の予算と同額となっているが、競歩の札幌への開催地移転で減額された30億円をはじめ、節約を重ねて確保した100億円を「緊急対応費」として計上した。やはり、台風などの災害で急きょ対応が必要になった場合に備えるという。

「大会組織委員会の収入は、スポンサーやチケットですが、東京都の収入は税金です。なので、この予算を守っていくと同時に、税を使わせていただくということで、可能な限り縮減、節約していきたいと考えています」と岩瀬局次長は話した。

東京都では負担金6000億円の財源を用意しているといい、「これは税金ですので、これ以上負担を増やすことは考えていません。削減できた100億円も何かあった時のためであり、使わなければ使わないほうがいい」とした。

●会計検査院の調査では1兆600億円

一方、国の会計検査院は12月4日、東京五輪・パラリンピックの関連支出が昨年度までの6年間に約1兆600億円を上回ったという調査報告書をまとめている。大会組織委員会の予算では、国の負担は1500億円とされているが、大きな開きがある。

報道陣から大会組織委員会の予算との額が異なることを指摘された伊藤局長は、「会計検査院の指摘ですが、国が340の事業に1兆600億円に支出したという報告で、その内訳を見ると、大会との関連の濃淡を整理せずに、少しでも関係する事業をピックアップしているという認識です。私たちのものとは性格がかなり異なる」と回答した。