飼いネコ(左)に引っ掻かれ死の淵をさまよった女性(画像は『Metro 2019年11月3日付「Woman, 65, left in coma after her ‘spiteful’ Siamese cat scratched her」(Picture: Shirley Hair/SWNS)』のスクリーンショット)

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イギリスでガーデニングの最中に飼いネコに引っ掻かれた60代の女性が細菌感染症に罹り、傷口の部分から皮膚組織が壊死する壊死性筋膜炎で死の淵をさまよった。女性はこれまでに8回以上の手術を受けており、このたび英メディア『The Sun』『Metro』などに自らの経験を語った。

サウスグロスターシャーのウィンターボーンに暮らすシャーリー・ヘアーさん(65)は4月8日、ガーデニングをしている最中に飼いネコの‟チャン”に右手の甲を引っ掻かれた。その後しばらくしてめまいや食欲不振、筋肉痛に襲われたシャーリーさんだったが、質の悪い風邪でも引いたのだと思ってそれほど気にも留めなかった。

しかし3日後、チャンに引っ掻かれた部分が急激に真っ赤に腫れ上がり、発疹が腕にまで広がった。嫌な予感がしてブリストル市のソウスミード病院へと足を運んだシャーリーさんは検査の結果、細菌感染症による敗血症、敗血症ショック、臓器不全、肺炎、そして皮膚の深部で壊死が広がる壊死性筋膜炎を患っていると診断された。壊死性筋膜炎は切創、外傷、熱傷などを契機に発症して急速に進⾏し、適切な治療が⾏われなければ致死的となる重症感染症である。

容態が急速に悪化したシャーリーさんに、医師らは壊死した組織を取り除く緊急手術を行った後、薬による昏睡状態に5日間おいて回復を待った。シャーリーさんには18日にも壊死部分を取り除く手術が行われたが、その後2度の心臓発作を起こし、再び昏睡状態に置かれた。家族は医師から「最悪の事態も覚悟するように」と言われたが、シャーリーさんはなんとか持ち直した。

こうして傷ができてから2週間後の4月26日、医師らは太腿から皮膚を移植する手術を行い、シャーリーさんは5月初めに集中治療室から一般病棟に移ることができた。しかし移植した皮膚がうまく生着せず、入院は2か月に及んだ。

「死を覚悟した」というシャーリーさんは、今回の感染症との闘いについて次のように述べている。

「ガーデニングをしている時、チャンがそばにいたので抱き上げようとして手を引っ掻かれたのです。傷は決して浅くはなかったのですが、まさかその傷で死の淵をさまようことになるとは思いもしませんでした。これまでに受けた手術は8回以上になります。入院中に行われた皮膚移植は失敗し、結局7月に3度目の手術を受けました。壊死した組織を取り除いた傷口は深く、腱が見えてしまうほどだったようです。」

「病院のスタッフには命を救ってもらって本当に感謝しています。チャンは生後10週の時にブリーダーから購入したのですが、こんな思いをした後に一緒に過ごす気にもなれず、今は娘が世話をしています。」

ちなみに今年8月には、米オハイオ州在住の女性が飼い犬の唾液で感染症に罹り、四肢切断を余儀なくされた。女性は犬や猫に噛まれたり引っ掻かれたりすることで感染する「カプノサイトファーガ感染症」を発症していたという。

画像は『Metro 2019年11月3日付「Woman, 65, left in coma after her ‘spiteful’ Siamese cat scratched her」(Picture: Shirley Hair/SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)