かつて世界を革新したが今では衰退したテクノロジー4選
by P C
2019年9月30日に、ポケベルの通称で知られる個人呼び出しサービスを提供していた最後の事業者である東京テレメッセージが一般向けサービスを終了。1968年から半世紀以上にわたり続いてきたポケベルの歴史に幕を下ろしました。そんな中、スイスのジュネーブを拠点とする世界経済フォーラムが、ポケベルと同様にかつて世界を席巻したテクノロジー4つをまとめています。
Japan has put an end to pager use - here’s a look at some other once-popular technology | World Economic Forum
◆ポケベル
一番手のポケベルは、世界的には「Pager(ページャー)」と呼ばれています。1968年にNTTの前身である日本電信電話公社によってサービスが開始されたポケベルは、1980年代に最盛期を迎え、一時は全世界に6000万人の使用者を抱えていました。しかし、携帯電話の高性能・多機能化やスマートフォンの台頭により利用者が激減し、衰退することになります。
by Hades2k
イギリスの市場調査会社YouGovの調べによると、イギリスの6〜18歳の子どもの86%が「ポケベルが何なのか知らなかった」とのこと。
◆ポータブルカセットプレーヤー
1979年にソニーから「ウォークマン」として発売されたポータブルカセットプレーヤーは、「音楽を携行して楽しむ」という概念そのものが普及する契機となった画期的な製品でした。その革新性から、「ウォークマン」という単語は携行型のヘッドホンステレオの代名詞となり、1981年には由緒あるフランス語辞典のプチ・ラルースに、1986年にはオックスフォード英語辞典に掲載されました。しかし、ポケベルと同様にiPodやスマートフォンにお株を奪われるようになり、徐々に姿を消していきました。
by Takeshi Kuboki
◆フロッピーディスク
1970年にIBMによって製造されたフロッピーディスクは、1990年代半ばには全世界で年間50億枚以上が販売されるなど、ソフトウェア産業が成長する原動力となりました。しかし、情報の保存技術や高速なインターネットの普及より、ソフトウェアやデータをフロッピーディスクに収めて販売したり保管したりする必要がなくなったため、2011年に生産されなくなりました。近年ではオフィススイートの保存アイコンなどにその名残をとどめています。
by jm3 on Flickr
しかし、一部の分野ではフロッピーディスクが活躍を続けているほか、物理的な制約を受けない仮想マシンではフロッピーディスクドライブが使われ続けており、2019年8月にLinuxの生みの親として知られるリーナス・トーバルズ氏が「フロッピーディスクドライバのサポートを終了する」と発表した際は、多数のLinuxユーザーから悲鳴が上がりました。
トーバルズ氏がフロッピーディスクドライバのサポートを打ち切った経緯や、その際のLinuxユーザーの反応などは以下の記事を読むとよく分かります。
Linuxでのフロッピーディスクのサポート打ち切りをリーナス・トーバルズが発表 - GIGAZINE
by pxhere
◆ビデオカセットレコーダー(ビデオテープレコーダー)
ビデオテープが映像媒体の主流だった1990年代ごろまでは、ビデオテープを使用して映像を記録・再生するビデオテープレコーダーは家庭で映像コンテンツを楽しむ上での必需品でした。しかし、DVDやBlu-rayなど、より容量や転送速度に優れた媒体が台頭するにつれて徐々に下火に。さらに、Netflixに代表されるような映像ストリーミングサービスの登場により、活躍の場をほぼ完全に失うことになりました。
by DRs Kulturarvsprojekt
大手ビデオレンタルチェーンだったBlockbusterはかつて、世界に9000店舗以上を展開していましたが、2019年時点ではアメリカのオレゴン州に1店舗だけが残り、ビデオで映画を観ることにこだわりを持つ常連客相手にビデオテープのレンタルを続けているとのことです。