写真:ゲッティ

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ラグビー日本代表の快進撃がつづいています。5日には日本代表がサモア代表と戦い、38−19で快勝を見せました。しかも、4トライ以上をあげると得られるボーナスポイント勝点1も手にしての勝利。ベスト8進出へと大きく前進する勝利でした。

このボーナスポイントは今大会の日本の強さを象徴するものでした。

前戦アイルランド戦でも世界屈指のフォワード陣を擁するアイルランドをスクラムで押し込んでみせた日本代表。サモア戦で最後の最後にボーナスポイントを得られたのも、スクラムの強さあればこそでした。

サモアボールでのスクラムの場面。すでに試合時間は80分を過ぎており、次にプレーが切れれば即試合終了という局面。サモアもトライを狙って試合を継続していますが、日本はプレーの流れを切らずにボールを取り返す必要がありました。

そんななか起死回生となったのがスクラム中にサモアが犯した反則です。審判のジェスチャーが示したのは「スクラムにおけるノットストレート」という反則。これはサモアが自分たちがボールを保持するために、本来ならスクラムの中央にまっすぐ入れなければいけないボールを「自分たち寄りに入れた」という意味です。

「スクラムにおけるノットストレート」はあまり見かけない反則であり、ほぼ意味がない反則です。スクラム中は押すことに懸命であり、足でボールを奪い合うような余裕はありません。味方が有利になるように入れたボールが、味方プレイヤーの足でかき出され、スクラムの後ろから出て展開されるのが通常の流れ。

しかし、日本のスクラムの強さがプレッシャーを与えていたこと、そしてボールを入れる前にすでに押されかけていたことで、サモアは「自分たち寄り」にボールを入れてしまったのです。

日本のスクラムの強さが呼び込んだボール奪取と、神懸かり的なボーナスポイント。サモア代表が犯した「スクラムにおけるノットストレート」という反則は、日本代表の強さを雄弁に物語るものなのです。

文=フモフモ編集長