岸和田徹役を演じる高橋光臣

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 池井戸潤の同名小説を、池井戸作品初挑戦の大泉洋主演でドラマ化。

【写真】神妙な面持ちの君嶋ゼネラルマネージャー(大泉洋)

 大泉が演じる君嶋隼人は、トキワ自動車の本社勤務のエリートだった。

 しかし上司の滝川(上川隆也)が進める企業買収に異を唱えたことで府中工場の総務部長に飛ばされ、14億円もの赤字を抱えるラグビーチーム、アストロズのゼネラルマネージャー(GM)を兼務することに。

 君嶋は、低迷するラグビー部とともに再起をかけた戦いに挑む。

大泉さんと一緒にいたい

「大泉さんでなかったら、アストロズは崩壊するっていつも思うんです。元気なアストロズ・メンバーは、福澤克雄監督が指示しているときに騒いでいることもしばしば。

 そんなとき僕は、静かにしていたほうがいいぞとヒヤヒヤしたり、大泉さんがキレるんじゃないかとドキドキしたりしていますが、大泉さんはアストロズを温かく包み込んでくださる。

 メンバーの個性に合わせ“君たちはバカなのか?”と軽口をたたいたり“俺は本当はアストロズ、嫌いなんだからね”と、冗談で場を盛り上げてくれる。そんな大泉さんが、みんな大好きなんです。 

 僕らより後から現場に入られると、どんなに撮影が押してても、大泉さんと話したい、一緒にいたい気持ちで、自然と周りに集まっていくんです」

 白い歯を見せて爽やかに話してくれるのは、アストロズ主将の岸和田徹役を演じる高橋光臣。連日の猛暑での撮影で“アストロズ焼け”している。

「1時間おきに日焼け止めスプレーをしても、焼けちゃいます」(高橋、以下同)

 炎天下のグラウンドでの撮影は、朝から日が落ちるまで続く。十分に水分補給をしても全部、汗で出てしまうのか、トイレに行きたくならない。

 役作りで増量した体重はクランクインから5キロ減。朝昼晩の食事の後はプロテインを飲み、間食もプロテインバーを食べつつ、必死でキープしているそう。

「撮影で大変なのは、観客のリアクションを撮るためのプレー。ラグビー観戦したことのないエキストラがリアクションをしやすいよう、同じプレーを何回もやります。

 (選手の)僕たちは映らないけれど、適当なプレーに“やったー!”とは盛り上がれないので、本気モードでやります。OKが出るころにはヘロヘロで、言葉も出ないくらい。

 その状態で、僕らを撮影するグラウンドのシーンがスタート。でも、みんなラグビーをカッコよく見せたいという気持ちが強いので、そこからさらにギアを上げて本番に臨みます。

骨の1本や2本、折れてもいい

 これまで、いろんな役を演じてきましたが、身体を張るという意味では今作がマックス。大変だけど嫌という気持ちはなく、むしろ骨の1本や2本、折れてもいい。気絶するくらい思いっきりやりたいと意気込んでやっています」

 高橋はじめアストロズのメンバーは、ラグビー経験者を中心にオーディションで選ばれた強者ぞろい。元日本代表選手や社会人チームでプレーした選手で構成され、福澤監督もラガーマンだったので、迫力ある試合風景は見どころだ。

 高橋は、中学3年から大学4年まで、ラグビーに青春を捧げてきた。

「ラグビーは仲間との距離が近く、強い絆で結ばれますが、命を落とす危険性もあるスポーツなんです。

 役者の道を志したのは、渡辺謙さんの『ラストサムライ』を見たのがきっかけ。デビュー以来14年間、いつか役者としてラグビーを題材にした作品に巡りあえたらと思っていたので、これ以上ない喜びです」

演技というよりドキュメンタリー感覚

 演技未経験者の多いアストロズ・メンバーには、アドバイスをすることも。

「演技初心者はまばたきが多くなる、上体が動きがちになることに加え、照れてしまうもの。でも、不思議とメンバーには照れがないんです。

 GMが熱く語る言葉だったり、試合前の円陣で涙が出てくるなどの撮影のシーンは、みんなラガーマンとして経験をしているから、自然と感情がこみあげるのかもしれません。演技というよりドキュメンタリー感覚です」 

 今後、君嶋GMの動行とともに、アストロズの切り札となる七尾圭太 (眞栄田郷敦)の活躍にも注目。

「眞栄田君はラグビー初心者ですが、運動神経も勘もいいので、メンバーのアドバイスもどんどん吸収して日ごとにラグビーがうまくなっています。みんなそれがうれしいんです。

 僕は主将という立場上、自分が目立とうとするより、光っているメンバーをより輝かせていきたいと思いながら撮影しています。

 個人としては今後、目標とする渡辺謙さんみたいにハリウッド進出を視野に、トライしていきます!」

まるで別人! 徹のオンとオフ

「“徹さんは、総務部にいるときとグラウンドでは別人のよう”と、アナリスト役の笹本玲奈さんに、よく言われるんです。

 僕としては徹という同じ人間を演じているつもりなんですが、グラウンドに立つと、人格が変わるのかもしれない。ふだんは温厚で穏やかなのに、プレー時には鬼のようになるラグビー仲間をずいぶん、見てきました。

 僕の身体の半分はラグビー。意識はしてないけれどグラウンドでは、違って見えるのかもしれませんね。総務部のシーンは、ほっこりする要素もあるので楽しみにしています」(高橋)

《番組情報》
日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』 TBS系 日曜夜9時〜