ポチェッティーノ(左)とクロップ(右)。ともに勝てば、キャリア初のビッグイヤー獲得だ。 (C) Getty Images

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 今シーズンの欧州サッカーを締めくくるビッグマッチとなるチャンピオンズ・リーグ(CL)の決勝が現地時間6月1日(日本時間6月2日 4:00)にキックオフされる。

 準決勝で、ともに3点差をひっくり返すドラマチックな逆転劇を演じてきたトッテナムとリバプールによる大一番は、CLでは2007-08シーズン以来のイングランド勢同士の顔合わせだけに大きな注目を集めている。

 そんな激戦必至の一戦を前にイングランドから決戦の地マドリードに出発する両チームのサポーターの声を聞いた。ダンカン・エバンスさんとトム・レイノルドさんだ。

「カンプ・ノウでの第1レグで完敗し、ホームでバルサに4−0で勝たないといけない。それはもう実現不可能なことだと思っていた。僕だけでなく、周りのリバプール・ファンもそう思っていたはずだよ。だからこそ、アンフィールドでの逆転劇はアンビリーバブルな一夜だった」と語るのはロンドン在住のリバプール・ファンであるダンカンさんだ。

 ダンカンさんは、英7部リーグのレザーヘッドというクラブで、ディレクターを務めながらも、リバプール愛を公言。少年時代から弟と一緒になって追いかけてきた生粋のファンだ。

 一方、ダンカンさんの長年の親友であるトム・レイノルドさんは、筋金入りのトッテナム・サポーター。そんな両氏は友人を含めた4人で、ロンドンからマドリードまでの約1日を車によるドライブで向かうという。
 マドリードへの航空代や宿泊費はかなり高騰しており、イングランドから車で向かう両チームのサポーターたちの様子は連日ニュースで伝えられている。そんななかで、トムさんたちは、チケットをあらゆる知り合いに連絡をとり、何とか手にして、ロングドライブを決断したのである。

 そんなトムさんは、「すごい体験だった」と愛するスパーズの決勝までの勝ち上がり方を誇らしげに語る。その言葉からはマウリシオ・ポチェティーノ監督に対するリスペクトを感じ取ることができた。

「準々決勝でのマンチェスター・シティ戦では最後にVARがあったり、とにかく激闘ばっかりだったから、それ以上の経験はないと思っていたけれど、アヤックスとの準決勝も凄かった。とくに第2レグの後半は、ずっと目を覆いながら見ていた。こんなにも感情を揺さぶられるとは思わなかった。

 ポチェティーノの偉業はもっと評価されてもいいだろう。プレミアリーグでは来シーズンのCL出場権を確保しているし、新スタジアムの完成が遅れて本当のホームじゃないウェンブリーでも勝ち抜いてきた。何よりも限られた予算の中で選手を獲得することもなく、言い訳せずにチャレンジを続けて、CLのファイナルにいるんだよ! これは凄まじいことだ」
 熱弁を振るったトムさんに対し、ダンカンさんは至って冷静だ。今シーズンのリバプールの戦いぶりを振り返りつつ、2年連続となったファイナルを次のように展望した。

「去年と比べて明らかに向上したのは守備面だね。22失点はリーグ最少だ。ファン・ダイク、そして、守護神アリソンの加入も大きいが、チームの中に『どのようにすれば勝つことができるか』ということの共通理解がある。CLで言えば、ホームでのバイエルン戦(決勝トーナメント1回戦・第1レグ)、結果はスコアレスだったけど、しっかりと我慢ができたことは象徴的だった。去年よりもチームは強固だよ。

 決勝は、中盤のファビーニョ、ヴァイナルダム、ヘンダーソンの三角形のパフォーマンスが勝負を左右するだろう。バルセロナ戦のように試合を支配ができれば、ヘンダーソンが決勝ゴールをあげるのではないかと思っている。スコアは2-1で優勝だ」

 対するトッテナムは、エースのハリー・ケインが足首の怪我から復帰してきたが、チームは、その主砲なしで幾多の逆転劇を成し遂げてきたため、起用方法をめぐっては、英国内では様々な議論が続いている。