映画やドラマに登場するサバイバルの手法は現実的なのか冒険家が採点

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by Jeremy Bishop

フィクション作品の中に「サバイバル」の要素が登場するのは珍しいことではありませんが、その描かれ方は「いかにも現実的にありそう」というものから、シナリオに合わせて描かれているだけで現実味が伴わないものまで様々。実際に冒険をする人の目から見て、フィクションで描かれているサバイバルはどれぐらい現実的なのか、冒険家として知られるベア・グリルスが8つの作品を評価しています。

Bear Grylls Reviews Survival Movies | Vanity Fair - YouTube

最初に登場したのは「レヴェナント: 蘇えりし者」の、倒した熊の体の中で一晩を過ごすシーン。グリルス氏はこうした環境下でまず大事なのは「身を守ること」であると述べ、倒した熊の中なら野生生物に襲われることはなく、また、低体温や強風からも身を守ってくれるので、生存に向けた現実的な選択肢だったと評価しました。なお、サハラ砂漠で砂嵐を死んだラクダの体内で過ごしたという人物に話を聞いたグリルス氏は、同じように試してみたことがあるそうです。

映画「レヴェナント:蘇えりし者」特別映像:Themes Of The Revenant - YouTube

続いては「キャスト・アウェイ」。トム・ハンクス演じるチャック・ノーランドは、乗っていた飛行機が墜落し、なんとか生き延びたものの無人島生活を余儀なくされます。とにかく生きるため、木をこすり合わせて火をつけようとするチャックの姿に共感するグリルス氏。というのも、グリルス氏自身、番組で火をおこすとき、オンエアではわずか30秒で火がついていても、実際には12時間ぐらいかけていることがあるそうです。それでも、サバイバルの中では火の存在は大きく、とても現実的だという評価になりました。

キャスト・アウェイ - 予告編 - YouTube

「ハートブルー」からは。2.2マイル(約3.5km)にわたってパラシュートを開かずに自由落下するシーンが登場。自分自身がパラシュート降下時に事故で背骨を折ったことがあるというグリルス氏は、映像としては面白いものの、生存は非現実的だと評価。

POINT BREAK - Trailer ( 1991 ) - YouTube

「エベレスト 3D」は、1996年に発生したエベレスト大量遭難事故をもとにした映画で、全編を通してサバイバルが題材。ロブ・ホール氏の遺体を山から下ろすことはとても困難で、2019年現在もエベレストの南サミット下に残されたまま。グリルス氏も、数年前にエベレストを登ってホール氏の遺体に会ったそうです。この映画は現実をもとにしているので、描かれているサバイバルはとても現実的なものです。

映画『エベレスト 3D』予告 - YouTube

「タイタニック」では客船沈没後、冷たい海に乗客たちが投げ出されます。グリルス氏は真冬の水中では指すらもまともに動かせなくなると危険性を指摘。このサバイバルについては現実的だと評価したものの、実際にはあれほど冷たい水の中にいた2人が満足に会話することはできず、おそらくローズも生き残ることは難しかっただろうと語っています。

「タイタニック」予告編 - YouTube

「クロコダイル・ダンディー」では、無警戒に水筒に水をくもうとしたスーが、隠れていたワニに襲われかけました。実際にジャングルでワニと出会ったグリルス氏によれば、ワニの皮はとても硬くてナイフがなかなか通らず、石で柄を殴ってなんとか突き刺したほどだったとのこと。それでも、クロコダイル・ダンディーことミックがナイフを突き立てた位置は的確だったとのころで、サバイバル評価では「現実的」となっています。

Crocodile Dundee - Trailer - YouTube

「バードボックス」はNetflixオリジナルドラマ。サンドラ・ブロック演じるアーティストのマロリーは、子どもを連れて船で急流を下ろうとするのですが、グリルス氏は「急流に挑むならちゃんとした装備と経験が必要です」と厳しく指摘。もし映像通りに船で急流を下ろうとするのであれば一巻の終わりであり「非現実的」と評価しました。

『BIRD BOX/バード・ボックス』予告編 30秒 - YouTube

「ジ・オフィス」はイギリスで放送されたテレビドラマが、スティーブ・カレル主演でリメイクされたもの。その中に、はいていたズボンを脱いで枝に引っかけて「シェルター」にしたりするサバイバルの話が出てきます。「主人公・マイケルの創意と積極性は素晴らしい」とグリルス氏は褒めましたが、サバイバルに関する知識が致命的に欠落しているため、生き残りとしては「非現実的」という評価になりました。