「ベルカム」

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コミュニケーションツールとしての役目を終えた「ポケベル」に新たな可能性か――。

2018年12月3日、「東京テレメッセージ」(東京都港区)はポケットベル(ポケベル)端末の「ページャー(マジックメール)」サービスを19年9月末をもって終了すると発表した。3日18時時点で1万件以上のツイートがされており、ツイッターでは「懐かしい」「まだやってたことに驚き」といった声が上がっている。J-CASTニュースは12月3日、東京テレメッセージを取材した。

衛星通信とポケベル波を利用

東京テレメッセージの管理部担当者によれば、ページャーサービスは1986年12月に開始。96年には契約数が120万を超えたこともあったが、携帯電話などの普及により衰退、2013年1月以降からは新規の受付を停止していた。公式サイトによれば、現在の契約者は1500人を切っており、主に医療関係者だ。

今後は「地方自治体向け情報配信サービス」、なかでも「防災無線」に注力するという。「文字通信」の強みがどのように生きるのか、東京テレメッセージの清野英俊社長に聞いた。

「文字通信はあっという間に音声通信に駆逐されてしまいました。(中略)しかし、文字は音声に比べて、圧倒的に電波で受信しやすいです。防災無線は途中で切れたり聞こえなかったりしたら困りますが、文字は文字のまま届きます」

同社ではすでに、衛星通信とポケベル波を利用した「防災ラジオ」を販売している。販売数は約15万台で、防災無線とラジオ放送、どちらも聴くことができるという。防災無線は文字と音声、両方で受信できるといい、複数の自治体と提携している。なにか不具合が起きた時には清野社長が対処に当たっており、1人で対応できるほどトラブルは少ないとのことだ。

「多くの人を救うのに必要だと思いました」

ページャーサービス終了に関して、清野社長に改めて思いを聞いた。

「サービスは終了させなければいけなかったんです。昔はやめるお金がなかったし、新しく何を始めていいかも分からなかった。(ようやくスタートということですか、と聞く記者に対して)そうです、ようやくスタートです」

清野社長は、「社長になる前から、この電波が防災の役に立つと疑いなかった。多くの人を救うのに必要だと思いました」と語る。「これまで使ってくれた方々には感謝しています」と話す一方で、ページャーサービス終了に対する寂しさは「全然ないです」と答えている。