【MLB】今季・大谷翔平がすべきこととは…“ミスターエンゼル”が打者専念の提言
元新人王の球団OBサーモン氏「今年を学習の機会とすべき」
エンゼルスの大谷翔平投手はルーキーシーズンの今季、早くも右肘靭帯を損傷してしまった。現在は、DHとして打撃で活躍する一方、投手としても投球練習を再開させている。今季中の二刀流復活に期待が高まる中、エンゼルスのレジェンドは今季中の投手封印とともに「DH専念にすべし」と緊急提言している。
「オオタニは今シーズンの残りは打者に専念すべきだ。すごく有益な選択肢だと思う」
単独インタビューでこう語ったのは、エンゼルス一筋の現役時代には「ミスターエンゼル」と呼ばれたレジェンド、ティム・サーモン元外野手だ。1992年にメジャーデビューを果たしたサーモン氏は2006年に現役引退するまで新人王とカムバック賞を受賞。現在も地元テレビ局の解説者を務めるなど、ファンから絶大な人気を誇っている。
今季シーズン終了まで打者専念を提言した理由は、強打で鳴らす大谷の弱点克服に向けてのものだった。
「彼は右投手に対してはすでに素晴らしいと言える。だが、左投手に対してはそこまででもない。だからこそ、私は今年を大谷にとって学習の機会とすべきだと思う。試合に出て、公式戦で左腕とたくさん対戦させるべきだ。左投手が相手になると、思い通りの打撃は間違いなくできていないのだから」
今季後半戦に突入した現在、大谷は対右腕では打率.324、8本塁打、21打点、OPS(長打率と出塁率の合算)はエリートクラスの1.035という圧倒的な成績を残している。その一方で、対左腕では打率.167、0本塁打、2打点と奮わず。打席数は48と少ないが、苦しい数字が浮き彫りになっている。
「メジャーの投手は近年球速が上がっている。日本時代には経験しなかった球速への慣れは、単純に打席を数多くこなすこと、またはボールを多く見ていくことで慣れることができるのではないだろうか。日本での左腕と対峙するオオタニの動画を見ましたが、カーブやチェンジアップなどの変化球をうまく打っていた。しかし、メジャーでは左投手の変化球にも苦しんでいる。なぜなら、速球への意識が強すぎるからだ。速球狙いの打席では、変化球に対応する準備はできない。例えば、先日3三振を喫したカイケルのような左腕と、日本では対戦する機会はない。自分は左投手に苦しんでいる理由は、速球への過度な集中ではないかと推測している」
投手として投げられない=野手として出場チャンス、とポジティブに
サーモン氏はこう分析していた。160キロに迫る剛速球や、手元で急激に変化するツーシームを投げ込んでくるメジャー左腕への経験値を積むことこそ、大谷の今後にとって不可欠だというのだ。
そして、大谷とエンゼルスは、この後半戦を左腕攻略のために最大活用すべきだと提言している。
「現時点で、投手として今すぐにローテーションの一角で活躍できる状況にはない。だからこそ、なるべく多くの打席に立って対左腕の経験を積む。そして、対策を見出せるようにするしかない。現在、左投手相手だとボールとバットの軌道にずれが生まれている。そして、焦りやストレスも見てとれる。何かしかければいけない、打たなければいけないという責任感も、左腕相手の打席から強く感じられる。次に左腕と対戦する時は、打席でリラックスできる状況になってほしい」
「ミスターエンゼル」と呼ばれた男の言葉には、重い響きが込められていた。投手・大谷はキャッチボールをすでに再開。試合前に水原一平通訳相手に、平地ながらセットポジションから1球1球丁寧に投じるなど、実戦復帰のイメージを高めている。
「メジャーで打者として活躍するためには数多くの学ぶべきことがある。毎日ラインナップに打者として入る。それは個人的なアイデアだが、千載一遇のチャンスでもあると思う。なぜなら、来年投手として完全復活してしまえば、打席に立つ回数は減ってしまうからだ。1週間単位で見れば、打者として活躍できるのは3、4日で、登板日とその前後の3日はランナップを外れる。投げられない状況だからこそ、毎日ラインナップに入ることができる。これを学習の機会と捉えれば素晴らしい時期になるだろう。確かにマウンドに立つことを考えると、彼にとっては“失われた時間”になるかもしれない。それをポジティブに転換すればいい。オオタニ、打席に立つんだ!」
サーモン氏は、二刀流スーパースターに対して今季後半戦の打者専念論を一貫して主張した。来季のさらなる躍進に向けて起爆剤にすべしと期待を込めていた。(Full-Count編集部)