なぜ「薄毛」をモテない言い訳にできないのでしょうか?(写真:プラナ/PIXTA)

日本には、薄毛に悩む成人男性が1300万人、あるいは1500万人いるとも言われています。この人数がどのくらいかと言いますと、カンボジアの総人口(約1500万人)と肩を並べるくらいの規模です。

世界レベルで見てみましょう。日本のあるカツラメーカーは2009年に、「世界主要国の成人男性薄毛率ランキング」という調査結果を公表しています。

それによると、薄毛率世界第1位はチェコ(42.79%)、2位はスペイン(42.6%)、3位はドイツ(41.24%)、4位はフランス(39.1%)と軒並み欧州各国が続き、日本は世界14位の薄毛率約26%という結果が出ています。「世界14位なら、日本人に薄毛は多くはないのか……」と勘違いしてしまいがちですが、実はアジアではナンバーワン。

ちなみにそのカツラメーカーは、1982年から2009年まで不定期にこの調査を実施していました。その間、日本の成人男性薄毛率は、上昇する一方で一度も下がることはありませんでした。調査開始年の1982年は約16%だったのが、1990年では20%を超え、2000年代に入ると25%を突破します。その後の増加率は穏やかですが、男性薄毛率は右肩上がりに増えてきています。

これだけ多くの男性が同じ「薄毛」という症状であるのにも関わらず、あっけらかんとその事実を受け容れることができる人がいる一方、その事実を認めたくないと苦しむ人もいます。特に男性の場合は、「恥ずかしい」という感情を女性以上に表に出しません。そういう感情を表に出すのは男らしくないということで、一人で悩み、時には辛い苦しみを感じるケースが多いようです。

7割以上の女性が「ハゲ薄毛」を受け入れられる

ハゲ薄毛男性は決して万人受けするわけではありませんが、支持する層が確実にいることも分かっています。おおむね、女性たちは「ハゲも薄毛も、似合っていればOK」と思っているようです。

2016年11月、私は独自に「女性視点でのハゲ薄毛の男性に対する意識調査」(362名が対象)というアンケート調査を実施しました。

その結果からも、女性のみなさんは、「ハゲ薄毛をネガティブに捉えているわけではない」ことが明らかになりました。

さて、ここで結果の中からいくつか興味深かった項目を紹介します。

質問1「あなたはハゲ薄毛男性は好きですか?」


出典:2016年11月 カルヴォ実施「女性視点でのハゲ・薄毛の男性に対する意識調査」アンケート結果より

この質問に対しては、約73%の女性が「似合っていれば好き」と回答しています。「大好き」「まあまあ好き」と合わせれば、75%以上の女性がハゲ薄毛に対して好意的だと言っていることが分かりました。一般的に男性側で信じられている、「ハゲ薄毛になるとモテなくなる」というのは単なる「都市伝説」だと言えそうです。

質問2「30代・40代のハゲ薄毛の男性を見たときに『どちらかと言えば許せる』のは次のうちのどちらですか?」


出典:2016年11月 カルヴォ実施「女性視点でのハゲ・薄毛の男性に対する意識調査」アンケート結果より

この質問には、9割近くの女性が「ハゲ薄毛を堂々と見せている」ほうが、「何らかの方法で隠している」よりも好ましいと答えています。

さらに、「あなたは、少ない髪に執着せず、短髪あるいはスキンヘッドにしている男性の姿勢に好感を持てますか?」という質問もぶつけてみました。これに対しても9割近くの女性が「残った髪に執着することなく、短髪もしくはスキンヘッドにするのを好む」という結果となりました。

質問3「30代・40代男性と交際する際、次のうち『イヤ』なものはどれですか?当てはまるものをすべてお選び下さい(複数回答可)」


出典:2016年11月 カルヴォ実施「女性視点でのハゲ・薄毛の男性に対する意識調査」アンケート結果より

複数回答可として嫌な特徴をすべてあげてもらいました。 すると、意外にも「ハゲ薄毛」は「白髪」に次いで下から2番目となっており、決定的にNGな特徴ではないことが分かりました。むしろ「キツめの体臭・口臭」「話題がつまらない」「上から目線」など、「におい(臭い)系」・「コミュニケーション系」のマイナスな特徴のほうが、嫌がられる傾向にあるようです。

そして最後に、「ハゲ薄毛の男性に対する印象」について自由にコメントする欄を設けたところ、次のような、女性からの率直な意見やアイディアが並びました。

・変に隠すほうが変。個性としてオシャレな短髪にすれば気にならないし不快ではない。気にして隠す人は服装の清潔感などもない気がする。
・ハゲ薄毛で、清潔感がなく脂ぎっている人はどうしてもだめです。アンケートでは、恋愛対象にも結婚対象にもならない、と回答しましたが、スキンヘッドなら対象にすると思います。変にハゲ薄毛を隠そうとする髪形より、スキンヘッドのほうが潔さ、清潔感を感じます。
・日本人は自己、周囲ともにハゲを卑下し過ぎだと思います。似合っていれば(清潔感があれば)ハゲは何の恥でもないと思うし、自分が気にするほど周囲も気にしないと思う。一部のハゲの人達がカツラやバーコードスタイルなど変にハゲを隠そうとするから余計に世間から嘲笑の対象となり、ハゲを恥だと思う気持ちが増大するのかと思います。

など大変勇気づけられる言葉が並ぶ一方、こんな厳しい意見もありました。

・ 友人であれば、自分は全然気にしませんというスタンスですが、いざ恋愛一歩手前になった時に、薄毛やハゲでやめたことが2度ありました。頭では理解していても本能が拒否する「本音と建前」なんだと思いました。
・ 年寄りに見える。顔がカッコよくてもブサイクにみえる。バーコードが一番許せない。
・隠すなら分からないように隠す、隠さないなら堂々としてほしい。中途半端なスタイルだけは対応に困るので避けて頂けると幸いです。

このように、多くの女性は「清潔感のないハゲ薄毛は受け付けられない」、あるいは「変に隠すのはおかしい」としながらも、「スキンヘッドなら許せる」「薄毛であってもオシャレであれば容認できる」と思っていることが分かります。

もちろん、出会ったタイミングではハゲ薄毛でないほうが良いという意見もありますし、薄毛だから恋愛関係に進むことを踏みとどまったという声もあります。

ハゲ薄毛に対する認識が男性と女性では「非対称」

この女性たちのアンケート結果と声からいえることは、薄毛を隠している、あるいは隠していると取られかねない見た目や仕草をしている男性が好かれることはまずない、ということです。


隠している「外見」自体が不潔に見える、また隠している「行動」が自信なさそうに見えるということで、女性たちは、外見と内面の両方を評価しているからだろうと思われます。

薄毛に悩み始める男性の多くは、髪が失われることで「モテなくなるのでは……」という恐怖を感じるかもしれません。その恐怖のあまり、反射的に隠す・増やすという行動をとってしまい、余計に女性達からの好感度が下がってしまう――そんな負のスパイラルが起きやすいのは、女性が男性の薄毛に対して持つ認識と、男性が男性の薄毛に対して持つ認識が「非対称」であるからと言えそうです。

もちろん、4分の1の女性が、ハゲ薄毛男性をアレルギー的に受け付けないと回答していましたが、このようにハゲ薄毛男性をなんてことないと抵抗なく受け容れることのできる女性のほうが、多数派であることを知っておいて損はありません。