自殺の悲しみ、分かち合って
自殺者数が1998年以降、7年連続で3万人を超える中(警察庁調べ)、遺族らが語り合う場をつくろうと「自死遺族ケアのファシリテーター養成講座」(NPO法人自殺対策支援センター ライフリンク主催)が23日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれた。
ライフリンクによると、自殺未遂者もおよそ年30万人に上るとみられ、残された遺族を含め、毎年150万人もの人が身近な人の自殺を経験している。しかし、こうした人々は苦しみを誰にも打ち明けることができず、社会的にも孤立を強いられることが多いという。遺族が体験を語り合う場は必要性を叫ばれながらも、国内には東京を中心に10団体余りしかないのが現状。今回の講座は、こうした場を運営、司会進行する人(ファシリテーター)を養成するため開かれた。
講座には、自ら命を絶った近親者や友人を持つ女性らが参加。まず、体験を語り合う「分かち合いの場」のシュミレーションを行った。最初にファシリテーター役の西田正弘・ライフリンク副代表が、話したくないときには話さなくていい「パスルール」などを説明。それぞれの参加者が出身地や今の気分、好きな食べ物などを自己紹介した後、自らの体験を語った。話しながら涙を流す人もいたが、「しゃべってしまうと、すごく楽になった」「自分の感情を吐き出すことは、とても大事だと思った」など感想を語った。
ファシリテーターを務める際に意識した方がよいこととして、西田副代表は「会を重いだけの場にしないため、好きな食べ物を聞く」「人の話を止めない」「参加者の安心と安全を保証するため、パスルールは徹底する」「感想を聞かれると、体験が話しやすくなる」などの点を挙げた。西田副代表は「これまで、このような場は求められていたのにもかかわらず、場をつくる人がいなかった。つくろうとしている人は全国にいると思うので、遺族の人たちの新しい人生の役に立てれば」と話している。【了】
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