WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥【写真:Getty Images】

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リング誌選出の最新ランクで7傑入り、来年のバンタム級転向に早くも注目

 WBO世界スーパーフライ級王者の井上尚弥(大橋)は30日に横浜文化体育館で同級6位のヨアン・ボワイヨ(フランス)と7度目の防衛戦に挑む。米ボクシング専門誌「リング」が17階級のボクサーの実力を比較する「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」の最新ランクで1つ上げて7位に上昇。来年はバンタム級に転向する意向を示しており、WBCバンタム級元世界王者・山中慎介(帝拳)、山中戦のドーピング問題で話題を呼んだWBC王者ルイス・ネリ(メキシコ)らとの戦いに期待が高まっている。

「Monster」の異名で恐れられる井上は、2017年最後にボクシング界17階級の全ボクサーの中で、堂々の“神セブン”入りを果たした。リング誌はボクシング界最強を意味するPFPの最新格付けを公開している。

 1位はGGGの異名を取るIBF、WBA、WBC世界ミドル級統一王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)。2位はWBC世界ジュニアウェルター級王者のテレンス・クロフォード(米国)、3位はWBO世界スーパーフェザー級バシル・ロマチェンコ(ウクライナ)、4位はWBO世界ライトヘビー級セルゲイ・コバレフ(ロシア)、5位は元WBC世界ミドル級王者・元WBO世界スーパーウェルター級王者のサウル・アルバレス(メキシコ)、6位はWBC世界ライト級王者のマイキー・ガルシア(米国)といずれも猛者揃いだ。

 前回まで8位だった井上は6人のスターに続き、堂々の7傑入り。そして、30日にボワイヨ戦を控える24歳は、リング誌の特集でインタビューにも応じ、「今年は自分にとってここまで素晴らしい一年だった。ボワイヨに勝って2017年を人生最高のものにしたい」と必勝に期している。

 また、記事では来年の動向に注目。9月に米カリフォルニア州で行われた「Superfly」で同級7位のアントニオ・ニエベス(米国)に6回TKO勝ちを収め、世界に「モンスター」の異名を轟かせた。当時を「あの試合では雰囲気を感じることができた。アメリカで戦うことへの思いがあっという間に高まった」と振り返ったという。

山中、テテ、ネリら…バンタム級での名勝負期待「魅力的な挑戦が数多く存在」

 注目されていたのは、第2弾だ。「Superfly」のプロモーター、トム・レフラー氏は来年2月にカリフォルニア州で行うことを発表。井上も当初はボワイヨ戦でアクシデントがなければ、参戦に前向きな姿勢を示していたが、階級の問題が浮上。記事では「ウェイトが今や深刻な要素となっている」と指摘している。

 井上も「2018年にバンタム級に転向するでしょう。自分の試合に向けた練習前の体重はジュニアバンタム級(スーパーフライ級)のリミットをだいたい8キロ超えています。しかし、継続的なトレーニングで、前回の試合からフィジカルコンディションを維持することができています」と転向の意向を意向を明かしている。

 スーパーフライ級のリミットは52.163キロ、井上の本来の体重は60キロ。減量でコンディションを損なうリスクもある。特集では猛者揃いのスーパーフライ級で井上が見納めになることを惜しみながら、バンタム級での名勝負に期待している。

「ジュニアバンタム級(スーパーフライ級)には魅力的な挑戦が数多く存在するが、イノウエの118ポンドでの未来にはシンスケ・ナカヤマ、ライアン・バーネット(英国)、ゾラニ・テテ(南アフリカ)、そして、ルイス・ネリが待ち受けている」

 WBA、IBF統一王者のバーネット、「神の左」の持ち主の山中、タイトル戦史上最短“11秒KO”で話題となったWBO王者テテ、山中戦のドーピング疑惑で物議を醸したネリという実力者がバンタム級にはひしめいている。果たして、井上は2018年にどんな道を歩むのか。年内最終戦の前から、バンタム級でのビッグマッチに早くも期待が高まっている。(THE ANSWER編集部)