2017年はここまで47試合に出場し、12月9日のストーク戦で決めた2得点を含めて実に50ゴールを奪取(クラブで43、代表で7)。イングランド人選手の年間50得点は、1927年に元イングランド代表FWのディキシー・ディーンが達成して以来、なんと90年ぶりの偉業だという。
 
 それでも、本人に驕り高ぶる様子は一切ない。
 
 徹底した食事管理を貫き、ほぼ毎日自宅に栄養管理士を招いて食事を用意してもらっている。もちろん、シーズン中はアルコール類に手を付けない。また、生粋の練習の虫で、利き足でない左足のシュート練習に取り組み、弱点を見事に克服した。下部組織で指導を受けたU-15時代のコーチのアドバイスには、今でも真摯に耳を傾けているという。
 
 こうした姿勢には理由がある。今でこそスポットライトを浴びているが、トッテナムで本格デビューする4年前まで、レイトン・オリエント(当時3部)やミルウォール(当時2部)、レスター(当時2部)といった下部リーグをレンタルで渡り歩いた苦労が、自身の中で生きているのだ。本人が語る通り「小さなことの積み重ねがすべて」であることを、24歳のイングランド代表FWは身を持って知っている。冷静かつ明快な頭脳の持ち主であることは明らかだ。
 
 ひたむきに、冷静に、そして貪欲に──。おそらく、彼にとってプレミアリーグ得点王も通過点にすぎないだろう。すでに「世界最高峰の万能型ストライカー」へ成長したが、今後もさらなる高みを目指すに違いない。
 
文:田嶋コウスケ