岡崎慎司(撮影:岸本勉/PICSPORT)

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86分、岡崎慎司が大迫勇也に変わってピッチに立った。素早いチェイスでボールを奪うなど、相変わらず献身的なプレーでチームに貢献した。だが、わずか数分の出場では、前回ワールドカップ予選でチーム内得点王だった選手でも得点は生めなかった。

試合後、報道陣の前に現れた岡崎はワールドカップ出場の感想を聞かれ、まず「自分はワールドカップ予選を通じて徐々にベンチになっていくという形」だったと、語り始めた。岡崎が話したかったのは、世代交代についてだった。

岡崎は、「本来だったら、試合に出て経験を生かすという形で、自分がやらなければいけないという気持ちでプレーしているというのが自分のイメージだった」という。だが、次第にベンチを温めるようになってしまった。

そこから見たピッチの中では何が起きたか。

「勝手に若い奴が出てきて、今日の試合も浅野拓磨や井手口陽介が決めたりして、また新たな選手たちが出てきて、改めて時代というか世代を感じています。そういう時代を感じたワールドカップ予選でした。それが考えているよりも頼りになる選手たちが出てきて、すごく楽しみだなと」

岡崎は危機感に溢れていた。

「自分が100パーセント、ワールドカップに出られる保証は何もない。これから競争がスタートするんじゃないかとも思います」

岡崎は今季プレミアリーグがスタートするときから、そう意識して取り組んでいるそうだ。

「自分の道を切り開いていかなければいけないと思っています。ワンチャンスでゴールを決めたり、『何か持っている』と思わせるとか。自分は点取り屋として代表で認められてるけど、それは昔の話。決め続けないと味方にはそう思ってもらえないので、『コイツは出たらもしかしたら決めてくれる』と周りに思わせ続けたいですね。そうなるためには自分のチームで試合に出なければいけないし、チームで重要な点を取らなければいけない」

岡崎にあるのは焦りではなかった。

「若手の台頭はすごくうれしいですね。今回はワールドカップ予選でのジンクスをすべて解消したわけで、それはそういう選手たちの力強さだし、今回ワールドカップに行けた要因だと思います。そこに自分もまた絡んでいける楽しみというか、新たな時代に、そこに自分も入っていくためにも努力していく楽しみができました」

世代交代を喜ぶのは、また乗り越えたい壁ができたからか。岡崎は予選突破が決まったばかりだというのに、ギラギラとしていた。

【日本蹴球合同会社/森雅史】