なかなか変わらない満員電車の問題。「時差ビズ」で少しはマシになる?

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通勤ラッシュの緩和を目指し、東京都と鉄道各社が取り組む「時差ビズ」。

『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が前編に続き、満員電車に耐える日本人の「働き方」について議論する!

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ひろ 例えば、月収18万円でプログラムとか将来に役立つスキルが学べる仕事と、月収23万円だけどスキルが学べない仕事があったときに、後者を選ぶ人って結構いると思うんですよ。でも、今の時代は同じ会社で定年まで仕事を続けることって少なくて、多くの人が転職します。

ホリ そう。大企業が突然潰れてもおかしくない時代だし、「終身雇用」もあってないようなもんでしょ。会社にもよるけど、同じ会社で働き続けていて短期間に年収が10万円増えることはまずない。でも、スキルがあれば転職して給料を増やすことなんて簡単だよ。

ひろ ですね。あと、会社でスキルが手に入らなくても、プライベートの自由な時間を使ってスキルを身につけることも選択肢のひとつなんです。でも、自由な時間を売り渡して、なんのスキルも手に入らないまま一生同じ仕事をしようとしている人が多い気がします。

ホリ でも、通勤時間は会社側の制度の問題も大きいからな。

ひろ 本当は、そういう会社に人が集まらなくなっていけば、だんだんと変わっていくと思うんですけどね。

ホリ 最近はリモート(遠隔)での作業を導入する企業も出始めているけど、これも普及するのはまだまだ先という印象だな。

ひろ 上司は顔を合わせて仕事したほうが楽だったりするんですよ。リモートだときちんとした指示を出す能力が求められますから。それに「相手の顔を見ながらじゃないとちゃんと仕事ができない」って言う人が結構多いと思います。

ホリ いやぁ、俺、そんな人と仕事できないわ……(笑)。

ひろ ですよね(笑)。あと社員にとってもリモートはキツい部分があります。在宅勤務の場合、純粋に仕事の成果で評価されるようになってしまう。要は「一生懸命やってる」とか「彼がいると職場の雰囲気がよくなる」みたいな仕事以外の面が考慮されなくなるんですよね。

ホリ そうだね。

ひろ それに、リモートの働き方が普及したら「地の利」が使えなくなる人が出てきますよ。

ホリ どういうこと?

ひろ 例えば、高学歴で経験も十分にあるけど、結婚などを機に地方に戻った実力のある人って結構いますよね。すると、東京にいるからという理由で、実力以上の給料をもらっている人はそういった地方勢とも勝負しなきゃいけなくなる。会社としては給料が抑えられて能力のある地方の人を雇いたいと思うようになるので、東京にいるだけの能力のない人は、かなり生活が厳しくなっていく。

ホリ でも、そういう勝負にさらされるのは当然でしょ。てか、満員電車とかの問題ってだいぶ前から言われていたし、その「おかしさ」はみんな気づいていたわけじゃん。いまさら慌てて取り組むのはちょっと遅いよね。クールビズみたいに、みんなが一斉にやらないとなかなか動きださないのは日本人の悪い癖。というかヘンなところだよ。

ひろ そういう意味では、小池百合子都知事が満員電車の緩和を目指す「時差ビズ」を始めるみたいなので、少しはマシになるかもですね。

ホリ どうかなあ。

(構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル)

堀江貴文(ほりえ・たかふみ)

1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『やっぱりヘンだよね』(集英社)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき

1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『ソーシャルメディア絶対安全マニュアル』(インプレスジャパン)