泉本 行志 / 株式会社アウトブレイン

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どんなにその分野のエキスパートであっても、どれだけ経験豊富であっても、
肝心な場面で、チェックリストを活用するということはとても有効です。

特に、精神的なプレッシャーがかかるような場面では、事前に入念なチェックリストを作成し、実行する時は、淡々とそのチェックリスト通りに遂行する。

肝心な場面になってから、頭をフル回転して考えようというのは避けるべきです。

例えば、新しいITシステム導入で、旧システムからのデータ移行作業を行うといった場合。特に限られた時間で全作業を完了させないとなると、かなりの精神的なプレッシャーを受けます。

あるいは、重要な交渉の場面。緊張ある場面で、リアルタイムのやり取りで相手と対峙する必要があります。

さらには人の命がかかわるもの、例えば医師がオペの準備をする、整備士が航空機の整備をするなど、失敗・間違いが許されない作業・場面は色々あります。

人は、緊張したり心理的にプレッシャーを受けると、知能が低下します。だからこそ、脳が正常に働く時に、やるべきことの網羅性・順序などを入念し確認し整理しておくことがとても重要です。

また、組織マネジメントの視点でいえば、こういったチェックリストこそ、実践的なナレッジの蓄積になります。実務で得たリアルなノウハウが、チェックリストを通じて溜まっていき、組織の中で継承されていく。 これを使わない手はありません。

効果的な営業プロセス、複雑なITシステムの設定方法、ミスが許されない公的書類の確認項目など、各担当者に属人的に知識が溜まるのではなく、チェックリストという目に見えるアウトプットを作ることで、組織的に経験値を積み重ねていくことができます。

もしあなたがプロジェクトマネジャーなどのマネジメントの立場ならば、現場の専門家たちの、「チェックリスト? こんなの何度もやっているから、いちいち要らないでしょう」という雰囲気の反応に負けてはいけない。

どんな優秀な人も、必ずミスを犯す。
だからこそチームとして、知識を共有して、本番に臨む。

自分はその分野のプロで、何度も同じようなことやってるし、いちいちチェックリストなど作成する必要ないというのは、真のプロでないと思います。

「チェックリストなんて・・」

とバカしていると、いつか痛い目に合う。