イメージ通りのスコアで戦えた武蔵野北が快勝

好投した西尾(都立武蔵野北)

 春の柔らかい日差しが優しくグラウンドを包んでいた、杉並区の佼成学園グラウンド。ただ、吹く風が少し冷たく、強く舞っているのがいくらか気にはなった。そんなコンディションでの試合となった。

 初回、都立武蔵野北の先発西尾君は都立桜修館の2番藤井君に安打を許すも、無難に切り抜けた。その裏の都立武蔵野北、一死後連続四球を選ぶと、4番根津君が左前打して満塁となる。続く西尾君が三遊間をゴロで破り、二者が帰った。さらにも櫻井君も右前タイムリー安打を放ち、この回3点となった。

 都立武蔵野北の西尾君は、自らの打撃で先制点を叩きだしたということで、気分よさそうにスイスイと自分のリズムの投球が組み立てられていたようだ。ファウルを打たせることを含めて、早いカウントで追い込んでいくので、投球そのものが有利になっていく。そこで、スライダーを引っ掛けさせるなどして取っていくのが西尾君の投球スタイルだ。6回に、齋藤周君と石井君の連打で2点差に追い上げられても慌てることはなかった。

 6回すぐに、都立武蔵野北は根津君と西尾君というバッテリーの連続長打で1点を追加する。7回も都立桜修館の二人目宇都宮君に対して、1番木村君が中前打すると、中山君の中越三塁打でさらに一点を追加している。

 しかし、いずれもその後の無死三塁で追加点を奪えなかった。どうかすると、大量点を奪えるところでもあっただけに、いささか攻めあぐみという感じがしないでもない。

 このあたりは、試合後に千葉智久監督も十分に納得していた。「もっと点が取れる試合でした。7回で終われるくらいの展開でしたよ」と、勝利にもいくらか渋い表情だった。「やっぱり、今の子なのでしょうね。その気質が表れていると思います。公式戦になると、振れない、走れないということが出てしまうんですね。こっちがマニュアルを用意してあげないと、いけないんですよ。よい子なんですけれども、失敗をしたくない、そういう気質なんです。だから、自分でやっているという自立をしているように誤魔化していきながら、やらせていかないといけないんですね」と、歯がゆさもあるようだ。

 とはいえ、この日は「勝つとしたら5対2か5対3。負けるとしたら5対7くらいだぞということは言っていました。5点くらいは取れるだろうから、自分たちで崩れなければ勝てるとは思っていました」と言うように、スコアに関しては、千葉監督のイメージ通りのいい展開となった。その要因としては、西尾君がしっかり投げられたことに尽きるだろうが、西尾君はバットでも3打点。まさに、投打にチームを引っ張っていったというところであった。

 都立桜修館も、大きなミスはなく、田村君と宇都宮君もそれぞれ自分の持ち味を出せた投球であり、途中出場の宇都宮君は初打席でもタイムリーを放っていた。しかし、初回に、ふとした四球の連発から、タイムリーを浴びて失った3点が、回を重ねていくにつれて重くなってきていた。いささか、悔いもあるところかもしれないが、これを夏へ向けての糧としてほしいところである。

(取材・写真=手束 仁)

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