広瀬すず「前に進む努力をしていかないと変われない」――映画『チア☆ダン』が教えてくれたこと。
まだ寒い2月上旬。ふんわり厚手のブランケットを抱えて取材部屋に入ってきた広瀬すず。「よろしくお願いします」と礼儀正しく頭を下げる姿は、華奢で可憐……。そんな彼女が、映画『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』で演じたのは、軽い気持ちでチアダンス部に入部するも、次第にダンスに魅了され成長していく主人公。広瀬自身も「悔しいと思う気持ちがバネになるタイプ」で、「ひたすら自主練して撮影に臨んだ」と語ってくれた。その語り口調はもの静かで丁寧だが、内面から溢れてくる言葉からは、とてもアツいものを感じた。
撮影/川野結李歌 取材・文/藤沢ともこ 制作/iD inc.
――本作は、2009年に福井の県立高校のチアリーダー部が、全米チアダンス選手権大会で優勝したという実話をもとに作られた作品ですね。
ずっと練習が必要な作品が続いていたので、最初にお話を聞いたときは、「次はチアダンスかぁ…」と思いました(笑)。よし! という感じにはならなくて、そっか…全米で優勝するのかぁと(笑)。でも、身体を動かすのは楽しくて。前作、『四月は君の嘘』でのヴァイオリンの練習は苦しかったですけど、チアは練習もので一番楽しかったです。
――台本を読んでみて、いかがでしたか?
すっごく笑って、泣いて……。台本を読んだだけで面白くて、撮影に入る前から楽しみだなぁと思っていました。奇跡みたいな実話が、ホントに福井であったんだ! と。
――本作のモデルとなったみなさんとお話する機会はありましたか?
福井に行かせてもらったときに、初代メンバー全員と先生に、映画を観てもらってお会いもしました。そのときに、作品を観て「すごく良かったです」と言ってもらえて。でも、その言葉よりも表情に出ているものを感じられて。それがすごく嬉しかったし、良かったな、と思いました。
――広瀬さんも一足先に映画をご覧になったそうですね?
全国大会出場のときに、自分はケガをして出られず、みんなを笑顔で見送るシーンを観て、感情移入というか、まったく同じ感情がよみがえってきて。ひとりでイライラして、悔しいっ! と思ってました。
――出演者のみなさんとご覧になったんですか?
私と中条あやみちゃん(玉置彩乃役)以外の出演者は、その日の午前中に観て、私は午後にみんなと入れ違いで観ました。みんなが、映画を観たあとにすごい泣いていて。自分たちが観ても泣けるんだ! と思いました。その姿を見たあとだったので、半年以上みんなと一緒に練習してきたいろいろな思い出がよみがえってきて。みんなが恋しくなって、作品をちゃんと観ていられなくなって…(笑)。なので、もう1回改めて観たいと思っています。
――福井弁にも挑戦されましたね?
自分の福井弁に違和感があって、大丈夫かなぁと(笑)。
――『ちはやふる』でも共演された真剣佑さんが、広瀬さん演じる友永ひかりの憧れの同級生・山下孝介役で出演しています。彼は既に福井弁マスターですね!
福井弁の確認は、すべて真剣佑くんにしていました!(笑) 勝手に福井弁の先生と思って、教えてもらいました!
――今作で広瀬さんが演じるひかりは、中学時代からの憧れの同級生でサッカー部に所属する孝介を応援したい、という理由だけでチアダンス部に入部します。
ただ好きな子に近づきたいだけというきっかけで入ったので、逆に変に役を作ることなく、このままの素でいていいんだな、という感じでした。最近、原作ものが多かったので、今までは自分が役に寄っていくというイメージでしたが、今回は実話でモデルさんがいます。でも、キャラクターとして存在しているひかりは私だけなんだな、と思い、自分に寄せて、どんどん染み込ませていきたいなと思いました。
――好きな人を応援したいだけで入部、という動機については共感できました?
わかりますね。私も簡単に「やめる!」とか、言葉に出しますけど、ひかりは周りから言われて、“悔しい”と思う気持ちがバネになるタイプだと思うし、私もそういうタイプ。好きは好きなんだけど、“女の子同士だからこそ出てくる男気”みたいなものや、(ひかりが自分と)同世代の女の子だからこそ、出てくる感情はすごくわかりました。
――なるほど。
同世代の女の子を尊敬する気持ちもありますけど、どこか悔しいという気持ちもあるので、似ているんだろうな、と思いました。チームの中での競い合いの部分も、私も絶対燃えるタイプなので、トーンとしては似ていました。
――ひかりに共感できる部分が多いんですね。
ひかりはどこか自分を客観視しているので、長所も短所もわかっている。 私はまず自分に甘いので(笑)、その両方を自分で認めるということは、なかなかできることではないなと…。それができているひかりはスゴいです! 一番のライバルだと思っている存在の子(中条あやみ演じる玉置彩乃)に向かって、「自分はこうだ」と思っている言葉を言えるのもスゴいと思う。
――ひかりは天真爛漫でチアダンスは素人、笑顔だけが取り柄という設定です。
笑顔や、周りを明るくさせる太陽みたいなエネルギーを天性のものとして持っています。私はわりと落ちることも上がることもあまりない、一定のテンションなんです。
――似ている部分もあるけれど、テンションに関しては違う?
笑いのツボは浅いので、笑うことは笑いますけど(笑)、周りを明るくさせる笑いではないんですよね。それはやっぱり根にあるものなので、持っている人と持っていない人は違うだろうなと思いました。「センターに立てる人と、立てない人がいる」というセリフがあって、その意味はすごくわかるなと。そこはどうにもならないものなので、天性として持っているひかりが羨ましいなと思いました。
――演じるうえで、注意した点はありますか?
演じていて、自分で変に作った感じが一切なくて。このトーン、このテンションで現場に行けば、普段はみんな明るいテンションの人たちばっかりだったので、今回はとにかく体温を高くして行こうと思っていました。そこを意識していれば、変な力も入らないし、リアルな言葉と言葉の掛け合いもできた。
――元気な面と、冷静な面。両面を併せ持つ役柄ですよね?
元気というよりは、お調子者だな、と(笑)。まっすぐというか、ドストレート。孝介に、「オレら、付き合ってたっけ?」と言われて落ち込んだりして(笑)、気持ちの波が激しい女の子。まっすぐだからこそ、激しいんだろうな、キレイな心なんだろうな、と思います。
――チアダンスに抱いていたイメージはどんなものでしょう?
女子の憧れというか、女の子らしい人しか入れない世界なのかな、という印象でした。
――チアダンスをやってみていかがでしたか?
動きや表情がみんなひとつにまとまっていることが大切。個々ではなく、みんなでそこに立っている楽しさを肌で感じていないと、何も伝わらないものなんだな、と思いました。
――“人を応援し、元気づける”というチア精神は、広瀬さんのイメージにピッタリです。
最初に、チアはものすごく美しいと感じました。チア独特の、人を応援する気持ちは前提にあって、そのうえで、お芝居となると、また難しいなとも思いました。ひかりの“持っているもの”は笑顔だったんですが、私はそこが難しくて……。でも、そこがないとダメだと思っていて。普段から、とにかくみんなと一緒に行動して、一緒にしゃべって、一緒に笑っていよう、と心がけていました。
――チアダンスのレッスンはいかがでした?
スロースターターなので(笑)、今日も踊るのかぁ…と、最初の頃はずっとそう思ってました。でも、練習に行けない日が多くて、そのあいだに周りがどんどん上手くなっていたり、みんなが馴染んでいたりするのを見て、だんだん燃えてきて。その後は、ひたすら家で自主練という感じでした。
――周りを見て、燃えてくるタイプなんですね(笑)。
相当メラメラしてました(笑)。みんなはしゃべりながらストレッチという感じでしたが、私は途中からは誰ともしゃべらずで…。ストレッチをしてから、まずダンスの確認をしなければ、ほかの人よりも置いていかれている状態だったので、遅れている部分を埋めていく作業からしていきました。根性でできたのかな、と思っています。
――相当、練習されたんですね。
身体がすごく硬かったので、ダンスに…筋肉にすべてを懸けました!(笑) 毎日湯船に浸かって、筋肉をほぐして。筋肉がどんどん付いて固まって、ストレッチでほぐすけれど、今度はストレッチで筋肉がのびて固まっちゃう! それから1カ月くらい、いっさい筋肉がのびない時期がきてしまって。
――それは大変でしたね……。
そんなときに、筋膜ローラーを発見したんです!(笑) これを使えば、のびきった筋肉を元に戻せるんです! いろいろ調べて、みんなにも買って来て。たとえば、ごはんを食べながら、お尻の下にテニスボールを入れて座ったり。ひたすら筋肉に対するグッズが、バッグの中に散乱してました(笑)。
――ストレッチボールやポールは、コロコロ転がすと筋肉にはよく効きますが、けっこう痛くないですか?
全体重をかけて転がしてましたけど…涙が出てくるほど痛かったです! でも、それをやれば、身体も柔らかくなるし、軽くなるし。ケガもしにくくなるので、どうやったら筋肉がほぐれるのかは、毎日研究しましたね(笑)。筋膜ストレッチ!! オススメです。関西のオバチャンみたく、撮影中にみんなにもいろいろ勧めてました(笑)
撮影/川野結李歌 取材・文/藤沢ともこ 制作/iD inc.
「奇跡みたいな実話がホントにあったんだ!」
――本作は、2009年に福井の県立高校のチアリーダー部が、全米チアダンス選手権大会で優勝したという実話をもとに作られた作品ですね。
ずっと練習が必要な作品が続いていたので、最初にお話を聞いたときは、「次はチアダンスかぁ…」と思いました(笑)。よし! という感じにはならなくて、そっか…全米で優勝するのかぁと(笑)。でも、身体を動かすのは楽しくて。前作、『四月は君の嘘』でのヴァイオリンの練習は苦しかったですけど、チアは練習もので一番楽しかったです。
――台本を読んでみて、いかがでしたか?
すっごく笑って、泣いて……。台本を読んだだけで面白くて、撮影に入る前から楽しみだなぁと思っていました。奇跡みたいな実話が、ホントに福井であったんだ! と。
――本作のモデルとなったみなさんとお話する機会はありましたか?
福井に行かせてもらったときに、初代メンバー全員と先生に、映画を観てもらってお会いもしました。そのときに、作品を観て「すごく良かったです」と言ってもらえて。でも、その言葉よりも表情に出ているものを感じられて。それがすごく嬉しかったし、良かったな、と思いました。
――広瀬さんも一足先に映画をご覧になったそうですね?
全国大会出場のときに、自分はケガをして出られず、みんなを笑顔で見送るシーンを観て、感情移入というか、まったく同じ感情がよみがえってきて。ひとりでイライラして、悔しいっ! と思ってました。
――出演者のみなさんとご覧になったんですか?
私と中条あやみちゃん(玉置彩乃役)以外の出演者は、その日の午前中に観て、私は午後にみんなと入れ違いで観ました。みんなが、映画を観たあとにすごい泣いていて。自分たちが観ても泣けるんだ! と思いました。その姿を見たあとだったので、半年以上みんなと一緒に練習してきたいろいろな思い出がよみがえってきて。みんなが恋しくなって、作品をちゃんと観ていられなくなって…(笑)。なので、もう1回改めて観たいと思っています。
――福井弁にも挑戦されましたね?
自分の福井弁に違和感があって、大丈夫かなぁと(笑)。
――『ちはやふる』でも共演された真剣佑さんが、広瀬さん演じる友永ひかりの憧れの同級生・山下孝介役で出演しています。彼は既に福井弁マスターですね!
福井弁の確認は、すべて真剣佑くんにしていました!(笑) 勝手に福井弁の先生と思って、教えてもらいました!
ヒロインと同じ、“悔しい”気持ちがバネになるタイプ
――今作で広瀬さんが演じるひかりは、中学時代からの憧れの同級生でサッカー部に所属する孝介を応援したい、という理由だけでチアダンス部に入部します。
ただ好きな子に近づきたいだけというきっかけで入ったので、逆に変に役を作ることなく、このままの素でいていいんだな、という感じでした。最近、原作ものが多かったので、今までは自分が役に寄っていくというイメージでしたが、今回は実話でモデルさんがいます。でも、キャラクターとして存在しているひかりは私だけなんだな、と思い、自分に寄せて、どんどん染み込ませていきたいなと思いました。
――好きな人を応援したいだけで入部、という動機については共感できました?
わかりますね。私も簡単に「やめる!」とか、言葉に出しますけど、ひかりは周りから言われて、“悔しい”と思う気持ちがバネになるタイプだと思うし、私もそういうタイプ。好きは好きなんだけど、“女の子同士だからこそ出てくる男気”みたいなものや、(ひかりが自分と)同世代の女の子だからこそ、出てくる感情はすごくわかりました。
――なるほど。
同世代の女の子を尊敬する気持ちもありますけど、どこか悔しいという気持ちもあるので、似ているんだろうな、と思いました。チームの中での競い合いの部分も、私も絶対燃えるタイプなので、トーンとしては似ていました。
――ひかりに共感できる部分が多いんですね。
ひかりはどこか自分を客観視しているので、長所も短所もわかっている。 私はまず自分に甘いので(笑)、その両方を自分で認めるということは、なかなかできることではないなと…。それができているひかりはスゴいです! 一番のライバルだと思っている存在の子(中条あやみ演じる玉置彩乃)に向かって、「自分はこうだ」と思っている言葉を言えるのもスゴいと思う。
――ひかりは天真爛漫でチアダンスは素人、笑顔だけが取り柄という設定です。
笑顔や、周りを明るくさせる太陽みたいなエネルギーを天性のものとして持っています。私はわりと落ちることも上がることもあまりない、一定のテンションなんです。
――似ている部分もあるけれど、テンションに関しては違う?
笑いのツボは浅いので、笑うことは笑いますけど(笑)、周りを明るくさせる笑いではないんですよね。それはやっぱり根にあるものなので、持っている人と持っていない人は違うだろうなと思いました。「センターに立てる人と、立てない人がいる」というセリフがあって、その意味はすごくわかるなと。そこはどうにもならないものなので、天性として持っているひかりが羨ましいなと思いました。
――演じるうえで、注意した点はありますか?
演じていて、自分で変に作った感じが一切なくて。このトーン、このテンションで現場に行けば、普段はみんな明るいテンションの人たちばっかりだったので、今回はとにかく体温を高くして行こうと思っていました。そこを意識していれば、変な力も入らないし、リアルな言葉と言葉の掛け合いもできた。
――元気な面と、冷静な面。両面を併せ持つ役柄ですよね?
元気というよりは、お調子者だな、と(笑)。まっすぐというか、ドストレート。孝介に、「オレら、付き合ってたっけ?」と言われて落ち込んだりして(笑)、気持ちの波が激しい女の子。まっすぐだからこそ、激しいんだろうな、キレイな心なんだろうな、と思います。
ダンスの練習に没頭!「相当メラメラしてました(笑)」
――チアダンスに抱いていたイメージはどんなものでしょう?
女子の憧れというか、女の子らしい人しか入れない世界なのかな、という印象でした。
――チアダンスをやってみていかがでしたか?
動きや表情がみんなひとつにまとまっていることが大切。個々ではなく、みんなでそこに立っている楽しさを肌で感じていないと、何も伝わらないものなんだな、と思いました。
――“人を応援し、元気づける”というチア精神は、広瀬さんのイメージにピッタリです。
最初に、チアはものすごく美しいと感じました。チア独特の、人を応援する気持ちは前提にあって、そのうえで、お芝居となると、また難しいなとも思いました。ひかりの“持っているもの”は笑顔だったんですが、私はそこが難しくて……。でも、そこがないとダメだと思っていて。普段から、とにかくみんなと一緒に行動して、一緒にしゃべって、一緒に笑っていよう、と心がけていました。
――チアダンスのレッスンはいかがでした?
スロースターターなので(笑)、今日も踊るのかぁ…と、最初の頃はずっとそう思ってました。でも、練習に行けない日が多くて、そのあいだに周りがどんどん上手くなっていたり、みんなが馴染んでいたりするのを見て、だんだん燃えてきて。その後は、ひたすら家で自主練という感じでした。
――周りを見て、燃えてくるタイプなんですね(笑)。
相当メラメラしてました(笑)。みんなはしゃべりながらストレッチという感じでしたが、私は途中からは誰ともしゃべらずで…。ストレッチをしてから、まずダンスの確認をしなければ、ほかの人よりも置いていかれている状態だったので、遅れている部分を埋めていく作業からしていきました。根性でできたのかな、と思っています。
――相当、練習されたんですね。
身体がすごく硬かったので、ダンスに…筋肉にすべてを懸けました!(笑) 毎日湯船に浸かって、筋肉をほぐして。筋肉がどんどん付いて固まって、ストレッチでほぐすけれど、今度はストレッチで筋肉がのびて固まっちゃう! それから1カ月くらい、いっさい筋肉がのびない時期がきてしまって。
――それは大変でしたね……。
そんなときに、筋膜ローラーを発見したんです!(笑) これを使えば、のびきった筋肉を元に戻せるんです! いろいろ調べて、みんなにも買って来て。たとえば、ごはんを食べながら、お尻の下にテニスボールを入れて座ったり。ひたすら筋肉に対するグッズが、バッグの中に散乱してました(笑)。
――ストレッチボールやポールは、コロコロ転がすと筋肉にはよく効きますが、けっこう痛くないですか?
全体重をかけて転がしてましたけど…涙が出てくるほど痛かったです! でも、それをやれば、身体も柔らかくなるし、軽くなるし。ケガもしにくくなるので、どうやったら筋肉がほぐれるのかは、毎日研究しましたね(笑)。筋膜ストレッチ!! オススメです。関西のオバチャンみたく、撮影中にみんなにもいろいろ勧めてました(笑)