「響け!ユーフォニアム2」6話。大事なものを喪失したら

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熱血根性吹奏楽アニメ「響け!ユーフォニアム2」6話。今回は久美子たちの文化祭。
見逃した人はニコニコ動画AbemaTVで見られます。


OPのモノクロパートがフルカラーになった。ここから全国大会編か……!
主人公の黄前久美子と高坂麗奈。文化祭は約束してないのに、当たり前のように2人でまわり、恋バナで盛り上がる。仲良しノルマ+青春達成です。
にしても、麗奈に会いに行くために、苦手なのに一人でお化け屋敷に入る久美子って、すごくないですか。
「友達」でも「恋愛」でもなく、「引力」って言葉、しっくりくる。

思い出になった「学園天国」



文化祭パートは、原作外伝「北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話」で書かれているもの。

吹奏楽部が「学園天国」を演奏したのは、本当によかった!(もう一曲は大瀧詠一の「君は天然色」)
この曲は、コンクールメンバーを選ぶオーディションで落ちた、Bメンバー「チームもなか」が吹いた曲。
舞台には上がれなかったけど、一生懸命練習して、Aメンバーの前で披露した。
それを、今回は全員で演奏した。

出て来るキャラみんなが同じ曲を演奏するのは、初のこと。
高校になってから練習を始めた初心者・加藤葉月もちゃんと参加している。
なにより、一度退部し、戻るときに拒絶されていたフルートの傘木希美が、復帰できている。

以前「学園天国」を聞いて泣き崩れた部長の小笠原晴香先輩。彼女が、チームもなかの頑張りに私たちもあわせよう、みたいに考えたと思いたい。
全員での演奏は、チームもなかだけの時とレベルは桁違い。全く肩の力が入っていないのも気持ちいい。
府大会と関西大会で同じ曲を見せたように、「ユーフォ」は同じ曲を繰り返し聞かせて、どう成長したのかを見せるスタイルを取っている。
滝先生はコンクール練習と違い、腕をくんで壁によりかかって見ている。

ちなみに久美子のクラスのアリス風衣装は、「けいおん!」の「K-ON! MUSIC HISTORY'S BOX」でも類似したものが使われている。

お姉ちゃんへの怒り


「ユーフォ」は、というか京都アニメーションは、1つの話に表テーマ・裏テーマを設定して描写することが多い。
今回は「文化祭」における現役高校生の青春と、高校生を終えて大事なものを「喪失」した人間たちの2点だ。

喪失した一人目は、大学に通っている久美子の姉の麻美子。
嵐の中ずぶ濡れになって帰ってきて、大学を辞めると言い出した。
現時点では何を考えているかわからない。
姉に久美子は詰め寄る。
「お姉ちゃん大学辞めるの。あれだけ人に勉強しろってうるさかったのに、大学辞めちゃうの? なんで? お姉ちゃんはいい学校いっていい会社入るために勉強してたんでしょ? 辞めたら意味ないじゃん!」
久美子がここまで怒りを露わにしたのは、「ユーフォ」シリーズでは、はじめてだ。

久美子はポジションによって、しゃべり方が全く変わる。
先輩と先生の前。あすか先輩の前。友達の前。麗奈の前。幼馴染の塚本の前。母親の前。
右に行くに従って、久美子の幼い部分、腹黒い部分を隠さなくなる。
声のトーンがけだるげに低くなり、思春期ならではの「理由のないイライラ」を出す。

姉に対しては、ちょっと複雑。
幼いころは仲が良かった。姉に憧れていた。
大きくなってからは姉は久美子に「勉強しろ」と言い続け、その割に会話は多くなかった。
大学通いになって姉が家を出てからは、ほぼ接点がない。

最初は、幼い子供が使う「なんで?」と同じような論調だった。
でも声に出すうちに、今まで姉が「部活じゃ大学に行けない」と繰り返していたことが思い出される。
いらだち、たかぶる。
姉の前では、彼女はずっと「妹」のポジション。多少わがままを言っても、言い返してくるのを繰り返していて、気を抜いていた。

だから「あんたには関係ないでしょ」と拒絶されたことで、彼女はどうすればいいかわからなくなってしまう。
姉に対しては、先輩に対してや麗奈に対してのように、今更ポジションを変えることはできない。ケンカをしてプラスになる特別な関係は、今はできていない。
かつてはできたかもしれないのに。

滝先生が顧問でよかった


もう一人の「喪失」者は部活の顧問の滝先生。
久美子は、左薬指に指輪をはめてイタリアンホワイトの花(花言葉は「あなたを思い続けます」)を買っている彼を目撃。
「指輪」と「写真に写っている奥さん」の話をポロっと聞いてしまい、滝先生の過去話を知ることになる。

地雷を踏んで歩く失言王・久美子。それがプラスに働いているのが2期。
彼女がいろいろな人の苦しみを知ることで、本人は直接関与しないけど他の人の輪が形成され、間接的に吹奏楽部員のモチベーションの底上げになっている。2年生の件では、久美子は次々無意識にスイッチを押す、ピタゴラスイッチの球みたいだった。

滝先生の亡くなった奥さんの話は、生徒の演奏と何にも関係ない。
麗奈が滝先生に恋をしているのも、自分の演奏とは関係ない。
音はメンタルに強く影響を受けるから、その話は極力おさえる。
滝先生は私事は何も言わないし、久美子も麗奈に滝先生の真実を言えない。

今までは「言わない」ことで、友人関係と部活動が崩壊した様子が描かれていた。
相手にどこまで踏み込むのか、それとも思いやりで踏み込まないのがよいのか。
「つい無意識に踏み込んでしまう」久美子の動きが、この作品における解を模索している。

7話は、田中あすか先輩の退部問題に突入。
晴香先輩のバリサクソロは要チェックですよ。
にしても、トラブルが続く中、ワンカット入る緑輝(サファイア)の天然な空気は、癒やしだよ……。

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(たまごまご)