今夜「コック警部の晩餐会」人気ラーメン店主、こだわりのダイイングメッセージ
「コック警部の晩餐会」第4話。ラーメン屋の店長役で、本当にラーメン屋をやっていた河合我聞が登場。第1話では、今はテレビで見なくなった元人気清純派女優役で小野真弓が出ている。このドラマのキャスティング理由はちょっと変だ。
第17回 業界最高権威 TRYラーメン大賞 2016-2017 (1週間MOOK)
今話の焦点は、動機でもトリックでもなく、アリバイ。そのアリバイが実にグルメミステリーらしく、そそられる。
人気トンコツラーメン店、アポロ軒の店主・矢沢(佐藤太助)が殺された。遺体は口にトマトを咥えており、どうやらダイイングメッセージらしい。古久警部(柄本佑)とあずみ(小島瑠璃子)は、他にも暖簾分けを許されたアポロ軒2号店店主・小山内(河相我聞)と、アポロ軒3号店店主・遠藤(浜田学)に事情聴取を行うが、2人のアリバイは、自分達にしか作れないアポロ軒特製のスープだという。
誰にもマネ出来ないほど旨いスープだからアリバイ。普通のミステリーだったらこれだけではアリバイとして成立しないだろう。しかし、そこはグルメミステリー。古久警部の完璧な舌がそのラーメンを試食し「立派なアリバイです」と認定してしまう。鬼刑事みたいなのがいたら「ふざけるな」と一括されているところだが、このドラマに置いて古久警部の舌は絶対だ。この真面目にやってるのに、ふざけて見える感じがたまらない。
人が物を食べる時に働く五感の割合は、視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、そして味覚はなんと1%だという。この科学的事実が今回のキーポイントになっている。
殺されたアポロ軒の店主・矢沢は、動物性の食材を使わずに、アポロ軒のラーメンを再現することに成功していた。ヴィーガン(絶対菜食主義)の人でもアレルギー持ちの人でも美味しくラーメンを食べてもらうためだ。このラーメンは古久警部による晩餐会で、2号店店主・小山内と3号店店主・遠藤も普通のアポロ軒のラーメンとの違いに気付けなかった。矢沢を殺した小山内は、それを知らずにそのスープを持ち帰って自分の店で使用していた為に、犯行が明らかになった。
死んだ矢沢が咥えていたトマト、これは明らかに犯人を示すダイイングメッセージだ。赤が関係するのだろうか?それとも逆さから呼んでも同じ名前の人間だろうか? しかし、そんなことではなかった。なんとトマトが示す物は、トマトそのものだったのだ。矢沢は、薄れ行く意識の中で、スープを盗む小山内を見て、「まだそのスープは完成じゃない!トマトを加えろ!」という思いで、トマトを咥えていたのだった。ダイイングメッセージが犯人を示さないパターンは初めて見た。まさにラーメン屋の鑑。
唯一残念なのは、味を感じる五感視覚83%理論だ。いくら科学的事実でも言われただけではなかなか飲み込めない。視覚と嗅覚に負けるのはまだわかるが、聴覚と触覚に味覚が負けるのはまったくピンとこない。豚骨を使わないトンコツラーメンがそれほど美味しそうに思えないのだ。化学実験バラエティみたいな番組の、でんじろう先生が実験して初めて納得いくやつな気がする。“晩餐会のシーンでウーロン茶と称してアイスティーを出しても誰も気付かなかった”みたいなシーンがあれば少しは違うのかもしれないが、ここで置いてかれてしまった視聴者は多いように思う。
そしてもう一つ男性視聴者が納得がいかなかったのは、久松郁実のお色気シーンがなかったことだろう。今回は一日で事件が解決してしまった為、あずみが寮に帰らなかった為だ。今夜放送の第5話のメニューは餃子。果たして、久松郁実演じる桃は登場するのだろうか?
(沢野奈津夫)
第17回 業界最高権威 TRYラーメン大賞 2016-2017 (1週間MOOK)
アリバイがそそられる
今話の焦点は、動機でもトリックでもなく、アリバイ。そのアリバイが実にグルメミステリーらしく、そそられる。
誰にもマネ出来ないほど旨いスープだからアリバイ。普通のミステリーだったらこれだけではアリバイとして成立しないだろう。しかし、そこはグルメミステリー。古久警部の完璧な舌がそのラーメンを試食し「立派なアリバイです」と認定してしまう。鬼刑事みたいなのがいたら「ふざけるな」と一括されているところだが、このドラマに置いて古久警部の舌は絶対だ。この真面目にやってるのに、ふざけて見える感じがたまらない。
人は目で物を食べている(ネタバレ有り)
人が物を食べる時に働く五感の割合は、視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、そして味覚はなんと1%だという。この科学的事実が今回のキーポイントになっている。
殺されたアポロ軒の店主・矢沢は、動物性の食材を使わずに、アポロ軒のラーメンを再現することに成功していた。ヴィーガン(絶対菜食主義)の人でもアレルギー持ちの人でも美味しくラーメンを食べてもらうためだ。このラーメンは古久警部による晩餐会で、2号店店主・小山内と3号店店主・遠藤も普通のアポロ軒のラーメンとの違いに気付けなかった。矢沢を殺した小山内は、それを知らずにそのスープを持ち帰って自分の店で使用していた為に、犯行が明らかになった。
犯人を示すものではないダイイングメッセージ
死んだ矢沢が咥えていたトマト、これは明らかに犯人を示すダイイングメッセージだ。赤が関係するのだろうか?それとも逆さから呼んでも同じ名前の人間だろうか? しかし、そんなことではなかった。なんとトマトが示す物は、トマトそのものだったのだ。矢沢は、薄れ行く意識の中で、スープを盗む小山内を見て、「まだそのスープは完成じゃない!トマトを加えろ!」という思いで、トマトを咥えていたのだった。ダイイングメッセージが犯人を示さないパターンは初めて見た。まさにラーメン屋の鑑。
視覚83%理論は、どれぐらいの人が納得いったのだろう?
唯一残念なのは、味を感じる五感視覚83%理論だ。いくら科学的事実でも言われただけではなかなか飲み込めない。視覚と嗅覚に負けるのはまだわかるが、聴覚と触覚に味覚が負けるのはまったくピンとこない。豚骨を使わないトンコツラーメンがそれほど美味しそうに思えないのだ。化学実験バラエティみたいな番組の、でんじろう先生が実験して初めて納得いくやつな気がする。“晩餐会のシーンでウーロン茶と称してアイスティーを出しても誰も気付かなかった”みたいなシーンがあれば少しは違うのかもしれないが、ここで置いてかれてしまった視聴者は多いように思う。
そしてもう一つ男性視聴者が納得がいかなかったのは、久松郁実のお色気シーンがなかったことだろう。今回は一日で事件が解決してしまった為、あずみが寮に帰らなかった為だ。今夜放送の第5話のメニューは餃子。果たして、久松郁実演じる桃は登場するのだろうか?
(沢野奈津夫)