2020年東京五輪・パラリンピックの追加種目として決定したサーフィン。日本サーフィン連盟によると、日本のサーファー人口は約200万人という。しかし、筆者の住む沖縄でサーフィンする人は多くない。

沖縄では毎日コンスタントにいい波があるわけではないため、サーフィン目的であれば、それほど値段的に変わらないバリ島トリップを選ぶサーファーの方が多いのだ。実際にサーフィンが大好きな筆者も、沖縄に移住する前に二回足を運んでいるが、サーフィンはしなかった。

沖縄の海(以下、筆者撮影)

もしあなたがサーファーで、家族旅行や社員旅行で沖縄に行くということが決まったならば、まず最初に脳裏に浮かぶ疑問といえば、「沖縄って、サーフィンできるのか」ではないだろうか。その答えは――。

考慮すべき3つの要因

答えは「Yes,but...」だ。つまり、「できるけど、どうかなぁ」ということ。たとえば千葉県の九十九里浜であれば、波はコンスタントにある。なので波の質にこだわらなければ、ほぼ確実といっていいほど毎日サーフィン、もしくはサーフィン体験ができる。しかし沖縄となると少なくとも以下の3つの要因を考慮しなければならない。

1.サーフィンに適した波のない日が多い2.満潮時間にしかサーフィンできない3.サーフィンのできるポイントが見つけにくい

それでは、要因をひとつずつ見ていこう。

1.サーフィンに適した波のない日が多い

沖縄本島東シナ海側は夏の時期はほとんど波がない。太平洋側は一年中比較的コンスタントに波があるものの、風が強くサーフィンができないグチャグチャの波(サーフィン用語で「クローズアウト」、「チョッピー」)の日が多い。

クローズアウトでもSUPなら楽しめるポイントもある。SUPとは「スタンドアップパドルボード」の略で、大きなサーフボードに立って波に乗ったり、クルージングしたりすることだ。

2.満潮時間にしかサーフィンできない

干潮になると海底の珊瑚や岩が顔を出すため、サーフィンをするのは危険だ。海底は珊瑚で一杯。

干潮時には珊瑚が顔を出す。

3.サーフィンのできるポイントが見つけにくい

沖縄本島は海に囲まれているものの、サーフィンができるポイントは非常に限られている。波が崩れる場所でないとサーフィンができないが、そのポイントまで数百メートル、時には数キロ離れている。またビーチに続く道を見つけにくいこともしばしば。

沖合にかすかに見える白波の所までパドルアウト(沖へ出ること)しなければいけない。

ビーチに至る険しい道

このように沖縄でサーフィンをするにはいくつかのハードルを越える必要があるものの、現地にはサーフガイドや体験サーフィンを提供しているショップもあるので、興味のある方は尋ねるといいだろう。決して一人で行くべきではない。

良い波に巡り合えた時の喜びはひとしおだ。

サーファーが少ないために、海がほとんど貸し切り状態ということも。

なんといっても水がきれい。

海底が珊瑚ならではのリーフブレイク(※注)を楽しむことができる。

※注:リーフブレイク...波が崩れる場所の地形が岩や珊瑚礁(リーフ)のところの波で、波の崩れ方が予想しやすく、多くのサーファーが好む反面、干潮時にはリーフを体にぶつけるというリスクもある。リーフブレイクに対して、海底が砂のところはビーチブレイクという。

台風の後には、このようなワールドクラスの波が来ることも。

短い滞在日数で良い波に巡り合える可能性は低いかもしれないが、サーフィンができなければSUPでクルージングという代替案もある。今度沖縄旅行を計画される時には是非現地のサーフショップやサーフガイドと連絡を取り、沖縄サーフィンの醍醐味(きれいな水、リーフブレイク、人が少ない)を味わっていただきたい。

今回の筆者:河原良成世界数か国で生活した後に、40代で二児の父親となる。子育てのため沖縄に移住。現在、好きを仕事にするため、マリーン事業「沖縄サーフガイド」を営んでいる。