「1/fゆらぎ」(エフぶんのいちゆらぎ)という言葉をご存知ですか。癒しを与えるとされる1/fゆらぎですが、「ゆらぎ」とは規則的に動いていたものが一時的に不規則になること、規則的なものから「ずれる」ことを示します。自然界には1/fの力で働くゆらぎが多く存在することが分かっており、例えばそよ風にも1/fゆらぎがあてはまります。そよ風がなぜ心地良いのかというと、扇風機のように一定の強さで吹くことはなく、強まったり弱まったりと、リズムを持ったゆらぎがあるからです。

1/fゆらぎとは?

自然界に存在するものはすべて、一見、規則的に感じられるようなものであっても、どこかに不規則さを伴っています。例えば天体の動きは一定の速さで移動しているようで、その動きは微妙に変化しています。また私たちの心臓の鼓動は規則正しく打っているけれど、速さにゆれがあります。このように、ある法則にのっとって規則的な運動をしつつも機械的に固定されることはなく、変化を伴うのが自然界の動きの特徴であり、1/fゆらぎといわれるリズムなのです。このように規則的な部分と不規則的な部分のバランスがうまく取れている時、私たちはそこから癒しを受け、快適さを感じることが分かっています。1/fゆらぎは視覚や聴覚など、すべての五感で感じることができ、私たちがリラックスできる空間や時間には1/fゆらぎが存在していると考えられます。

自然界に多く存在する1/fゆらぎ

自然の中にいると気持ちが良いのは、あらゆるところに1/fゆらぎが存在するからです。川のせせらぎ、鳥のさえずり、虫の音、波の音、木漏れ日などがそうです。またゆれる炎や木の木目、電車のゆれにも1/fゆらぎが存在します。逆に言えば、ビルが立ち並ぶ人工的に作られた街中や、繰り返される機械音などには1/fゆらぎが存在しません。完璧にコントロールされたシンメトリーの絵や風景などに癒しが感じられないのは、そこには1/fゆらぎがないからです。

身近に1/fゆらぎを取り入れよう!

忙しくてなかなか自然に触れる機会がないという方でも、安心してください。工夫次第で生活に1/fゆらぎを簡単に取り入れ、癒し効果を得ることができます。例えば音楽を聴くのが良いでしょう。クラシック音楽、特にモーツァルトは、音楽の要素が規則的/不規則的にうまく構成され調和しており、1/fゆらぎ効果が高いとされます。他の方法として、家の生活空間を工夫し1/fゆらぎを得ることもできます。人工素材よりも、木など自然のものを素材としたインテリアを中心とし、手作り感のあるものを置くと、1/fゆらぎが得られやすくなります。時間のある時にはキャンドルを焚いて、ぼーっと炎を眺めるのも癒し効果があります。日頃疲れた心身を自宅でリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。


writer:Akina