財政再建をテーマに話し合った財政問題シンポジウム(撮影:吉川忠行)

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財務省財務総合政策研究所の「財政問題に関するシンポジウム」が6日、東京都千代田区の大手町サンケイプラザであった。国債残高が膨張し、急務となっている財政再建策について、パネリストから「歳入増へ増税が必要」「まずは歳出抑制から」などの意見が出た。

 政府は、2010年代初頭に基礎的財政収支の黒字化を目指しているが、国と地方合わせた長期債務残高が2005年度末で約774兆円と、対GDP比1・5倍の額が見込まれるなど、赤字状態が続いている。シンポジウムでは、一橋大学国際・公共政策大学院長の田近栄治氏と日本総合研究所主席研究員の翁百合氏の基調講演の後、田野瀬良太郎財務副大臣らが加わってパネルディスカッションを行った。

 財政再建をテーマに5人の出席者が持論を展開。田近氏は、歳入と歳出の一体改革が不可避と訴え、「日本の家計は世界と比べて税負担が少ない。増税の必要がある」と指摘。なだらかな累進課税など所得税の是正を行い、それから消費税率アップを考えるべきだ、とした。景気への配慮からいきなりの増税に慎重な見方もあり、田野瀬副大臣は、民需主導の持続成長が不可欠と語った上で、「まずは構造改革で歳出削減を徹底する」と見解を述べ、その後、消費税率アップを中心に検討すべき、とした。

 また、医療保険制度改革について、「増税と社会保障制度改革は同時に行わなければならない」「ミクロ政策の積み上げが大事」などの意見が出た。【了】