先住民の銃猟の権利を訴えるブヌン族の人たち=2015年12月台湾・台東で撮影

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(台北 18日 中央社)行政院農業委員会は5日、台湾原住民(先住民)が古くから支配してきた「伝統領域」での森林資源採取に関する管理規則の草案を公表した。これを受け、アミ族出身の高ロ・以用立法委員(国会議員)は17日、専門の研究者を招いた公聴会を開催。先住民の自然的主権と生態保護の両立を実現できるよう、各界に対して十分な対話を求めた。(ロ=さんずいに路)

草案では先住民の伝統領域土地や慣習などを定義。先住民が森林資源の採取を申請する場合の区域や種類、時期、対価の有無などが規定されている。この草案は先住民の森林資源使用に関する伝統的権益の保障を目的としたもの。施行後は、先住民は伝統文化や祭祀、個人的な利用に基づき、国有林や公有林で野生植物や菌類などの産物を合法的に採取できるようになる。

高ロ・以用議員は、部族や集落、地域によって採集の権利に対するニーズが異なると指摘。草案が十分にこれらに対応できるのか疑問を呈した。さらに、先駆的な試験計画を実施し、集落自身が森林資源管理の内容を練れるように提案した。

政治大民族学科の官大偉副教授は政府の取り組みを評価した一方、内容面の欠陥を指摘。原住民族委員会と定義を統一し、共同で管理委員会を設置するよう求めた。

台北医学大医学人文研究所の林益仁副教授は、既存の制度は「共同管理」ではなく、先住民が「管理されている」とし、「共治」の考え方を提起。協議や分け合い、分担を重視し、林務局と集落が同等の権利と責任を有する制度の創設を求めた。

林務局の林華慶局長は、共同管理は同局の将来的な目標で、関連の手続きは先住民の感情に配慮して行っていくとの方針を表明。審査の仕組みについては、まず集落と委員会を設置し、同局だけで一方的に決定することはないと強調した。また、数カ所の集落に先駆計画への参加を呼び掛け、次第に集落による自主管理の比率を高めていく考えも明かした。

(王承中/編集:名切千絵)胜