シリーズ・トップに聞く 第4回 グラフテック 奥文郎社長
計測器・プロッタ大手のグラフテック<6968> は、05年3月期も赤字決算で、最終損益が8期連続の赤字となったことを受けて、事業の効率化や事業者の統廃合、人員削減を含む再建計画を発表した。4月に社長に就任して構造改革の先頭に立つ奥文郎氏に、同社の戦略などについて聞いた。
――創業の経緯と事業内容は?
創業が1949年で、今年で56年目になる。計測関係の事業から始め、当時は渡辺研究所、77年に渡辺測器に社名変更した(83年からグラフテック)。約30年計測機器ビジネスをし、その後コンピュータの周辺機器、とくにペンプロッタというコンピュータにつなげて使う作図機を作ってきた。88−89年ごろには、市場が大きくなったCAD(コンピュータ支援設計)商品を作った。2000年以降はスキャナー、3次元造型機(3Dプリンター)、計測事業を発展させた工場でのインライン設備、あるいは光デバイスを使った計測器などの事業をいろいろ展開してきている。
――御社の特長と強みは?
計測事業から始めたが、計測器も(その後展開している)プロッタも、X軸とY軸でモノをつくる基本技術を利用している。この技術で図を描くことができるが、ペンをカッター刃に取り替えることで、カッティングマシーンにもなる。
そのほか蓄積した技術に、光を利用した計測的な技術や、それを応用したスキャニング技術、センサー技術などがある。
――前期(05年3月期)の業績は?
連結で82億円の売上げ、12億円強の赤字だった。再建の必要があり、リーダー役として私が社長になった。過去の資産や技術力があるので、それをどうしていけばよいか考えている。
――今期の業績予想と今後の方針は?
売上げは大きくは伸ばせないので、今期の見通しは86億円。なんとかブレイクイーブン(損益分岐点)までもっていこうと考えている。年間の販売管理費、開発費用を含んで前期の経費は42億円だった。これを30億円レベルまでどうやって縮めるかという課題に具体的に取り組み始めた。
経費をどう削減するかについて、事業所の統合や、強い商品カテゴリーに集中することを徹底的にやっている。6月初めには新しく商品カテゴリーごとの見直した商品群を発表する予定。ここ5〜6年業績は悪かったが、幸いにもいろいろな商品カテゴリーに挑戦したので、その中からいかに強いものを整理してピックアップするかが私の一番大きな課題だと思っている。
その際、従来からの計測ビジネスとパソコンの周辺機器・情報機器ビジネス、大きくはこの2つにテーマをしぼった中でなにが強いか、なにをやっていけばいいのかをポイントにしている。「わかりやすい、使いやすい、売れる」が商品コンセプト。特に情報機器分野については、今までプロ用に徹した商品ばかりだったが、もっとオフィスマーケット、われわれはプロシューマーと呼んでいるが、コンシューマーに近いところにまでもっていけるような商品を量販できないか、市場を広げられないかと考えている。
具体的には大判のコピー機のようなもの。今までのレーザープリンターもA3サイズぐらいまでしかコピーできないが、A1、A2、A0のような大型サイズの写真、ポスターのコピーもできれば、いろいろなコピーニーズに答えられる。つまり、もっとオフィスユースに近いような市場を狙った商品展開を考えているということ。
――どのような形での社会貢献を考えていますか?
社会貢献は企業活動の中で大事なことだと思っている。とくに私たちは業務用の商品を扱っているので、お客さんが購入した商品できちんとしたビジネスをし、稼ぎ出していただくのが大事なポイント。お客さんがビジネスをして儲けて、ハッピーな生活を送ってくれることが、一番大きな社会貢献だと思う。
また、例えばカッティングプロッタを幼稚園や小学校など学校の教育に使ってもらえないかと考えている。この近くの幼稚園ではデモ的に使ってもらって好評なので、そういう教育的なニーズにもマッチするような商品を提供するという面で社会貢献ができればとも思う。【了】
【会社概要】
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――創業の経緯と事業内容は?
創業が1949年で、今年で56年目になる。計測関係の事業から始め、当時は渡辺研究所、77年に渡辺測器に社名変更した(83年からグラフテック)。約30年計測機器ビジネスをし、その後コンピュータの周辺機器、とくにペンプロッタというコンピュータにつなげて使う作図機を作ってきた。88−89年ごろには、市場が大きくなったCAD(コンピュータ支援設計)商品を作った。2000年以降はスキャナー、3次元造型機(3Dプリンター)、計測事業を発展させた工場でのインライン設備、あるいは光デバイスを使った計測器などの事業をいろいろ展開してきている。
計測事業から始めたが、計測器も(その後展開している)プロッタも、X軸とY軸でモノをつくる基本技術を利用している。この技術で図を描くことができるが、ペンをカッター刃に取り替えることで、カッティングマシーンにもなる。
そのほか蓄積した技術に、光を利用した計測的な技術や、それを応用したスキャニング技術、センサー技術などがある。
――前期(05年3月期)の業績は?
連結で82億円の売上げ、12億円強の赤字だった。再建の必要があり、リーダー役として私が社長になった。過去の資産や技術力があるので、それをどうしていけばよいか考えている。
――今期の業績予想と今後の方針は?
売上げは大きくは伸ばせないので、今期の見通しは86億円。なんとかブレイクイーブン(損益分岐点)までもっていこうと考えている。年間の販売管理費、開発費用を含んで前期の経費は42億円だった。これを30億円レベルまでどうやって縮めるかという課題に具体的に取り組み始めた。
経費をどう削減するかについて、事業所の統合や、強い商品カテゴリーに集中することを徹底的にやっている。6月初めには新しく商品カテゴリーごとの見直した商品群を発表する予定。ここ5〜6年業績は悪かったが、幸いにもいろいろな商品カテゴリーに挑戦したので、その中からいかに強いものを整理してピックアップするかが私の一番大きな課題だと思っている。
その際、従来からの計測ビジネスとパソコンの周辺機器・情報機器ビジネス、大きくはこの2つにテーマをしぼった中でなにが強いか、なにをやっていけばいいのかをポイントにしている。「わかりやすい、使いやすい、売れる」が商品コンセプト。特に情報機器分野については、今までプロ用に徹した商品ばかりだったが、もっとオフィスマーケット、われわれはプロシューマーと呼んでいるが、コンシューマーに近いところにまでもっていけるような商品を量販できないか、市場を広げられないかと考えている。
具体的には大判のコピー機のようなもの。今までのレーザープリンターもA3サイズぐらいまでしかコピーできないが、A1、A2、A0のような大型サイズの写真、ポスターのコピーもできれば、いろいろなコピーニーズに答えられる。つまり、もっとオフィスユースに近いような市場を狙った商品展開を考えているということ。
――どのような形での社会貢献を考えていますか?
社会貢献は企業活動の中で大事なことだと思っている。とくに私たちは業務用の商品を扱っているので、お客さんが購入した商品できちんとしたビジネスをし、稼ぎ出していただくのが大事なポイント。お客さんがビジネスをして儲けて、ハッピーな生活を送ってくれることが、一番大きな社会貢献だと思う。
また、例えばカッティングプロッタを幼稚園や小学校など学校の教育に使ってもらえないかと考えている。この近くの幼稚園ではデモ的に使ってもらって好評なので、そういう教育的なニーズにもマッチするような商品を提供するという面で社会貢献ができればとも思う。【了】
【会社概要】
商号 | グラフテック株式会社 |
設立 | 49年3月 |
上場 | 87年9月(東証1部上場:証券コード 6968) |
資本金 | 107億6220万円 (05年6月の定時株主総会後70億円に減資予定) |
売上高 | 81億8713万円(05年3月期) |
代表取締役社長 | 奥文郎(おく・ふみお) |
従業員数 | 連結319人・単体281人(05年3月末) |
本社 | 神奈川県横浜市戸塚区品濃町503−10 |
電話番号 | 045-825-6200(代表) |
URL | http://www.graphtec.co.jp/ |
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