東京にはさまざまな橋があります。昔からその場所にある橋。ですが、どの橋も、震災や戦争などで、昔のままの姿を残してはいません。木で作られていた橋は、鉄筋や石造りに。形は変わっても、今も昔もその橋の上を人が通っていたのは同じです。今回は、そんなタイムトリップしやすい場所である「橋」を取り上げてみようと思います。


東京「常磐橋」付近の様子



東京で最も古い橋、といったらどこだと思いますか？
名前は江戸の昔からあっても、現存するのはなかなか難しい橋。
東京で一番古いのは日本橋川にかかる「トキワ橋」です。

「常磐線（じょうばんせん）」などで使われる「常磐」という漢字で、「トキワ」と読むこの橋。
もともとトキワは「トコイワ」と読み、常に変わらない岩の意味から、永久的に不変なことを指す言葉です。
まさにその名のとおり、東京でも一番古い橋となったトキワ橋ですが、実はこの場所に「3つのトキワ橋」があることを、ご存知でしょうか。

東京駅から見て手前が常盤橋、真ん中が常磐橋、そして一番奥が新常盤橋。
3つめは「新」がついているものの、2つは発音が完全に同じ。
発音が……と言ったのは、実は漢字が少〜しだけ違うのです。

東京で最も古いと言われている明治10年に架けられた「常磐橋」は、「バン」という字の下のつくりが「石」。
もうひとつの昭和に架けられた新しいほうは、下のつくりが「皿」になっています。
さらに登場する「新常盤橋」……。
とにかくこの3つの「トキワ橋」はややこしいのです！

最も古い常磐橋は、江戸時代には日光街道・奥州街道につながる大事な道でした。
江戸時代には木の橋でしたが、明治時代に大理石や近代的な技術を取り入れ、現在の形に。
漢字に関しては「皿」より「石」のほうが頑丈であるため、石にしたという説があります。
2011年の東日本大震災の影響で損傷し、通行禁止になっていましたが、現在は修復工事中。
どちらのトキワ橋も、千代田区の重要物件に指定されています。

なぜこんなにも同じ名前にしたのか、疑問に思ってしまう3つのトキワ橋。
でも、知っていたらちょっとだけ誰かに自慢できるかもしれません。

文／岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「ややこしや！ 3つのトキワ橋」として、7月26日に放送しました。

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＜番組概要＞
番組名：「シンクロのシティ」
放送日時 ：毎週月〜木曜15：00〜16：50
パーソナリティ：堀内貴之、MIO
番組Webサイト：http://www.tfm.co.jp/city/