“火星に一番近い日本人”が「本気の火星ごっこ」に突入！
人類が火星を探索する未来。日本でもヒットした映画「オデッセイ」のような計画が、着々と進行しています。そんな中、“火星に一番近い日本人”と言われる村上祐資さんに注目が集まっています。
1978年生まれ、横浜出身の村上祐資さんは、第50次南極観測隊に参加した極地建築家です。The Mars Society（火星協会）が進めてきた有人火星探査に向けた宇宙飛行士選抜実験に参加し、最終選考に残った唯一の日本人です。
火星への移動にかかる日数は片道270日余り。宇宙船という限られた空間内では、他のクルーとの共同作業が必要になります。9月から次の実証実験が始まる村上さんに、実験の内容や宇宙への思いなど伺いました。
（TOKYO FM「クロノス“追跡”」7月13日放送より）
【“火星に一番近い日本人”と言われて】
僕自身はあまり火星に行きたいわけではなくて、本当は月に行きたいと思っているんです。火星とか月とか、南極とか。そういう何も無い所に、自分たちの暮らしを新しく作り出すことがすごくクリエイティブだと思うんです。僕は極地建築家として活動しているので、そういうクリエイティブなことがしたいんです。
僕は子どものころから縄文人になりたいと思っていたんですよ。小さい頃は、石を削って矢じりとか作ってたんです。もともとその辺にあるような石から、こんな切れるナイフが作れちゃうんだってことに僕はすごくクリエイティビティを感じた。人類ってどこまで遡れるんだろう、彼らみたいに生きてみたいなというのが、もともとの根っこにあるんだと思います。
【9月から実証実験開始】
約160日の火星シミュレーション生活というのを、いろんな国から宇宙飛行士を選ぶように選んだ7人の仲間と一緒にやるんですよね。
行く場所は、前半の80日はアメリカ・ユタ州にある砂漠。もう1ヶ所は北極圏ですね。カナダ領のデヴォン島という無人島です。
地球に作られた火星基地でのシミュレーション生活ですので、外に出れば空気も重力もあります。でも人と全く関わらないような場所で、外に出る時は宇宙服を着てクレーターとかもあるので探査をするんです。その宇宙服は、脱いでも現実には死にはしないです。けど、脱いだら死ぬぞっていう……何て言うんでしょうかね？ 「本気の火星ごっこ」とでも言うんですかね（笑）。
【仏・露・米・加・英・豪・日から、男性4人女性3人が実験に参加】
みんなに共通しているのは、火星にめちゃめちゃ行きたい人たちなんです。日本人はどうしても「本当に火星に行けるの!?」という感じで現実味がないのが普通だと思うんですけど、僕以外の6人は“絶対行ける”と思ってるんですよ（笑）。
僕自身は「最終的に日本人を1人入れておいたらいいな」みたいになることを望んでいます。結構日本人って続ける力が強いと思うんですよ。肩の力を入れて続けるんじゃなくて、淡々と続けていける。そういうことが日本人の美学だったりすると思うんですけど。それって、人類が長い間火星のような場所で暮らしていく上ですごく役に立つと思っているんです。
【簡単に言えばモルモットですね（笑）】
160日の訓練が終わったら火星に行くかって言ったらそういうわけではなくて、簡単に言えばモルモットですね。本当に人が火星に行く時にヒントになるというか。
僕がちょっと心配しているのは、そういった環境の中でどこまでクルーたちが、「ここは火星だ」っていう思いを途切れさせずにいけるかっていうことですね。結局誰かが「ここも地球じゃん」って話をポロっと言い出すと、今までがガラガラと崩れちゃうと思うんですよ。
そもそも何で宇宙に行くのかっていろんな答えがあるんですけど、僕たち人類は何なのだろうっていうのを見つけたい。自分の足元や自分の周りだけ見てるとわかんないんですよね。だから火星と比較してみると、地球っていいなあと実感すると思うんですよね。そういう意味では、火星に近い男はどんどん火星に行きたくない男になっていくんだと思うんですけど、まぁどうなんでしょうね（笑）。
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＜番組概要＞
番組名：「クロノス」
放送日時：毎週月〜金曜6：00〜9：00
パーソナリティ：中西哲生（月〜木）、速水健朗（金）、高橋万里恵
番組Webサイト：http://www.jfn.co.jp/ch/
1978年生まれ、横浜出身の村上祐資さんは、第50次南極観測隊に参加した極地建築家です。The Mars Society（火星協会）が進めてきた有人火星探査に向けた宇宙飛行士選抜実験に参加し、最終選考に残った唯一の日本人です。
（TOKYO FM「クロノス“追跡”」7月13日放送より）
乾燥した砂漠地帯でも、屋外活動は宇宙服を装着しEVAと呼ばれる船外活動を行う。右端が村上祐資さん。（2014年12月撮影）
【“火星に一番近い日本人”と言われて】
僕自身はあまり火星に行きたいわけではなくて、本当は月に行きたいと思っているんです。火星とか月とか、南極とか。そういう何も無い所に、自分たちの暮らしを新しく作り出すことがすごくクリエイティブだと思うんです。僕は極地建築家として活動しているので、そういうクリエイティブなことがしたいんです。
僕は子どものころから縄文人になりたいと思っていたんですよ。小さい頃は、石を削って矢じりとか作ってたんです。もともとその辺にあるような石から、こんな切れるナイフが作れちゃうんだってことに僕はすごくクリエイティビティを感じた。人類ってどこまで遡れるんだろう、彼らみたいに生きてみたいなというのが、もともとの根っこにあるんだと思います。
【9月から実証実験開始】
約160日の火星シミュレーション生活というのを、いろんな国から宇宙飛行士を選ぶように選んだ7人の仲間と一緒にやるんですよね。
行く場所は、前半の80日はアメリカ・ユタ州にある砂漠。もう1ヶ所は北極圏ですね。カナダ領のデヴォン島という無人島です。
地球に作られた火星基地でのシミュレーション生活ですので、外に出れば空気も重力もあります。でも人と全く関わらないような場所で、外に出る時は宇宙服を着てクレーターとかもあるので探査をするんです。その宇宙服は、脱いでも現実には死にはしないです。けど、脱いだら死ぬぞっていう……何て言うんでしょうかね？ 「本気の火星ごっこ」とでも言うんですかね（笑）。
ユタ州の砂漠に建てられた模擬火星基地にて。基地は直径8メートルの円塔形2階建てで、1階がラボ、2階が居住空間になっている。（2014年12月撮影）
【仏・露・米・加・英・豪・日から、男性4人女性3人が実験に参加】
みんなに共通しているのは、火星にめちゃめちゃ行きたい人たちなんです。日本人はどうしても「本当に火星に行けるの!?」という感じで現実味がないのが普通だと思うんですけど、僕以外の6人は“絶対行ける”と思ってるんですよ（笑）。
僕自身は「最終的に日本人を1人入れておいたらいいな」みたいになることを望んでいます。結構日本人って続ける力が強いと思うんですよ。肩の力を入れて続けるんじゃなくて、淡々と続けていける。そういうことが日本人の美学だったりすると思うんですけど。それって、人類が長い間火星のような場所で暮らしていく上ですごく役に立つと思っているんです。
【簡単に言えばモルモットですね（笑）】
160日の訓練が終わったら火星に行くかって言ったらそういうわけではなくて、簡単に言えばモルモットですね。本当に人が火星に行く時にヒントになるというか。
僕がちょっと心配しているのは、そういった環境の中でどこまでクルーたちが、「ここは火星だ」っていう思いを途切れさせずにいけるかっていうことですね。結局誰かが「ここも地球じゃん」って話をポロっと言い出すと、今までがガラガラと崩れちゃうと思うんですよ。
そもそも何で宇宙に行くのかっていろんな答えがあるんですけど、僕たち人類は何なのだろうっていうのを見つけたい。自分の足元や自分の周りだけ見てるとわかんないんですよね。だから火星と比較してみると、地球っていいなあと実感すると思うんですよね。そういう意味では、火星に近い男はどんどん火星に行きたくない男になっていくんだと思うんですけど、まぁどうなんでしょうね（笑）。
【あわせて読みたい】
★仕事を始めて、人間変わりましたか？ http://tfm-plus.gsj.mobi/news/bDnklecJaK.html
★【60歳のあなた】何をしていると思いますか？ http://tfm-plus.gsj.mobi/news/ZjjsZi22jS.html
★「私はコレで失敗しました」お酒編 http://tfm-plus.gsj.mobi/news/2A33xu7YKw.html
＜番組概要＞
番組名：「クロノス」
放送日時：毎週月〜金曜6：00〜9：00
パーソナリティ：中西哲生（月〜木）、速水健朗（金）、高橋万里恵
番組Webサイト：http://www.jfn.co.jp/ch/
