毎年、荒削りながらもパワフルなチームが多い佐賀県。今年もそんな学校が佐賀県をリードするとみていいだろう。そんな佐賀県の注目校を紹介していきたい。

佐賀商、龍谷が一歩リードも、佐賀学園、唐津商といった実力校が多数左から 野中 翔太(佐賀商)、打越 海(唐津商)

 まず春の県大会優勝の佐賀商。打線のレベルは全国クラスといっていい。強肩強打の大型打者・野中 翔太に注目だ。当たれば場外級の本塁打を飛ばす選手だが、確実性に乏しいのが課題だった野中は4月下旬に無駄な力を入れずに振る打法を習得。それからは、力みまくっていた時よりも本塁打を量産できるようになった。さらに、逆方向への打球にも磨きがかかり、打者として一段とグレードアップした。本人はもともと守っていた捕手に戻りたいと語っており、もし捕手に戻って強肩・高いディフェンス力を披露できれば、ドラフト候補として注目されそうだ。

 そして5番を打つ龍野 瞳依も高校通算10本塁打ながら、初球からガンガン振っていく姿勢がウリの強打者。また前後の打者の打力も能力は高く、つながったときは一気に大量点を入れられる打線で、その破壊力は全国レベルといえるだろう。あとは投手陣全体の底上げを果たしたい。

 準優勝の龍谷は、実戦派左腕・池田 智浩、投打の中心・矢ヶ部 航、好打者・石橋 優希、強打者・北村 大空と昨夏からの経験者が多く、夏へ向けていっそう力をつけるチームであることは間違いないだろう。2年連続の夏の甲子園出場へ向けて、しっかりと照準を合わせている。

 今春ベスト4の佐賀学園は、日永田 凌、藤木 大輔の2枚看板に注目。またチャンスメーカーとして期待がかかる江頭 且行、長打力のある水落 慶輔と野手も逸材が揃う。同じくベスト4の鳥栖工のエース・酒井 鉄朗は、スタミナもあり、完投型の右腕で、力強い腕の振りから投げ込む威力ある速球が武器だ。また攻守の要・松尾 駿輝の活躍にも期待だ。

 ベスト8に目を向けると、神埼清明では県内屈指の右腕・本 幸司とチームの守備を支える横尾大樹の両バッテリーに注目したい。また鹿島実は昨年から経験者の北村 皐−山口 航平が上位進出の鍵を握る。接戦を勝ち抜いてベスト8に勝ち上がった佐賀西は個々の能力をさらに高めていきたい。多久は、県大会で長打を連発したスラッガー・谷村 大聖がこの春、パワーアップを果たしており、夏へ向けてさらに長打力を磨きにかけていきたい。

 ベスト8以外では、投打の柱・江越 健太、左腕・江口 哲平と能力の高い選手を揃える小城。昨年から140キロ台の速球を投げ込む投手として話題になった坂口 蒼(鹿島)は最速143キロまで球速を伸ばしただけに、さらにこの夏の活躍にも期待したい。

 また打越 海、平川 将也、山崎 遥稀、井上 樹希也と好選手を多く揃え、足を使った機動力、外野の守備範囲の広さ、二遊間の安定した守備がウリの唐津商も見逃せない。唐津商は昨夏決勝で涙をのんだ経験を糧に、夏へ向けてしっかりと追い込んで上位進出を果たしたい。そして最後に注目なのが佐賀東の最速148キロ右腕・福島 雄大。夏へ向けて注目度が高まりそうだ。

 上位校だけではなく、それ以外の学校にも注目選手が揃い、まさに見逃せない佐賀県。今大会の抽選日は6月23日の予定だ。早くも強豪校同士のつぶし合いが実現するか注目をしていきたい。

(文・河嶋 宗一)

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