6月1日は「麦茶の日」だって知ってましたか？　6月は麦茶の原料である大麦の収穫始めで、麦茶の季節の始まりでもあるため「麦茶の日」となったそうです。というわけで今回は、これからの季節に欠かせない「麦茶」のお話です。


江戸っ子も楽しんだ「夏の麦茶」の意外な効果



これからやってくる暑い夏。
冷たい飲み物で喉を潤わせたいときに活躍するのが「麦茶」です。
日本の夏に欠かせない麦茶ですが、その歴史は古く、平安時代から「麦こがし」として売られていました。

江戸時代になると、麦茶は庶民の飲み物としてお茶屋で出されるようになりました。
当時は麦茶ではなく「麦湯（むぎゆ）」という名前。
夏になると喫茶店のような「麦湯店」が江戸のあちこちにオープンし、多いときは10店以上の場所で麦湯を飲むことができたそうです。

江戸時代のある文献には、こんなことが書かれています。

「夏の夜になると江戸の町に麦湯の店が出る。行燈に『むぎゆ』とかな文字で書いてあり、桜に絵の描かれた短尺（たんざく）が飾ってある。その廻りには涼み台が並べてあり、少女が湯を汲んで給仕している」

夏になると開かれる麦湯のお店に集まる江戸っ子たち。
なんだか風流です。
涼しげですが、当時の麦湯は名前のとおり「お湯」で作ったもの。
暑い夏でも、温かい麦茶を飲んでいたんですね。

麦茶はとても身体に良い飲み物で、現代でも赤ちゃんからお年寄りまで安心して飲めるお茶として愛されています。
その主な効能は、脱水症状を防ぐミネラルが豊富なこと。
カフェインも無いので利尿作用がなく、効率的に水分補給ができます。
夏に飲むのは、とても理にかなっているんですね。

それ以外にも、血圧と血糖値を下げたり、便秘や美肌にも良い効果が。
さらに麦茶といえば、なんといってもあの独特の香ばしい香りが特徴ですが、あの香りの成分は主にピラジンといわれるもので、ストレス解消やリラックス効果のある成分なのだそうです。

いいことずくめの麦茶。
今年の夏も、お世話になりそうです。

文／岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「江戸っ子も楽しんだ『夏の麦茶』」として、6月1日に放送しました。

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