履正社vs汎愛

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貫禄

4安打無失点の履正社・寺島成輝

 1回に1点を先制した履正社は、5回に2番・北野秀(3年)のタイムリー二塁打などで3点を追加。6回と8回にも得点を加えてコールドゲームの展開に持って行った。

 投げてはエース・寺島 成輝(3年)が汎愛打線を4安打8奪三振無失点に抑え、三塁を踏ませない貫禄のピッチング。第2試合に備えて控室で観戦していた大阪桐蔭の西谷浩一監督も、「素晴らしいピッチングを見せられました。大阪だけではなくて、日本でNO1クラスの左腕」と夏へ向けての警戒心を口にするほど見事な内容だった。

 「ストレートが走っていて、今日は自分の思った所に投げられました。冬にやってきたことの成果を感じています」と自信も納得のピッチングだったことを語った寺島。特に「ここという所ではストレート」と変化球に頼らず、直球で勝負するスタイルが秋までとは違う所だ。

 さらに7回二死から汎愛の代打・高森一哲(3年)を見逃し三振にとった場面をこの試合のベストショットと感じている。「変化球のサインだったのですが。ストレートで決めようという意識で首を振りました」とこだわっての直球勝負だっただけに、打者の高森も手を出すことができなかった。

 決勝の相手は大阪桐蔭。寺島の出番があるかどうかはわからないが、春の目標は近畿大会に出場して優勝すること。「それがチームの目標です。近畿大会でも投げたい」と決勝での勝ちにこだわる。寺島の連投か、それとも山口裕次郎(3年)ら他の投手陣が投げるか。どちらにしても最大のライバルを倒して、その次のステージで近畿の強豪に挑む気持ちがない限り、夏の大阪での頂点は見えてこない。15日に行われる決勝での戦いが非常に楽しみだ。

 一方、敗れた汎愛も秋から着実に力をつけている。先発した背番号1の志水風太(3年)は初回に先頭打者の四球から先制されたのが悔やまれるが、それでも最少失点で踏ん張った。「前半で3点までなら」という井上大輔監督の構想に近い展開だったが、それ以上に全国トップクラスの左腕・寺島が見せた貫禄のピッチングに、攻略の糸口を見いだすことができなかった。「このクラスの投手を打てないことには」と話した井上監督。ただ秋は大阪桐蔭、春は履正社と近年の大阪2強とぶつかった経験はポジティブに考えていきたい。

 さらに昨冬に行われた日本高校野球連盟主催の若手指導者育成のための『甲子園塾』の会場校となり、元星稜監督・山下智茂塾長のノックを受けた。講師だった中京大中京の大藤敏行前監督や、敦賀気比の東哲平監督にもアドバイスをしてもらい、他校ではなかなかできない経験もできた。夏へ向けて、階段をさらに上がることができれば、打倒2強の急先鋒となる実力は十分に秘めている。

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