大手前高松vs富岡西
大手前高松・門内 快航(3年)
「いい試合を見させてもらいました」。
特等席の三塁側ベンチから見た試合の感想を漏らしたのは富岡西・小川 浩監督。8年前・2008年の初出場初勝利以来の勝利こそならなかったが、2度目の春季四国大会で彼らは多くの収穫を手にした。
その収穫を得る過程も確かなものだった。前日の球場公式練習では紅白戦形式で逆方向とヒットエンドランの意識を徹底。最速139キロのストレートを持つ大手前高松・門内 快航(3年・投手・右投右打・172センチ72キロ・高松市立桜町中出身)に対し、球速を利用して打つことで中盤までは完全に主導権を握った。
さらに先発左腕・紀本 幸太郎(3年・投手・左投左打・174センチ65キロ・阿南市立阿南第一中出身)は最速137キロをマークした伸びのあるストレートに、この春から投げ始めたシュートを軸とした変化球が有効に決まり、8回117球6安打6奪三振。「ゆったりしたフォームから腕をしならせてくるので、そこに踏み込むタイミングを修正するまで3回りかかった。いい投手でした」と敵将・山下 裕監督も絶賛の内容だった。
7回裏はミス絡みで同点とされ、8回裏には9番・橘 大輔(3年・右翼手・右投右打・166センチ65キロ・三木町立三木中出身)の遊撃内野安打、盗塁。そして1番・寿賀 蒼音(2年・左翼手・左投左打・173センチ61キロ・高松市立勝賀中出身)が三塁線を抜く二塁打という大手前高松らしい攻撃で決勝点を奪われた富岡西だが、ここで得た経験値は最終目標の「打倒・鳴門で初甲子園」へ向けての大きな糧になることだろう。
丸亀の地では鳴門がポテンシャルを示し、高松では富岡西が健闘。これで四国大会では3大会連続初戦敗退。通算10連敗となった徳島県勢であるが、トンネルの出口、光は確かに見えている。
(文=寺下 友徳)
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