By Filip Maljković

6年前、Oracleは「Androidがライセンスの必要なJavaプラットフォームを無断で利用している」ということでGoogleを訴えました。現在も訴訟は続いているのですが、OracleはGoogleに93億ドル(約1兆500億円)もの賠償金の支払いを求めていることが明らかになりました。

Oracle seeks $9.3 billion for Google’s use of Java in Android | Network World

http://www.networkworld.com/article/3048814/android/oracle-seeks-93-billion-for-googles-use-of-java-in-android.html



2012年に行われたOracleとGoogleの裁判では、GoogleのJava使用が「フェアユース」であるかどうかで陪審員の意見が割れました。この裁判の再審が、2016年5月9日にサンフランシスコの連邦地方裁判所で行なわれる予定となっています。再審ではGoogleのエリック・シュミット氏やOracleのラリー・エリソン氏といった著名人が証人として出廷する見込みです。

Oracleが雇った専門家のジェームズ・マラコウスキ氏が算出した損害賠償請求額の記された図が以下のもの。請求額の内訳は大きく2つに分かれており、ひとつはOracleの受けた損害4億7500万ドル(約540億円)、もうひとつはGoogleがAndroidを作って得た利益から88億ドル(約1兆円)。合計すると損害賠償請求額はなんと前回の裁判時に求めていた額の10倍で、増額された理由はスマートフォン市場でのAndroidの劇的な成長度合いを反映させたためだそうです。再審内容は、Android 5.0 Lollipopを含む6つのバージョンのAndroidに影響するものとなる模様。



なお、Google側も独自に専門家に損害賠償金の額を計算させたそうですが、その額は上限1億ドル(約110億円)程度になると見積もられており、Oracle側が主張する額とは大きくかけ離れています。同問題を報じているニュースサイトのNetwork Worldは、GoogleとOracleの両方にコメントを求めましたが、いずれからも返事はないとのこと。

問題となっているのは、GoogleがAndroidの基礎にJavaを利用すると決めた際に、サン・マイクロシステムズからライセンスを得ようとしなかったところにあります。第一審では、Googleが37個のJava関連アプリケーションプログラムインターフェイス(API)をAndroidにコピーしており、GoogleがOracleの著作権を侵害していることが明らかにされました。しかし、予審判事のウィリアム・アルサップ氏は「APIは著作権の保護対象とならない」とGoogle有利の判決を下しました。対して、その後に行なわれた上訴裁判所での判決は、ウィリアム判事の判決をくつがえすOracle有利の内容でした。さらにその後、Googleは最高裁判所に訴えたのですが、これは却下されたため、再びフェアユースであるのかどうかを審議するためにウィリアム判事の法廷で裁判が行なわれることになっているそうです。



By Tsahi Levent-Levi

なお、Google側の弁護士は「37のAPIはAndroidプラットフォームが利用するコード全体の1%に過ぎない」と主張しています。