労働政策研究・研修機構の「妊娠等を理由とする不利益取扱い及びセクシュアルハラスメントに関する実態調査」によると、いわゆる「マタハラ」など妊娠等を理由とする不利益取扱い等を経験した女性社員の割合が2割に上り、派遣社員では4割以上となったことが分かった。

 調査結果によると、働いていた企業で妊娠、出産、未就学児の育児を経験した女性のうち、マタハラを経験した人の割合は21.4%。企業規模が大きいほど割合が若干多い。雇用形態別では正社員が22.3%、契約社員が13.2%、パートタイマーが6.3%、派遣労働者が45.3%となっている。

 マタハラの内容は、「『休むなんて迷惑だ』『辞めたら?』など、妊娠・出産・育児関連の権利を主張しづらくするような発言をされた」(47.0%)が最も多かった。次いで、「(マタハラを)示唆するような発言をされた 」(21.1%)、「賞与等における不利益な算定」(18.4%)、「雇い止め」(18.0%)、「解雇」(16.6%)と続いた。

 マタハラの行為者は、男性55.9%、女性38.1%となっている(分からない6.0%)。経験者との関係を見ると、「職場の直属上司」(29.9%)、「直属上司よりも上位の上司、役員」(20.8%)、「職場の同僚、部下」(14.9%)の順に多い。

 「職場の直属上司」と「直属上司よりも上位の上司、役員」の行為者は男性が多いが、「職場の同僚、部下」では女性(9.4%)が男性(5.4%)を上回っている。

 マタハラを防止するための対策に取り組んでいる企業は51.1%で、取り組んでいる事項(複数回答)をみると、「相談・苦情対応窓口の設置」(23.4%)が最も多く、次いで「つわり等により不就労が生じた妊婦がいる職場に対する業務上の応援」(14.0%)、「管理職に対し、妊娠等を理由とする不利益取扱いが違法行為であること等について、研修などによる周知」(11.1%)となっている。

 女性社員の妊娠・出産時までの就業継続状況をみると、防止対策に取り組んでいる企業では、正社員について「出産後も働き続ける女性が大多数だ(おおむね8割以上)」が47.1%である一方、取り組んでいない企業では37.2%で、防止対策に取り組んでいる企業の方が出産後も働き続ける女性が多い。

 調査は2015年9月14日〜10月4日に、全国の従業員10人以上の企業6500社、その企業に雇用される25〜44歳の女性労働者を対象に実施し、1711社、4654人から有効回答を得た。

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